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血管迷走神経反射は生命を維持するために非常に重要な役割を果たしています。しかし、この反射が原因で起こる失神は心停止をきたすことがあり、命の危険を脅かす可能性があります。また、失神すると転倒のリスクが高くなり、頭を強く打つことも考えられます。

この記事では、血管迷走神経失神の対処方法や治療方法について詳しく説明します。焦ることなく血管迷走神経失神に対応するために、この記事が少しでも役立てばと思います。

血管迷走神経失神とは

強い痛みや排便、ストレスなどによる刺激は迷走神経を刺激します。この刺激が脳幹にある脳幹血管運動中枢に伝わり、心臓の拍動回数(心拍数)を低下させたり、血管拡張によって血圧を低下させたりすることがあります。この一連の反応を血管迷走神経反射といいます。

そして、血管迷走神経反射によって脳の血流が減少し、失神することがあります。これが血管迷走神経失神で、失神の20を占めていますが、多くが予後良好であることが知られています。なお、血管迷走神経反射や失神については、「突然、意識を失ったら…それは血管迷走神経失神かもしれない」という記事で説明していますので、この記事も併せてご覧ください。

血管迷走神経失神が起きた際の対処方法

横になる女性

周りの人が突然、失神を起こして倒れた時に行ってはいけないことは、

慌てること

です。

慌てていては適切な対処はできません。また、失神が起きた場合には、安静にして仰向けになることですみやかに意識および症状は回復します。また、血管迷走神経反射による湿疹は生活指導のみで改善することが多いとされています。ですから、トイレの際にあまり力まない、あまり多くを飲み込まず、少しずつ飲み込みをするなど、生活習慣を改善するようにします。そして、いずれの失神でも失神が起こる直前に、前兆(気分不快,血の気が引くような感じなど)があった場合、しゃがみこんで転倒に備えるようします。

こんな場合は医療機関へ

安静にしていて症状が回復するのであれば問題ありませんが、よくならない場合には速やかに医療機関を受診してください。また、回復してからも何度も繰り返す場合には、別の病気が隠れている可能性もあります。その場合は、専門外来を受診しましょう。専門の外来がある場合はそちらを、そうでなければ救急部や循環器内科を受診してください。

血管迷走神経失神の治療方法

現在、血管迷走神経失神に対して一般的に有効な薬はありません。しかし、生活指導により失神が予防できず、失神が起きた際に脈拍数が低下する(徐脈)心停止などが出現する場合にはペースメーカー植込みが必要となる場合があります。

まとめ

血管迷走神経失神は心停止や突然の失神などの症状があり、何も知らない方がこれら症状に対して冷静に対処するのは難しいでしょう。また、血管迷走神経失神に対する有効な治療方法はないため、症状が起きた際の対処が非常に重要です。しかし、安静にして仰向けにする、しゃがみこんで転倒に備えるなど、その対処方法は難しくはありません。また、なかなか治らない・何度も繰り返すなどの症状がみられた場合は、医師に相談してください。