暖かい日差しを感じる春がくると、心が浮き立つのとは裏腹にアレルギーのある方は症状が酷くなってくる方もいるのではないでしょうか。三寒四温の春特有の天気や強い紫外線、花粉の飛散と春は肌にとっては過酷でアレルギーも発症しやすい季節です。今回はアトピー性皮膚炎の基本的知識とともに、悪化させる5つの要因をご紹介します。

目次

アトピー性皮膚炎ってどんな病気なの?

アトピー性皮膚炎とは、皮膚の上層部にできるかゆみを伴う慢性的な炎症のことをいいます。

かゆみのあるじくじくした発疹が皮膚の表面にできます。発疹がよく出る部位は、手、上腕部、ひじの内側、膝の裏などです。我慢できないかゆさのため、身体をかいてさらにかゆくなるという悪循環を引き起こし症状が悪化します。

また、かいたことによってできた皮膚の裂け目から細菌が身体に侵入すると、感染症を引き起こすこともあります。

どんな人に多いの?

  • 気管支喘息アレルギー性鼻炎結膜炎のうちどれか、あるいは複数の疾患を持つ人
  • 家族の中に上記の病気をもっている人がいる人
  • 家族の中にアトピー性皮膚炎の人がいる人
  • アレルギーと関係がある免疫物質のIgE抗体を作りやすい体質の人

年齢によって症状が変化する病気なので成長と共に治っていくこともあります。

乳幼児期は食物で悪化することがあり、乳幼児期を過ぎるとダニやハウスダスト、カビ、ストレスなどで悪化することもあります。

どうしてアトピー性皮膚炎になるの?

原因についてはまだ十分に解明されていません。色々な要因が重なり合って発症、悪化すると考えられています。

身体の内部的要因を2つあげます。

皮膚のバリア機能の低下

皮膚の保湿成分が足りないと角質が乾燥してスキンバリアにほころびが生じます。隙間があると異物が入りやすくなります。

アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは皮膚のバリア機能が低下しています。

免疫システムの過剰反応

体に外部から異物が入ってきた時にやっつけるのが免疫です。この免疫システムが過剰に作用して本来は害のないものにも身体が過剰に反応した状態がアレルギーです。

アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは、アレルギー反応を起こしやすい体質をもっています。皮膚のバリア機能の低下とアレルギーを起こしやすい体質が重なり、アトピー性皮膚炎の症状が起こります。

症状には個人差があり、発症や悪化させる要因もそれぞれ異なります。

かゆみのメカニズムってどうなっているの?

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かゆみ神経は体の表面近くまで伸びています。

皮膚炎が起きると皮膚から神経を成長させる物質が分泌され、神経線維がたくさん伸びてかゆみを強く感じるようになる、と考えられています。

かゆみを引き起こす物質としてヒスタミンが有名です。かゆみ神経にはヒスタミンと結合する受容体という場所があり、ヒスタミンがその受容体とくっつくとかゆいと感じます。

どんな時に悪化するの?

アトピーが悪化する外部的要因を5つご紹介します。

空気の乾燥

秋から冬にかけて、そして春先まで特に空気が乾く時期です。乾燥すると皮膚のバリア機能が弱くなってしまうので、外部からの刺激を受けやすくなりかゆみが増すことがあります。

気温の上昇

気温が上昇すると汗をかきます。汗をかいたままにしておくと肌への刺激が増します。

心理的なストレス、寝不足

春は就職や引っ越しなどで環境が大きく変わる季節です。慣れない環境での精神的ストレスはかゆみなどの症状を悪化させます。

刺激を与えるものとの接触(花粉やダニ、ハウスダスト、衣類など)

春に多く飛ぶのが花粉です。スギやヒノキなどの花粉が刺激となり、アトピー性皮膚炎の湿疹を悪化させることがあります。

また、都市型の生活では気密性が高い住居も多く、ダニの増殖を促してしまっていることも考えられます。

食物

乳幼児では食物アレルギーによってアトピー性皮膚炎が誘発されることもあります。

成人は個人差がありますが、アルコールや香辛料などの刺激物はかゆみを増すと考えられています。

まとめ

アトピー性皮膚炎は体質と身の回りの環境によって症状が現れたり悪化したりします。体質は遺伝的なものですが、私たちの体には病気を抑える力があります。医師と相談しながら自分の要因を探し、避けることで悪化を防ぎ少しでも生活の質を上げられると良いですね。

夜も眠れないかゆみが続くとストレスもたまりますが、生活の見直しや工夫によって悪化を防げる病気です。ご自分の症状をよく観察して病気とうまく付き合ってコントロールをしていきましょう。