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犬に噛まれてしまったらどうすればよいのでしょうか。犬の口の中は不衛生なので、小さな傷でも油断はできません。さらに、日本では減ってきているとはいえ、破傷風狂犬病といった怖い病気に感染する可能性があります。破傷風については「破傷風って知ってますか?その症状や原因とは?」でまとめているのでこちらをご参照ください。ここでは、犬に噛まれてしまったときの対処法について見てみましょう。

小さな傷でも油断は禁物

犬に噛まれたときは、傷口の大きさもさることながら、感染の有無に注意する必要があります。犬の口の中には様々な細菌が潜んでいるため、たとえ小さな傷だったとしても油断はできません。応急処置を行った後、速やかに医療機関を受診してください。

応急処置の方法

応急処置

応急処置の目的は出血を止めること、そして傷口を清潔にすることです。

出血を止める

まずは、出血を止めます。傷口が小さければ、止血は必要ないこともあります。出血がひどいときは、傷口よりも上の部分をタオルなどで縛って止血してください。

傷口を清潔にする

傷口を清潔にするために、水で洗い流します。このとき市販の消毒薬を使用してもかまいませんが、傷口を塞ぐ効果のあるものは避けるようにします。

犬に噛まれたときに怖いのは、出血よりも感染です。感染の可能性を残したまま傷口を塞いでしまうと、中で細菌が繁殖して化膿することがあるのです。

海外では狂犬病に注意

ワクチン

狂犬病は、発症してしまった場合にほぼ100%死亡するといわれています。日本国内においては、1956年を最後に発生していないそうです(厚生労働省より)。しかし、海外に目を向けると、日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除き、世界中で発生しています。そのため、特に海外で犬に噛まれたときは注意が必要です。

狂犬病は発症までの間に1~3カ月、長い場合には1~2年の潜伏期間があります。たとえ噛まれてしまった後であっても、潜伏期間中にワクチン接種を行うことで発症の可能性を抑えることができます。

噛まれた後にワクチンを接種することを「暴露後ワクチン接種」といいます。海外においても応急処置の方法は基本的には同じですが、ワクチン接種という選択肢があることを知っておきましょう。また、狂犬病の危険のある地域に渡航する際は、あらかじめワクチン接種を行っておくことが大切です。

気をつけたい病気:破傷風

もう一つ、犬に噛まれたときに注意したい病気が破傷風です。

破傷風は、破傷風菌が傷口に入ることで起こる感染症です。感染すると、初めは口が開きづらい・顎が疲れるといった症状が主ですが、徐々に歩行障害や排便障害、筋肉の硬直などが起こるようになります。死に至ることもある病気です。

破傷風については、「破傷風って知ってますか?その症状や原因とは?」で詳しく解説しています。

まとめ

犬をはじめとする動物に噛まれてしまったときは、感染への対処が最も重要になります。傷口を水で洗い流す応急処置をしてから医療機関を受診しましょう。出血が多いときは止血を行い、その上で傷口を水で洗い流します。また、特に海外では現在でも狂犬病の危険があります。渡航先の状況によってはワクチン接種を検討しましょう。