亜鉛はミネラルに分類され、私たちの体の筋肉や骨の中に存在しています。様々な代謝サイクルに関わる酵素を構成する成分となっているため、生きていくためには必要不可欠な栄養素です。
それでは、どのようなことが原因で亜鉛不足が起こり、欠乏するとどのような症状が見られるようになるのかということについて説明していきます。
亜鉛について
亜鉛は、私たちの体に存在する量は少ないながらも、必ずなくてはならない必須微量元素です。
亜鉛の役割働き
- 酵素の成分
- タンパク質の合成
- DNAの転写
- インスリンの生成・機能への関与
- 味覚への関与
亜鉛の1日の摂取推奨量
2015年度版の日本人の食事摂取基準において、亜鉛の1日の摂取推奨量は以下のようになっています。
- 成人男性:10mg
- 成人女性:8mg
慢性的に亜鉛の摂取量が低下してしまうと、ちょっとした異常や病気を引き起こしてしまいます。
亜鉛が欠乏する原因
亜鉛は、体の中で作り出すことはできません。そのため、食べ物から摂取する必要があります。
できるだけ自然食品から摂取することが理想的です。インスタント食品やファーストフード、コンビニ弁当などを食べてばかりいる生活ではどうしても不足してしまいます。また、ダイエットによる食事摂取量の低下や、好き嫌いによる偏食によっても亜鉛不足が起こる可能性があります。
主な食品の100g中の亜鉛含有量は、以下の通りです。
食品名 | 亜鉛含有量(mg) |
食パン | 0.8 |
ご飯 | 0.6 |
プロセスチーズ | 3.2 |
牛乳 | 0.4 |
納豆 | 1.9 |
大豆 | 2.0 |
アジ | 1.0 |
干しエビ | 3.9 |
卵 | 1.3 |
豚肉 | 2.7 |
ウインナー | 1.4 |
人参 | 0.2 |
バナナ | 0.2 |
とろろ昆布 | 1.1 |
アーモンド | 4.0 |
(参照:ゼリア新薬工業株式会社|亜鉛のお話を元にいしゃまち編集部が作成)
1日の推奨量を満たすためにも、無理な食事制限を行わず、色々な食品を摂取できるように意識してみましょう。
その他の亜鉛欠乏症の原因
アルコール依存症・糖尿病・慢性腎疾患・肝臓疾患・膵臓疾患など
亜鉛不足によって見られる症状とは?
亜鉛は代謝に必要な酵素の成分となっていたり、タンパク質の合成やDNAの転写に関わっています。また、皮膚や粘膜の健康維持や味覚を正常に保つためにも必要な栄養素であり、様々な役割を担っているのです。
亜鉛の摂取不足が続くことによって見られる症状には、以下のようなものがあります。
- 味覚の低下:味を感じる細胞である「味蕾(みらい)の生まれ変わりに支障をきたすと起こります。
- 免疫力の低下:白血球の機能が落ちることが知られています。
- 創傷治癒:亜鉛の欠乏により、高齢者の床ずれの治りが悪くなることが知られています。
- 皮膚の異常:亜鉛が不足すると表皮が厚くなり、乾燥してカサカサし、色はくすんだようになります。
亜鉛は体の色々な機能に関わっているため、不足によって見られる症状も様々です。
一方、亜鉛の摂りすぎによる過剰症についても気になる所かもしれませんが、実は普通の食事をしていれば、過剰症になる心配はほとんど必要ありません。
サプリメントや栄養強化食品を使用した場合には、銅の吸収を阻害し、銅欠乏性貧血などの症状が見られる場合もあるので注意が必要です。
まとめ
以上、亜鉛欠乏症の原因や症状について説明をしました。
私たちの体に存在する亜鉛の量はほんの僅かですが、大切な機能を担っていることに間違いはありません。
無理な食事制限は亜鉛だけではなく、他の栄養素の欠乏にも繋がってしまいます。適正な食事量を確保し、栄養バランスの整った食事ができるように普段から意識することが大切です。