皮膚に赤み・痛み・腫れがみられ、発熱や体のだるさなど風邪に似た症状があらわれたら、「蜂巣炎」の疑いがあります。すみやかに皮膚科を受診して、医師の診察を受けましょう。

蜂巣炎(蜂窩織炎)ってどんな病気?重症化した場合には緊急入院も」で説明したように、蜂巣炎は、細菌性の皮膚感染症です。放っておくと、あっというまに皮膚の炎症が体の広範囲に拡がることがあります。重症化した場合、意識が朦朧となり救急車で搬送される人もいるくらいです。

この記事では、重症化を防ぐための自宅での対処方法と、重症化してしまった場合の治療を中心に紹介しています。

目次

病院に行くまでの、4つの対処

蜂巣炎の症状は、「皮膚の炎症による腫れや痛み」と「風邪に似た症状」が同時に起こるのが特徴です。疑わしい症状があらわれたら、早めに病院を受診することが大切です。病院に行くまでのあいだ、自宅では次のような対処を心がけましょう。

  1. 皮膚に熱感があるときは、氷水やアイスノンなどで冷却する
  2. 患部(感染部分)は、高い位置に保つ
  3. マッサージなど、患部への刺激は加えない
  4. 運動は控え、安静に過ごす

病院での診察は、皮膚の観察血液検査が一般的です。血液検査では、白血球の増加や、CRPと呼ばれる「C反応性たんぱく(炎症や組織の破壊が起こると増加するたんぱく質)」が、通常よりも多く血液に含まれていることが確認されます。皮膚に傷があれば細菌検査を行ったり、画像検査で病変部分の内部を調べることもあります。

細菌の壁を壊す「抗生物質」治療

蜂巣炎(蜂窩織炎)の治療は抗生物質の投与が一般的です。早めに使用すると治るまでの時間が短くてすみます。

抗生物質は大きく、殺菌性と静菌性に分かれます。蜂巣炎(蜂窩織炎)の治療には、ペニシリン系セフェム系などの殺菌性の抗生物質が使用されます。これらは細胞壁合成阻害薬と呼ばれ、細菌の特徴である細胞壁を壊し、細菌を死滅させる作用があります。

軽症の場合は抗生物質を飲みながら通院します。炎症が急速に広がっている、高熱が続いているなど症状が重い場合は、医師から入院を勧められることが多いようです。そこで抗生物質を点滴しながら、回復を待ちます。

治療開始後、数日で、たいていの症状は回復

大きくOKサインの看護師-写真

抗生物質について、医師は約1〜2週間分を処方するのが一般的です。蜂巣炎は、糖尿病などの基礎疾患がなければ、抗生物質の服用をはじめて数日で、たいていの症状は回復します。しかし、処方された分の薬はすべて飲み切ることが大事です。また、改善するまえに一旦症状の悪化がみられることもありますが、細菌から身を守ろうとして起こるものであり、心配はいりません。

症状の程度に限らず、治療のあいだは次のことに留意しましょう。

  • できれば仕事や家事は控え、安静に過ごす
  • 安静時、患部は高い位置に保つ
  • 入浴は血行をよくして症状を悪化させるので控える
  • 飲酒・マッサージ・運動は改善するまで行わない

他人に感染しないが、再発はある

蜂巣炎は皮膚の深い組織で感染するため、他人に感染することはありません。しかし、再発のおそれがある病気です。予防薬はありませんが、日常的に次の5つを心がけるとよいでしょう。

  1. 皮膚のひび割れを防ぐために肌に潤いを与える
  2. 皮膚表面の傷は良く洗浄し清潔を保ち、水虫や湿疹などの皮膚疾患はすぐに治療する
  3. 腫れや赤みがないか、手足を毎日チェックする
  4. 糖尿病などの基礎疾患がある場合にはしっかり治療する
  5. 食事・睡眠などを十分とり、体調を整える

まとめ

蜂巣炎の治療は、抗生物質の服用が一般的です。たいていの症状は治療して数日で回復します。高熱が続くときは入院を勧められるでしょう。とにかく、治療を早くはじめることが大切です。治療しないで死亡した例もあることは覚えておきましょう。治療中は、患部を冷やして高い位置に保ちます。入浴・飲酒・運動などは控えます。完治したあとは、再発しないよう皮膚の手入れを心がけましょう。