風邪になったときなど、病院に行くと咳止めも一緒にもらうことがあります。咳止めにも色々な種類があり、医師はその症状や持病の有無、併用薬などによって処方する薬を使い分けています。
「チペピジン(ヒベンズ酸チペピジン)」は良く処方される咳止めの一つとして広く使われています。子供から成人まで使うことができるため、その剤型もシロップ、粉、錠剤などが存在しており、調整もしやすいです。
そこで今回はこの咳止め薬である「チペピジン」について詳しく見ていきたいと思います。
「チペピジン」ってどんな薬?
チペピジンが子供から大人まで幅広く使われている…と聞いてもあまりピンとこない方も多いと思います。チペピジンは一般名で、商品名は「アスベリン」と呼ばれているため、こちらの名前の方がよく知られているでしょう。
特に子供にもよく使われており、シロップやドライシロップとして処方され、チペピジン以外の薬も一緒に混ぜて出されることが多いです。そのため知らないうちに服用していたといった方も多いでしょう。
また医療用医薬品(医師が処方する薬)だけでなく、市販の総合かぜ薬などにもよく含まれています。具体的な商品としてはカイゲン感冒カプセルDXやビタクールV、パブロンキッズかぜ微粒などです。
重篤な副作用がなく、使いやすい咳止めの薬の一つといえます。
「チペピジン」はどうやって咳を止めているのか?
チペピジンは色々ある咳止めの中でも中枢性の非麻薬性鎮咳薬に分類されます。中枢とは脳と脊髄のことであり、チペピジンの場合は脳の中の延髄に存在する咳中枢を抑制することで咳を抑えます(鎮咳作用)。
咳止め作用に加えて、痰を出しやすくする作用も持ち合わせています(去痰作用)。
また非麻薬性なので依存するといったことはありません。
ちなみに中枢性の麻薬性鎮咳薬として病院や市販でよく使われているものに「リン酸ジヒドロコデイン」などがあり、咳を止める効果などはこちらの方が強いのですが、過剰に服用したり長期服用したりすることで依存などが生じる可能性があるため、厚生労働省は販売数の制限を行うよう通達しています。
「チペピジン」の効き目や注意すること
それでは具体的な効能効果について見ていきましょう。
チペピジンは「かぜや気管支炎、肺結核・肺炎、気管支拡張症における咳止め、去痰」に使われます。服用後、効果は5~6時間持続します。
またシロップ剤などは時間がたつと沈殿が生じてしまうため、振って混ぜて均一にしてから服用するようにしましょう。
「チペピジン」を服用すると尿が赤くなる?

チペピジンを服用した方はご存知でしょうが、実はチペピジンを服用すると尿が赤っぽくなることが多いのです。
これは副作用などではなく、役目を終えた薬が尿に排出されることで赤っぽくなるだけなので、心配する必要はありません。
特に乳児などに処方されたときに、おむつの尿の色がいつもより赤っぽくてびっくりするママも多いかと思いますが、副作用や体調変化などではないので安心してください。
副作用で赤っぽい尿がでる薬も存在しますので、尿の色については薬をもらったときに薬剤師に確認しておくとよいでしょう。
また尿検査を控えている方は、医師にチペピジンを服用していることさえ伝えていれば、とくに問題ないでしょう。尿が赤っぽくなるので、なにかの病気と診断されるのでは…と思われる方もいるかもしれませんが、尿検査には影響を及ぼさない成分ですので安心してください。
しかし、風邪を早く治そうということで市販のドリンク剤やビタミンが入ったかぜ薬を服用するのは避けてください。ビタミンCが検査の結果に影響しますので、注意が必要です。
詳しくは尿検査を受ける病院などに問い合わせてください。
「チペピジン」に副作用はあるの?
チペピジンは先ほどもお伝えした通り、生命に危険のない副作用のみがみられる、比較的安全な薬です。
しかし以下のような副作用が報告されているので、このような症状があらわれたら医師や薬剤師に相談してください。
- 眠気・不眠
- 便秘・口渇
- 発疹 など
まとめ
咳止めの薬といっても、たくさんの種類が存在しています。今回ご紹介した「チペピジン」は重篤な副作用がなく、子供から大人まで使うことのできる一般的な咳止めです。
しかし「チペピジン」で咳が止まらないこともあるため、もし咳がとまらないようならもう少し強めの咳止めを処方してもらうなどの対策が必要です。
症状や体調にあった咳止めを選ぶことで、咳による体力低下を防いで風邪自体を早く治すことにつながります。今回お伝えした情報をもとに適切な咳止めを選ぶようにしましょう。