尿路結石は、日本で増加傾向にある病気です。男性の7人に1人は一生のうちに尿路結石を発症するとされています(Mindsガイドラインライブラリより)。また、一度治っても再発しやすいとされる病気です。今回は、尿路結石の治療・検査、そして再発の予防方法について解説します。

耐えがたい尿路結石の痛みに困っている方、過去に尿路結石にかかったことのある方はぜひご覧ください。また、尿路結石の原因や症状について知りたい方は「下腹部や腰に激痛が?!尿路結石の「痛み」の原因とメカニズム」の記事を参照してください。

目次

尿路結石を疑ったら?受診と検査

尿路結石の診断には、いくつかの検査が必要となります。尿の流れる尿路(腎盂・腎杯・尿管・膀胱・尿道)のどこに結石ができているか調べることは、治療を行う上でとても重要です。

尿路結石の検査

尿検査

尿を採取し、血尿膿尿などの有無を調べます。結石が尿の粘膜を傷つけるため、ほとんどの尿路結石の患者さんで、尿中に血液反応がみられます。また、尿の成分を顕微鏡で観察することで、結石の基になる結晶成分や、排石が確認できます。

尿路感染症の患者さんは、尿路結石を併発することがみられます。尿検査により尿中の細菌の有無や、炎症反応も調べることができます。診断のために、必ず行う検査です。

超音波(エコー)検査

皮膚の上から超音波をあて、体内の臓器を映像で調べる検査です。水腎症や結石の有無が概ねわかります。この超音波検査は放射線を使用しないため、レントゲン検査よりも体に負担なく行うことができます。

CT検査

体内の状態を、断面的に撮影できる画像検査です。超音波検査より鮮明に調べられ小さな結石まで判別できるため、診断を確定するときに用いられます。また臓器の腫れや、水腎症などの合併症を発見できることがあります。

尿路結石の治療は?

尿路結石の治療では痛みが生じている場合、まずその痛みを緩和させる、抗コリン剤や非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を使用します。この他にペンタジンが使われる場合もあります。

そして結石に対する治療法ですが、結石ができた部位や大きさによって異なってきます。方法は薬物を使用する保存療法(内科的治療)と、外科的療法があります。ここでは、代表的な治療について紹介します。

保存療法

大きさが10mm未満の小さな結石の場合は、手術を行わずに結石を排出する自然排石が期待できるので、生活指導や薬物の使用によって促していきます。生活指導では、水分摂取(1日2~3l)と運動を心掛けます。薬物はα1遮断薬やカルシウム拮抗薬が用いられますが、尿管結石で排石を目的に使用する場合は保険適応外なので注意が必要です。

また、尿酸結石やシスチン結石の場合は、結石を溶かす薬が使われる場合があります。ただ溶けるまでに一定の時間はかかります。

外科的療法

結石の大きさが10mm以上、10mm未満でも1カ月以上自然排石できていない場合などは、外科的療法で積極的に結石を除去していきます。現在では、尿路結石では開腹手術はあまり行わず、体に負担の少ない方法が主流となっています。

体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)

全ての部位の結石に使用でき、低侵襲なのでよく選ばれる方法です。

体内の結石の位置を特定し、専用の装置を用いて体外から衝撃波とよばれる強いエネルギーを照射します。これにより、体内の結石を細かく砕くことができます。

皮膚に傷をつけないため、比較的安全な治療です。しかし、効果にばらつきがあり、複数回治療が必要となったり、石を砕いても取り出すことができなかったりする場合もあります。また、硬い結石では効果が不十分になることがあります。

副作用には血尿や皮膚の下からの出血、膵炎などが挙げられます。また、妊娠中の方はできません。

経尿道的結石破砕術(TUL)

尿道から内視鏡や腹腔鏡を挿入してレーザーを使って砕いたり、直接結石を除去したりする治療法です。入院して行い、麻酔を使用する必要があります。

体外衝撃波砕石術(ESWL)よりも確実性が高く、ESWLで効果がなかった症例でも、対応することができます。

経皮的腎結石砕石術(PNL)

背中に小さな穴を空けて、結石のある腎臓へ向けて腎瘻(じんろう)とよばれる経路をつくり、内視鏡を挿入して行われる方法です。

経尿道的尿管砕石術(TUL)で取り出すことのできない大きな結石や、腎臓にできた20mm以上の結石、腎盂と腎杯に連なってできるサンゴ状結石にも対応できます。

全身麻酔下で行います。発熱や出血などの合併症が生じやすい傾向があります。

尿路結石の再発を予防するには?

野菜-調味料-写真

尿路結石は、自然と治ることも多いですが、再発をすることも多い病気です。特にカルシウム結石は5年のうちに再発する確率が45%となっています(Mindsガイドラインライブラリより)。

尿路結石の原因ははっきりとは分かっていませんが、食生活との関連が非常に高いとされています。再発や発症を予防するには、食生活の改善が必要です。

尿路結石の再発予防法

  • 水分を十分に摂取する(1日2l以上)
  • カルシウムを摂る。ただし摂りすぎてはいけない
  • 動物性の脂肪を摂りすぎない:肉類や乳製品を控える
  • 塩分・プリン体を摂りすぎない。過度の飲酒をしない
  • シュウ酸を摂りすぎない:シュウ酸が多く含まれる食物(たけのこ、ホウレン草など)は、茹でた後に流水で洗い流すなどして、シュウ酸を減らす。紅茶・緑茶はシュウ酸が多いため控える
  • 一日三食、バランスの良い食事生活を心がける

まとめ

尿路結石は、一度治っても再発することの多い病気です。自然と治ることも多いため、つい放置してしまいがちな病気です。しかし、つらい痛みを繰り返さないためには、しっかりとした治療と、再発を予防する生活習慣が大切です。尿路結石にかかる人は年々増加しています。過去に尿路結石になったことがある人も、そうでない人も、正しい食習慣を心がけましょう。