足や手の爪がでこぼこしている人はいないでしょうか。これはただ爪が変形しているだけでなく、身体の異常が爪に出ている場合があります。爪がでこぼこになるのはいくつかの症状と原因があり、それによって改善方法も変わってきます。大したことはなさそうだから、と自己判断で放置せずに適切な処置を取れるよう、本記事では爪の表面がでこぼこになるという症状について解説します。

目次

爪の変形について

爪が変形する原因には、日常生活から起こるものと、病気が原因のものの2種類があります。洗剤や靴などで毎日刺激を受けたり、重い物を持ったりと、爪に負担がかかった場合に変形してしまうことがあります。また、縦に筋ができる(爪甲縦条)のは加齢によるものです。皮膚のシワと同じようなものと考えると分かりやすいでしょう。

しかし、横に筋ができる、何本も溝ができてしまう、すべての指の爪がでこぼこしているなどになると、病気のサインである可能性もあります。爪は身体の末端にあるので、身体に異常があった時などには栄養が運ばれにくくなり変形する場合があるのです。

爪がでこぼこになるといっても、その症状は?

点状陥凹(てんじょうかんおう)

爪の表面に針で穴をあけたような無数の小さなへこみ(陥凹)ができ、表面がでこぼこになる症状です。

爪の付け根の、爪が作られる部分のことを爪母(そうぼ)と呼び、この根本に異常が起きると爪の発育が障害されてしまうため、爪の表面に小さなデコボコが見られます。

症状が見られるのが特定の爪だけであれば、外傷などが原因の場合が多いので時間が経てば治ることがほとんどです。

外傷以外の原因としては、円形脱毛症乾癬などの疾患で爪に点状陥凹が見られることもあります。ただし、健康な人にみられることもあります。

乾癬

へこみに一致して白っぽくみえくる角質がついている場合には乾癬が疑われます。爪以外にも皮膚に症状が出ることがほとんどで、乾癬の30~80%に爪の症状があるといわれています(爪疾患カラーアトラスより)。

その皮膚症状は、典型的には皮膚が赤くなって盛り上がり、銀白色のふけのようなものがつきます。根本的な原因はまだはっきりわかっていませんが、他人に感染するものではありませんので安心してください。

ステロイドやビタミンD3を含む外用薬を塗る、薬を内服する、紫外線UVAやUVBをあてる、生物学的製剤を投与する等の治療法があります。多くの場合は治療を継続する必要のある疾患であり、ストレスをためないように、生活習慣にも気を付けていく必要があります。

円形脱毛症

円形脱毛症によって、爪にも変化が現れることがあります。治療はステロイドを塗るか、円形脱毛症の治療をすることで一緒に爪の症状もおさまるため、経過を見ます。

爪甲横溝(そうこうおうこう)(横線)

爪に横の線ができることを爪甲横溝といいます。

横線は、爪母(爪の根元)の炎症の結果として、ほかの病気に伴っておこる場合と、局所的な要因(爪囲の湿疹、感染症、マニキュア、外傷など)の際にもおこります。

ボー線条

横筋が全ての爪に同じような位置で出現することをボー線条と言います。

これは、過去に全身性の病気などをしたサインになっており、過去に発疹が出ていたりしたことを現わしています。

波板状爪(洗濯板状爪)

爪の表面に、横向きの溝が何本もあり波打っているようになっている状態を特に波板状爪といいます。洗濯板のような見た目になってしまうことから、洗濯板状爪とも呼びます。

こちらも爪の付け根にある爪母の根本がなんらかの影響でダメージを受け、正常な爪を作り出すことができなくなることが原因として考えられ、一般的には、親指の爪に多くみられます。

付け根の皮膚が少し厚くなり、爪半月(爪の根本にある白っぽい場所)が大きくなるような特徴があり、このような爪の方には、爪の付け根を指や鉛筆などで押す癖があったり、仕事道具がちょうど爪母に当たりやすかったりするケースが多くみられます。治療は、ステロイド外用剤を爪の根元から指先の方向に塗布するようにします。

爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)

爪甲鉤彎症は、爪が分厚くなり、かつ異常に伸びて曲がり鉤あるいは角のようになる症状です。足の第1趾(親指)に好発します。

遺伝性のものもありますが、狭い靴による圧迫が最も多くみられます。ハイヒールやつま先の方が細い靴を履くことによって爪が擦れ、結果として爪甲鉤彎症になることがあります。また、爪を深く切り過ぎたり、怪我などで爪が欠けてしまったりした後に正常な爪が生えないことでも起こります。

治療には爪を削る、一度取り除く、爪母を壊すなどの方法があります。

スプーンネイル(匙状爪)

爪の真ん中がへこみ周りが反り返っている状態です。指の腹側に、爪が支えられる以上の力が毎日加わることが原因となります。指先に力を入れる仕事をしている方がなりやすいほか、爪自体が弱いことが原因になっているもあります。例えば、鉄欠乏性貧血の方は爪が普通よりも弱いため、スプーンネイルになりやすいです。そのほか、爪を切る時に先端を丸く整えると、支えになる面積が少なくなり変形してしまうことがあります。

鉄欠乏性の貧血であった場合は、鉄剤投与だけで改善されることが多いです。

ばち状指

爪が丸く大きくなり、指も先端がふくらむので太鼓を叩くばちのような見た目になります。心臓や肺の病気が原因となることが多く、急に生じた場合には、肺がんなどの重大な病気のサインになっている可能性もあるのですぐに医療機関を受診しましょう。お近くの内科か、胸部のレントゲン、CT、MRIなどの設備が整っている医療機関をおすすめします。

陥入爪・巻き爪

爪が内側に向かってまるく変形し、皮膚に食い込んでしまい痛みを伴うのが陥入爪(巻き爪)です。足の親指に起こる事が多く、食い込んだ部分を深爪する事で悪化します。化膿すると激痛になり歩けなくなってしまうこともあります。

治療法は病院にかかる以外にも、軽度であればセルフケアによる症状緩和が可能なこともあります。詳しくは「巻き爪・陥入爪の治療は自分でできるの?具体的な治し方を紹介」の記事をご覧ください。

そのほかの爪の病気

爪切り

爪扁平苔癬(つめへんぺいたいせん)

扁平苔癬の爪の症状は、爪の罹患部位と時期によって異なります。正確に診断するためには、組織検査が必要となります。

もっとも初期の病変としては、縦線または隆起がみられます。ひどくなると爪が縦に割れ、爪の先端が欠損します。爪以外にも皮膚や口腔に症状が出ることがあり、逆に、爪の変化がみられる扁平苔癬は、扁平苔癬の10%と言われています(皮膚科学 第7版より)。

治療は、爪にステロイド含有軟膏を塗ることですが、程度が酷ければ内服薬も併用することがあります。

症状が出てからあまりにも時間が経っていると、爪が元の状態に戻れないほど変形してしまうことがあるため、早めの治療が推奨されます。

カンジダ性慢性爪囲炎

爪に横溝ができる、凹凸ができる、剥離するなどのほか、爪の根本の皮膚が赤く腫れるような症状がみられる場合には、カンジダというカビが爪の根本に入っている可能性が考えられます。

こちらは水仕事の多い方がかかりやすい病気なので、水仕事をしたあとに手をしっかり乾燥させることが大切です。治療は、イトラコナゾールなどの抗真菌剤を服薬し、抗カンジダ薬を指に塗るなどの対処ができます。きちんと治療すれば、半年ほどで治ります。

まとめ

爪にデコボコを感じた場合、外傷や全身性の疾患などで爪母に異常を起こしていることが多いです。そのほかの変形は爪の切り方や窮屈な靴など、日常的なことが原因となっていることもあります。しかし今回取り上げた原因はあくまで一例で、他の病気が原因になっている可能性もありますので、まずはお近くの皮膚科を受診してみましょう

この他、爪の色に関するトラブルに関しては「爪の色が変!原因と対処法は?」も併せてご覧ください。