全身のいたるところに痛みが生じる「線維筋痛症」は、一般的にはあまり知られていない病気です。痛みに悩まされていても、その原因がはっきりしないときは、「精神的な問題かもしれない」と片付けてしまいがちです。しかし、その背景には線維筋痛症が潜んでいるかもしれません。線維筋痛症の症状について見てみましょう。

目次

「痛み」と「こわばり」が主症状

線維筋痛症は全身のいたるところに生じる「痛み」と「こわばり」が特徴です。古くからある病気ですが、以前は、心因性リウマチ、非関節性リウマチ、軟部組織性リウマチ、結合組織炎と呼ばれていました。女性に多く、男性の約5にもなります。年齢層としては40~50歳代に多い傾向があり、日本における患者数は約200万人と推定されています(Minds版 やさしい解説より)。

線維筋痛症の原因は?

はてな

線維筋痛症の原因については、はっきりとしたことは分かっていません。痛みの情報を伝達する神経経路の障害、または脳で行われる痛みの情報処理の障害だと考えられています。

この病気によって生命に危険が及ぶことはありませんが、日常生活動作能(ADL)や生活の質(QOL)が著しく低下してしまいます。

この病気は、残念ながら回復が困難な場合も少なくないのが現状です。治療が長期化した際の精神的なサポートも必要になります。

線維筋痛症の診断基準

線維筋痛症かどうかは、1990年に発表されたアメリカリウマチ学会の分類基準に基づいて判断されます。

  • 基準となる全身の18カ所を4kgの力で押したとき、11カ所以上で痛みが生じた場合
  • また、広範囲の痛みが3カ月以上続いている場合

上記に該当した場合に、線維筋痛症と診断されます(JFSAより)。また、痛みが生じる箇所が11カ所に満たない場合でも、専門医の判断によって線維筋痛症と診断されることもあります。

多様な痛みに対処するには

目元をおさえる男性

線維筋痛症の痛みは非常に多様で、軽度のものから激痛まで、また、広範囲の痛みから部分的な痛みまで様々です。日常生活を送る上では痛みへの対処が最も重要になります。次の点に注意が必要です。

  • 安静にしているとかえって痛みが強くなることがあるので、適度な運動を取り入れる
  • バランスのとれた食事で肥満を防止し、ストレスを溜めない生活を心がける
  • 喫煙や過度な飲酒を避ける
  • 民間療法や健康食品の活用については医師とよく相談する

まとめ

線維筋痛症は原因が解明されておらず、回復が困難とされている病気です。中には、病気であることを知らずに、長年全身の痛みに悩まされている人もいることでしょう。しかし、医療機関を受診し、線維筋痛症であることが分かれば痛みへの対処法も適切に行うことができます。