ED(勃起不全)治療には主に内服薬を用いることがほとんどです。
8割程度の方には効果が出ており、それほど高齢ではない方や動脈硬化が少ない人にはもっと高い割合で効果が出ます。
服薬に不安を覚える方もいるかもしれませんが、EDの治療薬は安全性が確認されています。
現在のようなED治療薬がなかった時代は、ある意味EDには打つ手がなかったわけですから素晴らしい薬が開発されたと思います。
ED治療薬としてはバイアグラがとても有名ですが、それ以外にもレビトラ、シアリスなどそれぞれ特徴をもった薬が発売されています。
今回はそれぞれの薬の特徴についてお話ししたいと思います。
その前に全ての薬に共通な点だけあらかじめ説明しておきます。
- 陰茎に集中的に働く血管拡張薬で、血液の流れを良くすることでEDを改善させる。
- 性欲増進効果はない(媚薬ではない)。
- 空腹時に内服する方が効き目がいい。
- 主な副作用は動悸、顔の火照り、目の充血、頭痛など。
- 性的な刺激がなければ勃起しない。
では、それぞれの薬について説明していきます。

1.バイアグラ
バイアグラは商品名で一般名はシルデナフィルといいます。
ファイザー製薬により世界で最初に開発された最も有名なED治療薬でしょう。
名前だけは大人なら誰でも知っているのではないでしょうか?
バイアグラは25mg錠と50mg錠の2種類が日本では発売されています。海外では100mg錠があるのですが、こちらはどういうわけか日本では未発売です。
性行為の1時間前に内服すると25mg錠で2〜3時間、50mg錠で4〜5時間程度効果が続きます。
バイアグラは通算の処方実績はナンバーワンですし、確かなED改善効果があります。
しかし、空腹時に内服しないと効果が落ちやすく、特に焼肉など油っこい物を食べてから内服すると極端に効き目が落ちることがあります。
食事をしたら2時間程度あけるべきだと言われていますが、パートナーと食事に行ってから使用するというケースも多いでしょうから、やや内服のタイミングがシビアであるというのが難点です。
2.レビトラ
一般名はバルデナフィルでバイエル薬品が開発しました。イメージは簡単に言ってしまうとバイアグラを改良した薬と言えます。
まず即効性が上がっており、性行為の20〜30分前程度の内服でも効果を発揮します。
そして食事の影響もバイアグラよりは受けにくくなっています。ただし空腹時内服がベストであるのは変わりません。
5mg錠、10mg錠、20mg錠の3種類が日本でも発売されておりレビトラの20mg錠は力価(薬の強さ)という点ではバイアグラの100mg錠に相当しますので国内では最も強力なED治療薬です。
動脈硬化などが強く、薬が効きにくい方にはとても良い治療オプションになります。
ただし、65歳以上はレビトラ20mgは適応外になっています。
3.シアリス
一般名はタダラフィルでイーライリリー社が開発しました。日本では日本新薬が販売しています。
シアリスの特徴はとにかく長く効きます。5mg錠、10mg錠、20mg錠が販売されていますがそれぞれ効果は16時間、24時間、36時間以上、となっています。
食事の影響を最も受けにくく、副作用も弱めです。
いいことずくめのようですが薬の強さはやや弱めであり、効き始めるにも時間がかかります。
性行為の1時間前の内服でいいとされていますが、人によっては2〜3時間たってから効果が出始めることもあります。また、副作用がでた場合は少し長めに続くことがあります。
シアリス20mg錠を1回内服すると2日くらい効き目が続くので、あらかじめ内服しておけば薬を飲むタイミングを考えなくていいというのも魅力です。
4.ジェネリックバイアグラ
バイアグラにはジェネリック医薬品という選択肢もあります。だいたいがシルデナフィル50mg VI「〇〇」などのような商品名です(〇〇に会社名などが入ります)。
特徴的な商品としては東和薬品がOD錠(口腔内溶解錠、つまり水なしで飲める)を販売しています。レモン味、コーヒー味などフレーバーがついているのも面白いです。
それ以外にも10社近くが参入していますが、テバ製薬、キッセイ薬品、富士化学工業などが多く出ているようです。
ジェネリック医薬品はときどき本来のものより効き目が落ちることがありますが、ジェネリックバイアグラに関しては今のところ特に悪い評判を聞きません。
本家のバイアグラよりだいたい4〜6割くらい安く買えることが多いので治療のコストを最優先する方にはおすすめです。
処方できない場合について

最後に少し残念なお話ですが、持病や内服中の薬によってはED治療薬が処方できない場合があります。
代表的なものは以下の通りです。
- ニトロ製剤を内服している。
- 心臓の病気(心筋梗塞、狭心症など)があり性行為自体が危険である。
- 肝臓や腎臓に重い病気(肝硬変や人工透析中など)がある。
- 血圧が90/50mmHg以下の低血圧、または、血圧170/100mmHg以上のコントロール不十分な高血圧。
- 最近3〜6ヶ月以内に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞になった。
- 網膜色素変性症という目の病気を持っている。
- 一部の不整脈の薬を内服している(アミオダロン、プロカインアミドなど)
- HIVで抗ウイルス薬による治療をしている。
- 抗真菌薬(イトラコナゾール、ケトコナゾール)を内服している。
- 肺高血圧症の薬(リオシグアト)を内服している。
処方できない条件はバイアグラ、レビトラ、シアリスで少しずつ変わりますので心配な方はまず医師に相談してみるといいでしょう。
まとめ
今回は 各ED治療薬について簡単にまとめてみました。
どれを選べばいいかわからない方もいると思いますが、自分が薬を使用するシチュエーションと治療費用なども参考になります。
例えば、治療実績重視で空腹時内服ができそうならバイアグラ、週末に内服のタイミングを考えず効かせていたいのならシアリス、いつ使用するかタイミングが読めない方は即効性があり強力なレビトラ、コストパフォーマンス重視ならジェネリック、といったところでしょうか。
ただ、今回書いた副作用の出方や効果も一般論で個人差がありますので、何種類か試して一番自分に合う薬を探すのもいいでしょう。