急に目の前が暗くなって、気が付いたら失神していた…。そんなことがあったらとても驚いて心配になってしまいますよね。
今回はあまり知られていない失神のメカニズムとその原因を説明したいと思います。

目次

失神の定義とは?

失神=気を失うこと、となんとなく思っている人も多いのではないでしょうか。その理解で大きな間違いはありません。しかし、失神には医学的にしっかりとした定義があります。

失神とは「一過性の意識消失発作の結果、姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復がみられること」を指します。
簡単にいうと、意識を失ってから5分以内に意識がしっかりと戻るものを失神と呼びます。

失神の原因は大きくわけて3つ!

失神は、基本的には脳の血圧が低下が関係しているといわれています。
では、なぜ脳の血圧が低下してしまうのでしょうか。3つに分類される原因とそれぞれに代表される病例をご紹介します。

1.起立性低血圧による失神

急に立ち上がったとき、ふらふらっとしたことはありませんか?
これは立ち上がったことで、お腹あたりの血液が一気に足の方に行くことにより、血圧が過度に低下してしまうことで起き、起立性低血圧と呼びます。

高血圧の薬の服用や、アルコールを摂取することなどで血圧が下がりやすい状態にある人がなりやすく、軽度であれば立ちくらみ程度で済みますが、ひどいときはそのまま失神してしまうことがあるのです。

2.反射性(神経調節性)失神

失神した女性-写真

自律神経反射が密接に関係している血管迷走神経性失神、頸動脈洞症候群、状況失神の3つの失神を総称して反射性(神経調節性)失神と呼びます。

血管迷走神経失神

様々な要因で交感神経と迷走神経のバランスが異常をきたすことで、失神に至ります。

失神する前に動悸がしたり、吐き気が表れたり、目の前が真っ暗になるのが特徴で、長時間立ちっぱなし、痛み、ストレス、さらには排便排尿などが誘因となって起こります。

頸動脈洞症候群

頸動脈洞症候群とは中高年の方に多い失神の原因です。
首にある血管である頸動脈の一部が敏感になってしまったところに、ネクタイを締めたり、首を回したりすることが誘因となることが多いです。

状況性失神

状況性失神とはある特定の状況や、日常的な動作が誘因となって起きる失神のことです。

迷走神経の活動が活発になりすぎてしまったり、交感神経の活動が低下してしまうことなどにより血圧が下がり、失神を起こします。
失神の起きるタイミングは、排尿、排便、、嘔吐などちょっとしたことが多く挙げられます。

いずれの神経調節性失神も、直接命に関わるようなことはありません。しかし日常生活に支障をきたしますし、車などの運転中に失神を起こすと事故に繋がる可能性があるので油断はできません。

3.心原性(心血管性)失神

この失神は今までに挙げた起立性低血圧による失神と反射性(神経調節性)失神とは異なり、心臓に疾患がある場合に起こる失神です。

具体的には、不整脈狭心症心筋梗塞、大動脈解離などの症状・病気が原因となります。

心筋梗塞などの心臓病の経験がある人が失神を起こした場合は、心原性(心血管性)失神を疑いましょう。

失神と間違いやすい病気

症状は似ていますが、厳密には失神とは異なる病気もあります。

その代表例がてんかん発作です。
てんかんの症状は出方が多様で、中には数秒動きを止めた後に意識を取り戻して動き出すという失神に似たものもあります。

てんかんと失神は見分けることが難しいので、どちらか一方の病気であると決めつけず、医師の方の意見を聞くことが大事です。

まとめ

ひとことに失神といっても原因は様々で、命に関わる病気が原因である可能性もあります。自分は大丈夫、と思わずにしっかりと医療機関で受診をされることを強くおすすめします。