繰り返しの動きでからだに負荷がかかると、いつの間にか骨が折れている場合があります。この状態を疲労骨折といい、熱心にスポーツへ取り組む人にみられるスポーツ障害の一つです。今回は疲労骨折について、原因や症状、診断されてから治療までの流れや予防策について紹介します。
疲労骨折とは?その原因は?
疲労骨折は力が同じ場所に繰り返し加わることで骨にヒビが入ったり、場合によっては折れたりしてしまうものです。10歳代の中高生や女性の運動選手に多いとされています。
また、疲労骨折による痛みを我慢しながらスポーツを続けた場合、慢性化したり、骨が完全に折れてしまったりしたものを難治性の疲労骨折といいます。
原因
日々の動作や運動で骨に体重などの負荷・圧力がかかり続けるためです。骨に負担をかけやすいスポーツ競技者に発生しやすく、特に短期間の集中トレーニングで起こりやすくなります。
疲労骨折になる要因を細かく見てみると、環境側の要因(外的要因)と選手側の要因(内的要因)に分けられます。外的要因は骨への過度な負荷以外に、グラウンドの硬さ、使用するシューズの種類、内的要因は柔軟性の不足、扁平足や外反母趾、骨粗鬆症などが挙げられます。
疲労骨折の症状、発生する部位は?
明らかな外傷はないのに、運動時に痛みを感じたり、押すと痛みを覚えたりします。痛みの程度はバラつきがあり、例えば足に疲労骨折が起きた場合、歩けないほど痛むときもあれば、痛みはあっても走れる程度のこともあります。
初期は運動時に痛みはあっても安静時には気にならないことが多いです。ひどくなると、安静にしていても痛みを覚えます。
発生する部位
疲労骨折が発生する部位は、競技や動作と関連しています。
よくみられるのは下肢が多く、特に足の甲の骨は繰り返し力がかかりやすいため(疲労骨折が)起きやすいです。他に脛(すね)や肋骨、骨盤でもみられます。
疲労骨折の診断・治療は?
診断
上述の症状を確認した上で、(疲労骨折の)確定診断を行うために画像検査を行います。
画像検査のうち、X線検査は初期の段階ではレントゲンで明らかな骨折を発見することが難しいです。その場合は骨シンチグラフィ(骨へのがん転移をはじめ、骨折や関節に生じた炎症を探すための検査)、超音波検査やMRIで患部を確認したり、3~4週間後にもう一度X線検査を行ったりします。
治療
疲労骨折はギプスによる固定ではなく、骨折した部分の安静を保って骨が癒合するのを待つことが多いです。つまり、原因となったスポーツなどの活動は控えて、場合によっては松葉杖などで骨折部の負担軽減を図ります。難治性の疲労骨折の場合は、ギプス固定だけでなく手術が必要となることがあります。
スポーツ復帰は骨折の箇所や程度によって異なります。痛みや筋力の回復具合も見ながら復帰を目指します。
疲労骨折の予防
疲労骨折の予防としては、過剰な練習を避けることに加えて、柔軟性や筋力の他に、環境や用具のコンディションも整えることが大切です。
高いレベルで取り組んでいる方は厳しいトレーニングが必要な方もいるかと思います。その場合は痛みや腫れなどを感じたら、すぐに医療機関を受診するようにし、悪化しないよう努めましょう。
まとめ
疲労骨折は、特に外傷がなくてもスポーツなどで激しいトレーニングをする場合は起こり得ます。「なんか痛むけど気のせいかな?」と思って放置してしまい、完全に骨折してから疲労骨折に気づくことも多いようです。疲労骨折に対する適切な対応を身につけて、よりよいスポーツライフを送りましょう。