こんなことで相談してもいいの?ほっとけば良くなるかも…精神科は行きづらい…薬を飲んだら母乳を飲んでいる赤ちゃんにも影響が…。これらは、産後うつの人が専門家への相談をためらう理由です。しかし産後うつは、早期に専門家による適切な支援を受けることがとても重要です。この記事では産後うつを克服するための3つの治療法と家族のサポートの仕方をご紹介します。

目次

専門家に相談したほうがいい理由

「産後うつ」には明確な定義があるわけではありませんが、出産後、1年以内に発症するうつのことを差す場合が多いです。

産後うつは、慢性化したり重症化したり、再発を繰り返したりすることもあります。また、産後うつを患っている期間に産後クライシスを招くことがあります。これは一般的に産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況のことをいい、産後うつがきっかけで夫婦の関係に大きな溝ができることで起こるケースが多いです。結果的に離婚に至るケースも少なくありません。

さらに、生まれたばかりの子供への影響も大きいのです。虐待には至らなくても、赤ちゃんとママの良好な愛情関係が築かれないためにその後の成長や発達に影響を及ぼします。

うつかも?と思ったら早めにお近くの保健センターなどで相談してみてください。適切なアドバイスをしてもらえるでしょう。

状態によっては精神科受診を勧められると思います。その際は早めに受診をしましょう。

産後うつの3つの治療方法

薬物療法は授乳による子供への影響を考慮して

産後うつの薬物治療は、普通のうつ病と同様、抗うつ薬を服用することがベースになります。ただし、抗うつ薬や抗不安薬の多くは、母乳を通して胎児の体に移行した場合の安全性が確証されておらず、授乳中の服用は基本的にはできず、人工ミルクに切り替える必要があるかもしれません。母乳育児を希望する場合、授乳と服薬のどちらを優先するかを医師とよく相談する必要があります。

心理療法によって心の不安を和らげる

医師や臨床心理士など、専門家のカウンセリングによる治療も産後うつの治療では効果的です。産後うつのカウンセリングでは支持的心理療法を行います。これは産後うつの方の不安の訴えや悩みを聞き、その心と行動を理解して共感を示すという方法です。産後うつの人が抱いている罪悪感や自責の念、不安感を軽減させることがこの療法の目的です。

地域の施設やシステムを利用して育児の負担を軽減する

産後うつの治療では、家事や育児の負担を軽減させてあげることが心のケアになります。地域の自治体で運営している保育施設や乳児院、保健センターなどを利用すると良いでしょう。

地域によっては、インターネットを介して産後うつを患うママに情報を提供したり、悩みを抱える女性同士がネットの掲示板で交流を図れるシステムを立ち上げていたりするところもあります。これらの地域のサポート施設は、利用料が無料または実費のみで、ほとんど金銭的な負担がないことも大きなメリットです。

家族のサポートは、一番の特効薬!

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産後うつ病の治療で重視されているのが、家族のサポートです。産後うつを抱える人への家族の接し方で、さらに追い込んでしまうか、それとも心の負担を軽くしてあげられるかが別れます。以下に接し方のポイントをピックアップしました。

しないほうがいいこと

  • 「頑張って!」などと励ます
  • 「もっと頑張らないとダメだよ」などの厳しい態度
  • うつが早く治るようにと、外出や旅行などいろいろな提案を押し付けること
  • 嫌がることを強く勧める 

するといいこと

  • 服薬治療をしているならば、薬をきちんと飲んでいるか時々確認する
  • 家事や育児をできるだけ手伝う
  • 疲れていたり焦っている様子が見られたら、快く休ませてあげる
  • 一緒に医療機関を受診する 

まとめ

産後うつは、専門家の適切な治療と家族のサポートがあれば必ず治る病気です。もし今、産後うつと戦っている方は、自分と子供と家族のために、この辛い時期を乗り切りましょう。ぜひ、勇気を出して一度専門家に相談してみてください。

また、治療において何より大切なのが家族によるサポートです。家族の方が、患者さんを支えてあげてくださいね。