40歳を過ぎたころから気になり始めるのが「加齢臭」です。一般的には中年男性特有の臭いのように思われていますが、女性にも生じることがあります。ここでは加齢臭の原因とその対策について見てみましょう。

目次

加齢臭の原因

加齢臭は、一般的な体臭と明確に区別されるわけではありません。一般的な体臭と同様に加齢臭にもいくつもの原因がありますが、特に気になるのは次の3つです。

頭皮

頭皮には臭いが生じやすくなる条件がそろっています。皮脂腺が発達しているので分泌物が多く、また、古い角質細胞が剥がれ落ちていわゆるフケが出ます。これらが酸化したり、微生物の働きで変質したりすると嫌な臭いが生じます。さらに、毛髪にはこうした臭いを吸着し、凝縮する働きがあるのです。

脇は汗をかくためのアポクリン汗腺が発達しており、また、体の中でも特に皮膚常在菌が多い部位です。

アポクリン汗腺から分泌されるのは細菌が好むアンモニア、糖分、脂質、タンパク質などを含む汗です。細菌がこれらを分解しながら繁殖すると、強い臭いが生じます。

足の裏

足の裏はエクリン汗腺が発達した部位です。エクリン汗腺には、体温調整をするための汗を分泌する役割があります。

エクリン汗腺から分泌される汗の成分はそのほとんどが水分で、ごく少量のミネラルしか含まれていないので基本的には臭いの原因にはなりにくいといえます。しかし、足には靴下や靴をはきます。汗自体は臭いの原因にはなりにくくても、大量の汗が靴下や靴に染み込んだまま放置していると臭いが生じてしまいます。

40歳を過ぎると体臭が強くなる理由

男性の後ろ姿

加齢臭がとりわけ40歳を過ぎてから強くなるのには理由があります。

汗を分泌する汗腺の近くには、脂を分泌する皮脂腺があります。この皮脂腺からは脂肪酸や過酸化脂質が分泌されますが、40歳を過ぎると体の酸化に対する抑制力の低下によってこれらの分泌が増えると考えられます。

脂肪酸や過酸化脂質が空気に触れて発酵すると、ノネラールと呼ばれる物質がつくられます。加齢臭に特有の臭いはノネラールが原因と考えられています。

加齢臭を防ぐには

加齢臭に悩む日本人が増えてきた背景には食の欧米化があります。現代人は昔に比べて肉や乳製品など動物性脂肪含む食品をたくさん摂取するようになっています。先に見たように、皮脂腺から分泌される脂肪酸は臭いの原因になります。食事の変化によって、摂取する脂肪も排出する脂肪も増えていると考えられます。食事を見直すことも体臭の改善につながります。

また、日頃から汗への対処に気を配ることが大切です。暑い季節はシャワーを多用し、汗や脂をよく洗い流すようにしましょう。脇の臭いが気になる人は消臭効果のある市販の制汗剤やミョウバン水を活用するとよいでしょう。

まとめ

加齢臭が生じやすい40歳を過ぎたら体質の変化を自覚して、動物性脂肪の摂取を控えるなど、食生活に気を配るとよいでしょう。加齢臭への対処法は、一般的な汗や臭いの対象法と基本的には同じです。頻繁にシャワーを浴びるなど、汗への対策をしっかり行いましょう。