妊婦さんは体調管理に気を付けなくてはいけない、ということは何となく皆が知っていることだと思います。妊娠してから生活習慣に気を付ける方も多いかと思いますが、実は、妊娠前から少しずつ気を使った方が良いことがいくつかあります。

そろそろ赤ちゃんが欲しいと考えている方へ、妊娠前にすべきことについてお話ししたいと思います。

目次

基礎体温を測る

基礎体温の計測は、妊活する上でとても重要です。基礎体温をつけることで、排卵日や次回生理日の予測ができるため、妊娠しやすい時期や妊娠検査薬を使うタイミングなどを知ることができます

これは1日だけ測ればいいというものではなく、できるだけ毎朝測定し、記録してグラフにすることで情報を読みとることができます。

妊活に必要なだけではなく、婦人科疾患の診断の重要な情報となりますので、ぜひ習慣にしてみましょう。

葉酸を摂取する

葉酸はビタミンB群の一種で、胎児の成長において非常に重要な栄養素です。

特に妊娠初期に葉酸が不足していると、無脳症や二分脊椎など、赤ちゃんが神経管閉鎖障害になってしまうリスクが高くなることがわかっています

妊娠を希望した時点から葉酸の摂取を心掛けましょう
ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜や柑橘系の果物に含まれていますが、食品だけで充分な量を摂取することは難しいのでサプリメントも併用することが望ましいです

ビタミンAの摂りすぎに注意する

ビタミンAはヒトにとって必要な栄養素ですが、過剰摂取によって腹痛、めまい、嘔吐といった症状が出たり、赤ちゃんに奇形が発生したりすることが知られています

食品からの摂取で過剰摂取になることはありませんので、サプリや薬で過剰摂取をしないようにしましょう。

風疹の予防

風疹は大変強い感染力を持っている感染症です。妊婦さんが感染した場合、先天性風疹症候群という赤ちゃんへの異常が起きる危険性があります

先天性風疹症候群は赤ちゃんに対して先天性心疾患、難聴、白内障の3大症状のほか、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅延などさまざまな病気を引き起こすことがあります。

風疹感染を防ぐために最も有効なのは予防接種ですが、風疹の予防接種は妊娠後は接種できない生ワクチンでもあります。

妊娠を希望されている方は、ご家族も含めて妊娠前に風疹の抗体検査や予防接種を受けるようにしましょう。風疹ワクチンを接種することで、95%以上の人が免疫を獲得することがでると言われています(厚生労働省より)。

ちなみに平成2年4月2日以降に生まれた人は2回、公費でワクチンを受ける機会がありましたが、それ以前の方は、1回もしくはまったく受けていない人もいるため、大流行の可能性が今もあります。

お酒・タバコを控える

妊娠中のアルコール摂取は、赤ちゃんに知能障害や発育障害を起こしやすくなることが知られており厳禁です。また、タバコの有害物質は流産や早産のリスクを高め、赤ちゃんの命に関わります

万全を期して、妊娠前から禁酒・禁煙を心がけましょう。

特にタバコは、妊娠する力を低下させてしまうことがわかっています。副流煙も危険ですので、ご家族にも一緒にいる時はタバコを控えてもらいましょう。

禁酒・禁煙が難しい場合には、アルコール依存症の治療を行っている病院禁煙外来などの専門機関で指導を受けることをおすすめします。

婦人科検診を受ける

妊娠を希望されている方は、一度婦人科検診を受けておきましょう。がん検診や性感染症の検査を受けておくことで、もし異常が見つかった場合、妊娠前に必要な治療を受けておくことができます

また、感染症がある状態で妊娠した場合、赤ちゃんへの影響が懸念されるものも少なくありません。妊娠前の婦人科検診は、自分の身体を守るとともに、赤ちゃんを守ることにも繋がります。

婦人科検診だけでなく、一般の健診も受けていない人は、高血圧や糖尿病など妊娠前から管理しておくべき病気がないか一通りの健診を受けて確認しておきましょう

まとめ

妊娠すると、お腹の赤ちゃんへの影響が考えられるため、それまでできていた検査や治療を受けることが難しくなります。妊娠する前に、自分の健康状態のチェックや予防接種を受けるようにしましょう

また、産婦人科を受診する際には、基礎体温表を持参すると、ホルモンの状態や婦人科疾患の診断に役立ちます。

妊娠のためにはストレスを溜めないことも大切ですので、あまり気張らないように、できるところから意識してみましょう。