ピロリ菌に感染すると、胃潰瘍や胃炎などの病気になったり、さらに進行して胃がんになるリスクを高めたりしてしまいます。ピロリ菌を保菌しているからといって、全ての人がそのような病気や胃がんになるわけではありませんが、食生活を含めた生活習慣次第では、胃がんとなるリスクは上昇する傾向にあります。

それでは、胃がんだけではなく、様々な胃関連の病気のリスクを高めてしまうピロリ菌から体を守るためにはどのような食生活をしたら良いのでしょうか、そのポイントについて説明します。

目次

ピロリ菌とは?

胃の中に入ってきた細菌は、普通は胃酸によって殺菌されますが、ピロリ菌は酸性の胃の中でも生きていくことのできる菌です。最近の研究では、このピロリ菌が胃がんやその他の胃疾患の発症に深く関わっているということがわかってきました。

ピロリ菌は子供の頃に感染するリスクが高く、最近は医学の進歩や衛生状態の改善により感染率は減ってきています。しかし、20年以上前、子供の頃に感染してしまった現代の大人達が保菌者になっていることが多いと報告されています。

ピロリ菌への対処としては、一番に除菌が挙げられます。病気が見つかる前に、ピロリ菌を体内から除去することで、胃がんとなるリスクを大幅に減らすことができるのです。

ピロリ菌に感染していたら…

ピロリ菌は、胃や十二指腸炎を繰り返している患者に対しての内視鏡検査や血液検査などにより発見されます。

異常が見つかった場合には、1週間程度の抗生物質の投与を開始しピロリ菌の除去療法が行われます。その後再検査を行い、ピロリ菌が完全に除去されたことを確認できれば治療は終了となります。

しかし専門家の間では、ピロリ菌による何らかの症状が出るまでは除去の必要はないという意見もみられ、初めは食生活を改善して減菌していく方法をとることもあります。

ピロリ菌に対する食事療法

ピロリ菌2

これまで研究されてきた中で、ピロリ菌の減菌に対して効果があるのではないかといわれている栄養成分と、それらが含まれる食品には次のようなものがあります。

  • L21乳酸菌…ヨーグルト
  • スルフォラファン…ブロッコリースプラウト(ブロッコリーの芽)
  • フコイダン…昆布やワカメなどの海藻類に含まれるぬめり成分
  • カテキン…緑茶

その他、ココア、梅、マヌカハニー(はちみつ)、シナモン、クランベリーなどにもピロリ菌を減らす効果があるのではないかといわれています。

これらの食品をとり入れることで、ピロリ菌を減らすことができ、胃がんだけではなく胃炎や胃潰瘍などの予防に繋がる可能性があります。

まとめ

ピロリ菌は食事によって完全に除去することはできません。しかし、ピロリ菌の減菌に効果がある栄養成分の研究が進められているため、これらを意識して取り入れていくことが症状の改善や胃炎・胃潰瘍・胃がんの予防につながる可能性があります。

ただし、ピロリ菌を確実に除菌する方法は薬による治療です。ピロリ菌がいることが分かっている方は、医師の指示に従って抗生物質を服用してください。