唾や涙の量が減り、口が乾燥する、目が乾く方はもしかしたらシェーグレン症候群かもしれません。シェーグレン症候群は10万人あたり約15人(大阪大学大学院医学系研究科より)と稀な病気ではありますが、前述の症状を認めた場合には疑われる病気の一つです。

しかし、口が乾燥したり、目が乾いたりすることは日常生活で感じやすい症状ですが、これらが病気に繋がっていると認識している方は多くないでしょう。そこで、病気を早期発見するために、この記事ではシェーグレン症候群について詳しく説明していきます。

目次

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群は全身性エリテマトーデスなどの病気と同様、本来は外敵を攻撃するはずの自身の免疫系が自分の組織や臓器を攻撃してしまう自己免疫疾患」に分類される病気の一つです。シェーグレン症候群では、涙を作る涙腺と唾液を作る唾液腺が攻撃・破壊されるため、涙が出なくなる唾液が出なくなるといった症状が現れます。

シェーグレン症候群は、厚生労働省より指定難病に定められています。医療費の自己負担割合は2割となっており、その上限額は世帯所得によって異なります。

自己免疫疾患とは

シェーグレン症候群について詳しく述べる前に、「自己免疫疾患とは何か」について説明します。前の項で述べた通り、自己免疫疾患は自身の免疫系が自分の組織や臓器を攻撃してしまう病気です。通常、免疫には異物や外敵から体を守る働きがあります。そして、そういった異物や外敵を攻撃するために、それらを攻撃する細胞を動員する、あるいは抗体を作り攻撃をして自分の身を守っています。

しかし、この免疫に何らかの異常が生じると、自分自身の組織や臓器に対して同様の働きをします。つまり、自分自身の組織や臓器を攻撃する細胞や抗体を作り攻撃をしてしまうのです。その結果、攻撃を受けた臓器に関する症状が現れてきます。この自己免疫が関与する病気を自己免疫疾患といい、シェーグレン症候群のほかにも、全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、アジソン病など多くの疾患が自己免疫疾患に分類されています。

シェーグレン症候群の症状について

目薬をさす男性-写真

シェーグレン症候群の症状は主に、

  1. 腺症状
  2. 腺外症状

の2つに分けて考えましょう。

1.腺症状

腺症状はシェーグレン症候群の主な症状で、涙と唾液の「腺」の障害によって起こる症状です。涙腺は涙を作る働きがあるため、涙が出にくくなる、あるいは出なくなります。この結果、目がかゆくなる、目が乾く、目が充血するといった症状が現れます。

一方、唾液腺は唾液を作る働きがあるため、涙腺と同様、唾液が出にくくなる、あるいは出なくなります。唾液は食べ物を飲み込む際に必要であるため、唾液が減ると食べ物を飲み込みにくくなるといった症状が現れます。また、唾液が減ると、虫歯にもなりやすくなります

2.腺外症状

腺外症状はその名の通り、腺以外に起こる症状を指します。例えば、シェーグレン症候群の腺外症状として関節炎が起こることがあります。関節炎では関節に痛みが生じたり、関節が変形したりしまうこともあります。他にも皮膚、消化管、肝臓、腎臓など様々な臓器が障害され、これら臓器特有の症状が現れてきます。

まとめ

シェーグレン症候群は本来なら自身を守るはずの免疫が、自分自身を攻撃してしまう病気です。その結果、口の乾燥や目の乾きといった症状が現れ、さらに関節炎など様々な症状を生じる恐れがあります。ですから、こうした症状が見られた場合はシェーグレン症候群を疑って検査を行い、治療へと移ります。シェーグレン症候群の検査や治療については、「シェーグレン症候群を疑ったらどんな検査をする?治療方法はないの?」を併せてご覧ください。