風邪はとても身近な疾患で、誰もが一度はかかったことがある病気なのではないでしょうか。たかが風邪と思うかもしれませんが、できれば健康でいたいですし、風邪をひいても早めに治したいですよね。

今回は風邪について、改めて予防法と治し方を伝授したいと思います。

目次

風邪とは?

風邪の定義は、主にウイルスの感染によって引き起こされる上気道(鼻から喉にかけての気道)を中心とした急性炎症です。普通は、短期間で自然に治ってしまうものすべてを指します。「かぜ症候群」「普通感冒」「急性上気道炎」「急性気道感染症」とも呼ばれ、厳密にいうと「普通感冒」のことを指す場合が多いです。その原因の8090%はウイルスによるものと考えられています(J-STAGEより)。

風邪の症状とインフルエンザの見分け方

シーズンによっては、ただの風邪かインフルエンザか気になるところですよね。発熱したらすぐ病院で検査を受けることが望ましいですが、以下のような項目が二つの病気の違いとして挙げられます。

風邪の症状

  • 頭痛
  • 喉の痛み
  • くしゃみ
  • 鼻づまり
  • 倦怠感
  • 悪寒

があります。

これらの症状は比較的ゆっくり進行していきます。

大人は風邪をひいても悪寒のみで、発熱しないことがほとんどです。感染から2日から3日が最も症状が重くなりますが、著しく不調でなければ医師に診てもらう必要はありません。しかし、中耳炎を併発したり、扁桃腺が腫れたり7 日以上たっても風邪が治らない、高熱が出た時には医療機関の受診をオススメします

インフルエンザの症状

インフルエンザと風邪は症状のかぶる部分が多いですが、インフルエンザの場合には風邪よりも重症化してしまいます。また、風邪と同じ症状に加えて以下のような体の不調が現れます。

  • 急な発熱
  • 倦怠感
  • 筋肉や関節の痛み・うずき
  • 食欲減退
  • 衰弱

インフルエンザを疑った場合には人込みに出ることを避け、必ずお近くの内科で検査してもらいましょう。

インフルエンザと風邪の違いについて、詳しくは「インフルエンザの初期症状は!?かかった場合の5つの対処法と治療薬」をご覧ください。

周囲にうつさないうつされないための予防法

うつさないために

注意点として、風邪は初期が一番感染力の高い時期であり「風邪気味かな?」と思った時が一番、周囲の方にうつしてしまう可能性が高いということです。

鼻水に関しては、初期症状では水っぽく、そのあとで黄色や緑色の粘性のあるものに変わっていきます。また、風邪のひきはじめには喉のかゆみ、ものをのみこみづらい、イガイガするといった症状がよく見られます。

こういった症状が見られたら、できるだけ石鹸や熱いお湯で手を洗ったり、ドアノブなど多くの人が触るような部分は消毒剤でふいたりするとよいでしょう。マスクをすることも忘れてはいけません。

うつされないために

風邪の流行る時期、周囲に風邪をひいた方がいる場合の対処の基本は、手洗い・うがいです。とても簡単で意外性のない方法ですが、うがいをするだけで、40%風邪を予防できたサラヤ株式会社より)という報告もあります。

予防法としては、その他に以下の項目をおさえられると良いでしょう。

  • うがい
  • 手洗い
  • マスク
  • 消毒
  • 睡眠
  • 健康管理

正しい手洗い・うがい方法については「風邪・感染症を予防しよう!正しい手洗い・うがいの方法をご存知ですか?」をご参照ください。

風邪をひいてしまったら…早く治すには?

風邪は長くても7日という短期間で自然に治ってしまうものがほとんどなので、治療は安静で十分です。栄養、水分、睡眠をしっかりとり、免疫力を高めましょう。

薬も基本的には必要ありません。症状がひどい際には適宜、鼻水止めや咳止め、熱さましを使いますが、実はどれも「風邪を根本的に治す薬」ではないのです。

また、咳、鼻水、発熱は体がウイルスと戦うための反応なので、薬を使い過ぎると逆効果になりかねません。

風邪の時、お風呂は入ってもいいの?

お風呂

風 邪をひいているんだから、お風呂に入ってはダメ。そんなこと言われた覚えのある方もいるのではないでしょうか。日本では当たり前のこととして熱があったら 風呂には入るなと昔から言われてきましたが、欧米には発熱した子供を水やぬるま湯に入れて熱を冷ますという真逆の文化があるそうです。

結論を言うと、お風呂に入ることで風邪が悪化するという証拠はありません。
最近では、肌を清潔に保つために風呂に入った方がよいのではないかという意見もあるそうです。

とはいえ、高熱で寝ているのも億劫な時にお風呂に入るのは悪化の原因になるのでやめましょう。
入るのは平熱か、せめて微熱の時、そして症状が軽い時だけに控えるくらいが調度良いと考えられます。

入浴の際も決して無理はせず、体力の消耗を避けるために早めに上がるのがポイントです。また、湯冷めには細心の注意を払って、上がったらすぐ体をふき、ドライヤーをかけましょう。

風邪には抗生物質が効かない!?

それでは、「風邪を根本的に治す薬」はいったいどこに行けば処方されるのでしょう?
答えは、「どこにもない」です。

抗生物質でいいのではと思うかもしれませんが、風邪に抗生物質はほとんど効果がありません。風邪の原因の80%以上はウイルスであり、抗生物質は細菌をやっつける薬のため、全く別のものなのです。抗生物質は強い薬で副作用も決して少なくないため、意味のない投与は身体に害を与えるだけです。

よって、風邪を早く治す薬というのは存在しないことになります。

 

ただし、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎など、細菌による感染症が疑われるときには抗生物質を使用します。また、重篤な病気にかかっている方の場合は予防的に抗生剤を服用した方が良い場合もあります。できればかかりつけ医に相談するのが一番ですが、そうでない場合には、自分のかかっている病気について医師に伝えるようにしてください。

最後に

風邪をひかず、元気に過ごすためには日々の予防が一番大切です。
それでも疲労がたまったり、生活リズムがめちゃくちゃになっていたりすると免疫力が下がり、結果として風邪をひいてしまうことがあります。

そんな時は体を休めることを第一に、無理はしないようにしましょう。

風邪くらいで学校や仕事を休むのは…と思ってしまうかもしれませんが、悪化すると逆に完治まで時間がかかり、長くお休みをもらうことになってしまうかもしれません。風邪を早く治す薬がない以上、それが一番の治療方法なのです。

そして、風邪が長引いたり重症化するようでしたらお近くの内科・耳鼻科・かかりつけ医の受診をおすすめします。