身体のあちこちがカサカサしている。皮膚が赤くなって皮がむけてきた。このような症状でお悩みの方は、もしかすると乾癬を患っているのかもしれません。アトピー性皮膚炎にも似たこの病気はどうして起こるのでしょうか。今回は乾癬についてご紹介します。
乾癬の主な症状は?
- 皮膚が赤くなって腫れたように盛り上がる
- 皮膚がカサカサしている
- 皮がぽろぽろむける
- 皮膚に膿ができて熱を持つ
- 関節が痛くなる
- 全身が赤くなる
など
発疹ができやすい場所は?
乾癬による発疹は全身に出ますが、皮膚がこすれる場所に特に出やすいという特徴があります。
- 肘
- 膝
- 腰のまわり
- 頭
など
乾癬の種類は?

乾癬は5種類に分けられ、90%以上が尋常性乾癬といわれています。
尋常性乾癬
皮膚に境界のはっきりした少し盛り上がりのある赤い発疹(紅斑)ができます。また発疹には銀白色のフケのような皮膚が付着しており、ぽろぽろと剥け落ちます。慢性的に繰り返します。
滴状乾癬
若い人に多く、喉の風邪(溶連菌感染)などの後に、全身に1㎝くらいまでの小さな発疹が見られます。多くの場合は、溶連菌感染の治療で治りますが、尋常性乾癬へ移行することがあります。
関節性乾癬
乾癬に関節が痛くなる関節炎を合併することがあります。特に手足の指の関節にみられることが多いです。
乾癬性紅皮症
発疹が全身の80%以上にできて体全体が赤くなることがあります。未治療の場合や、不適切な治療や感染症などの影響で、尋常性乾癬から乾癬性紅皮症へ移行することがあります。
膿疱(のうほう)性乾癬
発熱や他の全身症状を伴って、皮膚の赤みの上に菌のいない膿が多数できることがあります。尋常性乾癬の経過中にできることもあれば、急に発症することもあります。
乾癬はどうして起こる?
乾癬が起こる原因はまだはっきりとは分かっていませんが、乾癬になりやすい体質があると考えられています。身の周りの何かがきっかけとなり、リンパ球などの免疫細胞と皮膚の細胞の連絡が上手にいかなくなると、皮膚の細胞の生まれ変わる速度が速まります。その結果、皮膚の細胞が増え過ぎて厚く積み上がり、そして皮膚がカサカサとしてむけやすくなるのではないかと推測されています。
乾癬を悪化させる要因は?

乾癬になりやすい体質に他の要因が重なって症状が悪化することがあります。
皮膚をこすることによる刺激
乾癬は通常はかゆみを伴いませんが、時にかゆくなることがあります。かくことによって症状の悪化を招いたり広がったりすることがあります。
不規則な食生活
脂肪分や糖分の多い食材の食べ過ぎによる肥満や糖尿病、高脂血症は、乾癬の発疹を悪化させます。
仕事、人間関係などのストレス
仕事や家庭生活などの疲れやストレスを感じ続けていると乾癬も悪化しやすくなります。
かぜ、扁桃炎などの感染症
風邪、インフルエンザ、扁桃炎や虫歯などの感染症にかかると乾癬が悪化することがあります。
特殊な薬剤
以下のような薬剤を使ったあとに症状が悪化することもあります。
- 高血圧の治療をする降圧剤
- 痛み止め(非ステロイド性抗炎症剤)
など
乾癬は人にうつる?
乾癬は他の人にうつる病気ではありません。
身体の目立つ場所に乾癬ができたときは、周囲からの視線が気になることもあるかもしれませんが、人に伝染することはありません。周りの人が正しい知識を持つことがとても大切です。
まとめ
乾癬の症状は、皮膚の赤み、盛り上がりやカサカサしてむけていくことが特徴となって現れます。原因はまだ解明されていませんが、体質が関係しており、感染症、ストレス、薬剤などによって悪化する傾向があるようです。乾癬は人に移る病気ではありません。見た目が気になりストレスが溜まることも多い病気なので、周りの人が理解をすることがとても重要です。