肌がカサカサして痒くなる、最近フケが多く出て気になる…こんな症状でお悩みの方は、脂漏性皮膚炎を患っているのかもしれません。脂漏性皮膚炎はありふれた病気ですが、自覚していない方も多いのではないでしょうか。今回は、脂漏性皮膚炎の原因や症状についてご説明いたします。
どんな病気?
脂漏性皮膚炎は、頭や顔など、皮脂分泌が多い場所や、腋の下などの皮膚が擦れる場所にできやすい皮膚炎です。
乳児に現れるものと成人に現れるものに分けられます。乳児にみられるものは、数か月経てば自然に治ることが多いとされています。
成人の場合は、再発を繰り返して完治までに時間がかかることもあります。特に皮脂腺の働きが活発になる思春期以降に多く発症します。
何が原因で起こる?
脂漏性皮膚炎の原因ははっきりわかっていないのですが、種々の要因が影響して発症や悪化を促していると考えられています。
脂漏性皮膚炎を発症・悪化させる要因としては、
- 皮膚の常在菌であるマラセチアが関係
- 疲れ、精神的なストレス
- 食生活、寝不足、生活習慣の乱れ
- 入浴、洗顔不足で皮脂が溜まる
- ホルモンバランスの崩れ
- 温度や湿度などの環境
などがあげられます。
マラセチア菌とは?
マラセチア菌は、正常な皮膚にも存在する皮膚常在真菌です。皮脂が多い環境で増える性質があります。増えすぎたマラセチア菌が皮脂を分解して遊離脂肪酸を作ったり、皮脂が酸化して頭皮の刺激となることで、炎症を引き起こし、脂漏性皮膚炎が起こるのではないかと推測されています。
どんな症状が起こるの?

鼻の横、眉、耳、髪の生え際、頭皮、わきの下、胸や背中の真ん中などの皮脂腺が多くある場所に赤くカサカサした痒みのある湿疹ができます。頭に発症すると、頭皮が赤くなりフケが多くなります。脂漏性皮膚炎が原因で頭髪が抜けることはありませんが、痒みのために頭皮をかき続けていると髪の毛が切れたり抜けたりすることがあります。
脂漏性皮膚炎と似た病気は?
フケ症
頭皮の老化した角質細胞がはがれおちる量が増えると、フケが目立つようになります。フケが多くなると、フケ症と呼ばれ、頭皮に炎症が起きて赤くなったりかゆくなったりすることもあります。
フケ症は、皮脂の分泌の多い人がかかりやすく、多くは脂漏性皮膚炎の軽いもの、または前段階だと考えられています。
アトピー性皮膚炎
慢性的に皮膚に痒みのある湿疹ができます。湿疹がよく出る場所は、手、腕、ひじの内側、膝の裏などです。皮膚をかくことでさらに症状が悪化する傾向があります。
原因はまだ分かっていませんが、身体の免疫システムの異常と皮膚のバリア機能の低下が影響しているのではないかと考えられています。
尋常性乾癬(かんせん)
乾癬による発疹が全身に起こります。特に頭、肘、膝などの皮膚が擦れる場所に出やすく、皮膚が赤くなって盛り上がり、カサカサして銀白色雲母状(皮膚がパリパリと薄い片状にはがれる状態)の皮がむけるなどの症状が特徴的です。
こちらも原因がまだ解明されていませんが、体質が関係しており、免疫細胞が上手に働かないことによって発症するのではないかと推測されています。乾癬については、「あちこちが赤くなったり皮がむけたり…乾癬はどんな病気?なぜ起こる?」もあわせてご参照ください。
まとめ
脂漏性皮膚炎は、乳児期に現れるものと成人になって現れるものに分けられ、成人になってから発症するものは長引く傾向があります。発症の原因として、ストレスなどの生活習慣、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が考えられています。脂漏性皮膚炎と似た病気には、フケ症、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬があげられます。