妊娠を望んでいても、妊娠の確率を上げるために何をすべきかわからない方も多いのではないでしょうか。
今回は月経のしくみをふまえた上で、妊娠のために覚えておきたいことを紹介していきます。

目次

月経を起こす女性ホルモンの働き

女性の身体や心の不調、美容に大きく関わるのが“女性ホルモン”です。女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、脳から指令を受けて卵巣から分泌されて、毎月の生理が訪れます。

エストロゲン

排卵前に分泌がピークになります。子宮内膜を厚くする、受精卵の着床を助けるなどの働きがあります。また、肌のハリを出す、自律神経や脳の働きをよくする、記憶力をアップさせる、骨密度を保つ、高血圧や高脂血症を予防するなどの効果もあります。

プロゲステロン

排卵後に分泌量が増えます。子宮内膜を着床に適した状態にする、着床後の妊娠継続を助ける、エストロゲンの働きを抑える、体温を上昇させる、皮脂分泌を活発にするなどの効果があります。

エストロゲンが過剰に働くと子宮がんや乳がんのリスクが増えるため、プロゲステロンが抑える働きがあります。この2つの女性ホルモンをバランスよく働かせることが大切です。

妊娠しやすいのは生理予定の2週間前!?生理周期の解説

本を読む女性-写真
女性の生殖器は、卵巣、卵管、子宮、膣から成り立っていて、脳からの指令を受けて卵巣から成熟した卵子を出します。このことを排卵と言います。月経の周期は、出血が始まった日を1日目として、次の月経が始まるまでを数えます。月経周期は人によって25~36日間と幅があります。

卵胞期:8~10日間

卵子が排出される前の期間です。脳からの指令によって、性腺刺激ホルモンが放出され、卵巣にある卵胞を大きく育てます。卵胞が大きくなるとエストロゲンを分泌して子宮内膜を厚くしていきます。沢山ある卵胞の内、特に一つだけが大きくなり、エストロゲンの分泌がピークを迎えます。エストロゲン値がピークに達すると脳から黄体化ホルモン(LH)が大量に分泌して、これが引き金となって排卵が起きます。

排卵期:13~32時間程度

卵子が放出される期間です。生理が始まる2週間前に排卵は起きるとされ、排卵前~当日の3日間くらいが最も妊娠しやすい時期となります。つまり、生理予定日の16日前~14日前が目安となります。排卵後は12~24時間で受精能力を失いますので、排卵日当日にタイミングを合わせるよりも2日くらい前からタイミングを持っておいた方が妊娠率が上がるというデータがあります。

この時期に卵巣の中の一番大きい卵胞から排卵が起きて、卵管の先にある卵管采が卵子を捕まえて子宮へ取り込まれます。

黄体期:10日前後

卵子が放出された後の期間です。排卵後の卵胞からエストロゲンやプロゲステロンが分泌されて子宮内膜は妊娠の準備をするためにさらに厚くなります。卵管膨大部で精子と出会って受精すれば妊娠が成立します。受精卵は分裂を繰り返しながら子宮へむかい、内膜に潜り込んで着床します。受精しなかった場合もそのまま子宮にむかい、おりものと混ざって膣の外へ排出されます。

月経期:5日前後

妊娠が成立しなかった場合、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減り子宮内膜に酸素と栄養が送られなくなります。その結果として不要となった子宮内膜がはがれ落ちて血液と一緒に身体の外へ排出されます。これが月経のはじまりです。

生理周期についての詳しい話は「こんな生理は要注意!正常な期間、周期はどれくらい?」で解説しています。

ちょっと怖い話…卵子の数について

女性は初潮から閉経までの約40年間に、身体の中で排卵から月経までのサイクルを繰り返していますが、卵巣の中の卵子の数は決まっています。産まれたときに卵巣に持っている卵子の数はおよそ、200万個と言われており、月経によって毎月1個ずつ排卵されていきます。一方で卵胞が大きくなるときに排卵しないで退行する卵子もあります。成人するころの卵子は、10万個程度になり、40歳くらいには1万個まで減ると言われているので、どんなに頑張っても「卵子が増える」ということはありません。そして、卵子がなくなってしまうと妊娠もできなくなってしまいます

妊娠しやすい身体になるには

ぬいぐるみを持った女性-写真
妊娠は簡単に起こると思っている方も多いかもしれませんが、命の源である妊娠は奇跡的なもの。女性ホルモンと子宮を整えることで、いつでも妊娠できる身体を作りましょう。

妊娠を妨げる心理的背景をなくす

検査をしても何も異常がないのに不妊である「原因不明不妊」も2~3割存在しますが、心身のアンバランスや心理的要因が影響している場合もあります。妊娠したい理由が「避けたいことを避ける」「足りないものを埋める」ものになっていたり、妊娠はしたいけれど仕事や趣味など自分のやりたいこともあきらめたくないといった「ダブルバインド」の状態だと、スムーズに妊娠に向かいにくくなることがあります。

毎日忙しく働いていれば、身体の状態に気づきにくくなるので、まずは食事、睡眠、運動などの生活習慣を見直して規則正しい生活を送るよう気を付けましょう。

また、自分が「なぜ妊娠したいのか」や、妊娠を目指す過程や妊娠&出産にともなっておこりうる「避けたいこと」がないかを洗い出してみるといいでしょう。

血流をよくする

卵子と精子が出会って受精卵になり、胎児が育つベッドになる子宮内膜に着床して妊娠となりますが、このベッドの状態が良くないと受精卵が流れてしまうこともあります。受精卵が着床しやすい子宮内膜をつくるためには、身体の血流をよくすることが大切です。リラックスしていることでぬくもりのある柔らかい子宮が作られます。夫婦で肩をもみあったり、マッサージをしたりして緊張をほぐしながら身体を温めましょう

また、身体がこわばると呼吸が浅くなり空気をしっかり取り込めなくなります。深く呼吸をすることで、気持ちを落ち着かせ身体のめぐりをよくさせましょう

バランスの良い食事を

食事はバランス良く、主食・主菜・副菜を意識して献立を立てましょう。

また日本の自然に根差した食事を日常的に取り入れることで細胞を活性化させて身体の調子を整えることができるといわれています。ぜひ覚えたいのが“まごはやさしいよ”です。豆類、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ(きのこ類)、いも類、ヨーグルト(発酵食品)の頭文字を取っています。これらの食材を日常的に採るように意識して食事をしましょう

その他、黒い食べ物は貧血予防や血行促進効果があり、ねばねばしたものはホルモンの働きを整える効果が期待されています。黒豆、ひじき、おくら、やまいも、れんこんなども積極的に採りたい食材です。外食が多い人は意識して和食メニューを選ぶ、朝食がパンだったら昼食は和食にするなど、無理のない範囲で生活に取り入れていきましょう。

まとめ

女性の身体や心の状態は、女性ホルモンが大きく関わっています。女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンの2つがありバランスを保つことで、身体の調子も整います。妊娠を望まれる方は、心理的ストッパーをなくす、血流を整える、バランスの良い食事を意識してホルモンと子宮を整えましょう。また、あくまで目安ですが生理予定日の16日前~12日前が妊娠しやすいということを覚えておくと良いかもしれません。