早漏症は「早漏」という呼び方で、射精までにかかる時間が短いことを指す言葉として広く知られています。
早漏症は英語でpremature ejaculationと表記されPEと呼ばれることもあります。

PEは命にかかわる病気ではありませんが、ED(勃起不全)と同様に男性の尊厳やパートナーとの人間関係に影響を及ぼすことがあります。
実際に多くの方が悩んでいる病気ですが、定義や治療法などについてはっきり知られていない部分が多く間違った認識を持っている方も多いようです。

今回はPEとはどのような症状か、そしてどのように診断されるのかについて書いていこうと思います。

目次

どのような症状があればPEと診断される?

まず医学的にPEと診断されるのは下記のような状態です。

  1. 膣内挿入後、射精までに所要する時間が2分以内。
  2. 膣内への挿入前、挿入途中、挿入直後のいずれかの時点で、本人の意思に反して、最小の性的刺激で射精してしまい、これが反復ないし持続する状態。
  3. PEの結果、著明な人間関係の問題や精神的苦痛を引き起こしている状態。
  4. 射精のコントロールが不能。

厳密には1~4の全てを満たすとPEと診断されます。
しかし、1~4のいずれかだけにしか当てはまらなかったからと言って治療の対象にはならないというわけではありません。
実際、PE治療を希望される患者様でも上記の診断基準を満たしていない方も多くおられます。
特に本人が精神的苦痛を感じて来院されるケースが多いのが現実です。
つまり厳密な診断基準も大事ですが、実際の臨床では射精までにかかる時間が短いことで悩んでいる方は全てPEの治療対象となるということが大事です。

しかし、その日の体調などによってはいつもより短い時間で射精に至ることもあるでしょうから、短時間で射精する状態が反復ないし持続するということも診断においては大事です。たまたまうまくいかなかったからと言ってすぐにPEと診断され治療する必要があるわけでは当然ありません。

射精までの平均時間は?

時計-写真

膣内挿入後2分間というのも一つの目安にすぎませんが、男性であれば膣内挿入後に具体的にどのくらいの時間もつのが普通であるかということには興味があるかもしれません。
これに関してはアメリカ、オランダ、イギリス、スペイン、トルコにおける調査だと約6分間という報告があります(J Sex Medより)。
残念ながら日本人のデータはこの調査ではなかったので日本人の平均はよくわかりません。
ちなみに最短はトルコで4.4分、最長はイギリスで10分だったそうです。

6分を短いととるか長いととるかは個人とパートナーとの問題だと思いますので6分未満だからと言って特に心配する必要はありません。
また、コンドームの使用や包茎手術の有無によって影響があるのかという点も気になるところです。
前述の海外の研究ではコンドーム使用や包茎手術の有無は膣内挿入から射精までにかかる時間に影響しなかったそうです

PEの種類とED(勃起不全)との関係

それからPEには2種類あって、初めての性行為からずっと早漏症である先天性PEと、ある時期から早漏症になる後天性PEがあります。
後天性にもいろいろと理由があるのですが、特に注意が必要なのはED(勃起不全)が原因になるタイプです。
EDの患者さんの約3割は二次的にPEになるという報告があります(Therapeutic Advances in Urologyより)。これは勃起を維持するためには通常よりも強い刺激を与え続けなくてはいけないために射精までにかかる時間が短くなってしまうためだと言われています。

このようなケースではバイアグラなどのED治療薬でPEも治ることがあります。
ちなみにPEの治療法については民間療法なども含めて様々な方法がネット上で検索できます。
しかしED(勃起不全)、AGA(男性型脱毛症)の治療においても感じることですが、民間療法のようなもので有効性が立証されているものはありません

特にPEは男性の尊厳に関わる問題であり本人にとっても非常にデリケートな問題です。
医療機関でも正面切ってPEについて情報発信しているところは少ないため多くの誤った情報が散見されます。

PEに悩んだら

薄毛に悩む男性-写真

数は多くありませんがPE治療について相談できる医療機関もありますので、一人で悩まずに相談してみることをお勧めします。

内服タイプの早漏治療薬(日本だと未認可なので輸入する必要あり)や、ED治療薬を流用する方法、塗り薬などもありますので自分にとって有効な治療法を見つけることができるかもしれません。

しかし、包茎手術をしてもPEは改善しないという報告があるため、いきなり外科的治療を勧めてくるような医療機関は避けたほうがいいでしょう。