「ストレスがない仕事なんてあるの?」というぐらい、仕事をしていく上でストレスはつきものです。上手に発散できているうちはいいかもしれませんが、ストレスを溜め込んでしまうと、うつ病などの“心の病気”の原因になることもあり、早めの対応が重要です。

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うつ病の患者数は100万人超え

心の病気の代表格ともいえる「うつ病」厚生労働省の調査によると、国内の患者数は100万人を突破し、増え続けています。いまや特別な病気ではなく、誰もがかかる可能性がある身近な病気です。うつ病は「気分障害」の一種で、ほかにも「躁病及び躁うつ病」「気分変調症」などがあります。

気分障害全体の患者数をみると、

  • 平成8年  約430万人
  • 平成14年 約712万人
  • 平成20年 約1041万人
  • 平成23年 約960万人

となっており、増加傾向にあるのがわかります。年齢的には、働き盛りである30~40代の男女が多くなっています。

「躁状態」はうつ状態よりも注意!

気分障害のなかでも多いうつ病と躁うつ病の主な症状をおさらいしましょう。

うつ病

  • 抑うつ気分
  • 食欲低下
  • 不眠
  • 不安や焦り

躁うつ病

躁状態うつ状態を繰り返す

躁状態のとき

  • 攻撃的な言動
  • 多弁・多動
  • 浪費
  • 自信過剰

気分障害のなかでも、うつ病は患者総数の6~7割を占めており、うつ病に関する情報も増えています。一方、躁うつ病は、うつ病と比べると患者数は少なく、症状への理解も進んでいない一面があります。しかし、躁状態のときは、上記のように社会的信用を失う行動をしがちなため、うつ状態よりも注意が必要なケースがあります。

「産業医」を知っていますか?

手を差し伸べる医師

心の病気になる原因はさまざまですが、仕事が原因でメンタルヘルスに不調をきたした際、頼りになるのが社内にいる「産業医」です。健康診断の結果を伝えるお医者さんというイメージがあるかもしれませんが、メンタルヘルスに関しても頼りになる存在なのです。

そもそも、産業医とは、職場における労働者の健康管理等について、専門的立場から指導・助言をする医師です。医師免許に加えて、労働者の健康管理に特化した知識も有する必要があります。

通常の仕事内容は、職場での健康診断や面接指導の実施や、月1回程度の作業場の巡視など、働く人たちの健康管理に努めています。

精神科医と連携で職場復帰を支援

しかし、産業医だけでは、メンタルヘルスの不調を抱える労働者をフォローすることは難しいのが現状です。治療に関しては、精神科医や心療内科医など心の病気の“専門家”と連携が欠かせません。

実際、精神科医や心療内科医が主治医となって、心の病気の治療にあたるため、産業医は直接治療には関わりません。しかし、産業医は、治療を受ける本人、職場、家族、精神科医との連携を行い、円滑な職場復帰に導くためのキーマンとして大切な役割を担います。

なかでも、職場復帰のタイミングは、最も慎重な判断が求められます。職場復帰には、主治医の診断書が必要となりますが、職場の実態を知らないまま、本人との面接だけで復職へゴーサインを出してしまう場合も考えられます。そのため、産業医が事前に職場の実態を報告した上で、診断書を書いてもらうことが重要となるのです。

まとめ

産業医は労働者にとって頼りになる存在ですが、労働者数50人未満の事業所では、産業医を置く義務はありません。この場合、親会社や健康診断を行なっている機関に産業医の資格を持つ医師がいるか相談してみるといいでしょう。また、50人未満の規模の事業所向けには地域産業保健センターでも様々なサービスを提供しているので、ぜひ知っておいてください。

心の病気も早めの対応が肝心。気になる症状があれば、無理をせずに休養をとり、産業医に相談したり、医療機関を受診したりしましょう。