大人が「なんとなく体調が悪い」と感じるように、思春期の子供たちも「なんとなくだるい」と感じることがあります。しかしいざ病院に行ってみると、原因となる病気は見つからないことも少なくありません。

こうした、特定の疾患が原因ではない体調の悪さを「不定愁訴」と呼びます。では、なぜ不定愁訴となるのでしょうか?また、親御さんはどのように対応すればよいのでしょうか?

目次

不定愁訴ってなに?

不定愁訴とは、漠然と「体調が悪い」といった症状があるものの、因果関係があるような特定の疾患や障害が認められない状態のことです。

そういったことが思春期の子供達にもみられるということが、最近注目されてきています。

思春期ってどんな時期?

思春期は、自我を確立しながら集団の中の自分を見つめる時期です。それだけでなく、第二次性徴が起こるなど、身体が目まぐるしく発達する時期でもあります。

そのため、子供たちは多くの変化と向き合わなければなりません。しかし、同時に多くの社会・心理的な矛盾と遭遇し、それぞれの悩みを抱えるようになっていきます。

こうした理由で、思春期では心と身体のバランスが不安定になり、多くの問題が起こりやすいと考えられます。

どんなことが不定愁訴の原因なの?

学校、習い事、家庭生活、環境の変化などのストレスが原因となっているとされていますが、はっきりと断言することはできません。

不定愁訴では原因となる病気や障害がみられないため、要因を特定することは難しいです。しかも、その原因は個人によって異なるのです。

不定愁訴では、様々な症状がみられる

不定愁訴は「原因がはっきりとしない漠然とした身体の不調」なので、人によって症状が異なります。その上で、代表的な不定愁訴の症状として以下のようなものがあげられます。

  • 頭痛
  • めまい
  • 倦怠感
  • 動悸
  • イライラする
  • 腹痛
  • 下痢

 症状は軽くなることもあれば悪化することもありますが、多くの場合持続的とされています。

もちろん、こういった症状は、何らかの病気が原因となっていることもあります。親御さんから見て「体調が悪そう」と感じたり、「体調が悪い」という訴えがあったりする場合には自己判断せず、まずは医師の診察を受けるのがよいでしょう。

診察を受けた結果、症状の元となるような病気がないとされた時に初めて「不定愁訴」とされます。

保護者はどのような対応をすればいい?

親子

不定愁訴というのは、病名ではなく一種の「状態」です。即効性のある薬はありません。治療する場合には長い期間が必要です。

ここでは治療の際に親御さんにもできる対応・対処をご紹介します。

子供の話を聞く

思春期の子供たちは大人に対して、避ける・投げやりな態度をとることが少なくありません。

頭ごなしに否定するのではなく「こういう時期なのだ」と冷静になって、子供と話をしてみましょう。

生活習慣を整えるよう勧める

不定愁訴の症状が悪化する原因の一つとして、生活リズムの乱れがあげられます。生活リズムは、社会との関わりによる問題ではないので、家庭でも十分改善できるものといえるでしょう。

そのため、朝食を摂ることや早寝早起きを促すだけでも改善が見込まれる場合があります。もちろん、その際に大切なのは決して無理強いはせず、あくまでアドバイスとして提案することです。

心と身体の関係を認める

不定愁訴には、医学的に説明できるような明確な症状も病名もありません。そのため、どうしても「仮病」「大げさ」と思ってしまいがちです。

しかし、そのような対応はお子さんを傷つけることがあります。心身の不安定さが体調の悪さを招くことを理解した上で、病状がよくなるように医師と連携してお子さんを支えてあげることが重要なのです。

まとめ

思春期の不定愁訴による体調の悪さは、原因となる病気や障害がないものです。そのためどうしても軽んじられる傾向にあります。

しかし、心と身体はつながっていることを医師や親御さんが理解して適切な対応を行えば、本人だけでなく周りの人にとってもよい結果を生むのではないでしょうか。

ぜひ、思春期のお子さんと接するときの指標としていただければと思います。