人体は、生命活動を守るために様々な機能が発達しています。血管迷走神経反射もその一つで、この反射は生命を維持するために非常に重要な役割を果たしています。しかし、ときに本来は重要なはずの機能が病の原因になることがあります。血管迷走神経反射はときに意識を失わせ、最悪の場合、心停止をきたすこともあります。

この記事では血管迷走神経反射について、その原因や症状について詳しく説明します。

血管迷走神経反射はその症状が派手であるため、対処を誤ってしまうことがあります。適切な対処をするためにこの記事が少しでも役立てればと思います。

目次

血管迷走神経反射とは

強い痛みや排便、ストレスなどによる刺激は、脳神経の一つである迷走神経を刺激します。その刺激が脳幹にある脳幹血管運動中枢に伝わり、心臓の拍動回数(心拍数)を低下させたり、血管拡張によって血圧を低下させたりすることがあります。

この一連の反応を血管迷走神経反射といいます。

迷走神経の役割

迷走神経は胸やお腹にある、様々な臓器に広く分布する神経です。その役割は多岐に渡ります。

特に重要な役割の一つとして、心臓や血管に作用し、心拍数の低下血圧の低下をきたします。通常、この迷走神経の役割はヒトの体に害をもたらしませんが、ときに失神の原因になることがあります。これを血管迷走神経失神といいます。

血管迷走神経失神とは

血管迷走神経失神は血管迷走神経反射によって脳の血流が減少することで起こります。血管迷走神経失神の原因は血管迷走神経反射であるため、血管迷走神経反射の原因と同様です。

つまり、強い痛みや排便、ストレス、他にも飲み込みといった状況でも起こりえます。また、血管迷走神経失神は失神の20を占めていますが(KOMPASより)、多くの場合、経過は良好であることが知られています。

血管迷走神経失神の症状

横たわる男性

血管迷走神経失神の主な症状は失神です。失神は一時的に意識を失うことです。そして、失神の前兆として、顔が白くなる、冷や汗をかく、気持ちが悪くなるといった自律神経症状を示す場合もあります。さらに、血管迷走神経反射の程度が強ければ、心停止をきたすこともあります。

このように、血管迷走神経失神は突然起こり、その症状が重く見えるため、血管迷走神経失神は恐ろしいと思ってしまいがちです。
しかし、失神が起きても安静にして仰向けにしていればすぐに症状は回復します。もし、よくならないのであれば速やかに医療機関を受診しましょう。また、回復した後に何度も繰り返す場合も、別の病気のおそれがありますので医師に相談してください(専門外来または救急部循環器内科が専門となります)。

まとめ

血管迷走神経反射や失神は日常生活の様々な動作が誘因となりえます。また、血管迷走神経失神の症状は非常に強く、突然起こるため、慌てることなく適切に対応することが必要です。