抗がん剤でのがん治療というと、副作用でなにかと大変な思いをするイメージがあると思います。

以前は強い副作用に対応するため、治療中の患者さんは必ず入院しなくてはいけませんでした。しかし現在、医療の進歩により自宅からの通院でも抗がん治療を受けることができるようになってきているのをご存じでしょうか?

この記事では、通院で抗がん剤での治療が受けられる外来化学療法についてお話します。

目次

そもそも化学療法とは

化学療法は、抗がん剤を使うことで、がんを治療する方法です。

抗がん剤は注射や内服することで体に取り入れていきます。全身に抗がん剤が行きわたるため、他の場所に広がりそうながん、もしくは広がってしまっているがんの治療に役立ちます。

外来化学療法は、つまり通院(外来)で、抗がん剤によるがんの治療ができる治療法のことです。

入院せずに化学療法による治療ができるようになったのは、医療が進歩したためです。副作用の少ない抗がん剤副作用を予防できる薬が開発されたことなどにより、患者さん自身で副作用に対応ができるようになりました。

治療の効果は入院と変わらない?

同じ治療法であれば入院であればよく効く、外来だと効果が落ちる、ということはありません。また、最近は治療効果を落とさずに外来通院ができる治療法の開発が進んでいます。

外来にすることによるメリットデメリット

テェック表-写真
外来にすることで従来の入院での治療と何が変わるのでしょうか。

メリットとデメリットをそれぞれ挙げてみます。

メリット

通院になることで、患者さんの生活の質が変わっていきます。

自宅での日常生活を望む患者さんにとっては言うまでもなく良いことですし、治療しながら仕事をしたり、趣味を楽しんだりすることができる方もいます。入院による経済的な負担も軽くなります。

デメリット

まず、日常生活を自力で送らなくてはいけません。おひとりでも十分対応できることが多いですが、家族のサポートや在宅支援を受けながら治療継続される方もいらっしゃいます。

また、副作用に自分で対応しなくてはいけないこと、通院なので、受付から診療まで待ち時間があることがデメリットとなります。

 

通院ですと、特に副作用に対応できるのかを不安に思う方が多いかもしれません。

外来での抗がん治療の際には、患者さんが安心して生活を送れるよう、前もって病院側からきちんとした指導があります。また、困ったことがあれば相談できるようになっています。

外来での治療にできる方

乳がん、大腸がん、胃がんなどの固形癌や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液がんの多くは外来通院が可能な治療方法があります。

その上で、下記の条件を満たしている方は外来での治療に変更できる可能性があります。

  • 自身の病名を知っている方
  • 全身状態が良好な方
  • 抗がん剤の効果と副作用について十分に説明されており、必要性を理解している方
  • 抗がん剤の治療を受けることに文章で同意されている方
  • 副作用への対応が可能な方

ただし重篤な患者さんや、使用する薬剤や投与方法によってはどうしても入院が必要な場合がありますので、患者さんの状態を診て外来にしても大丈夫そうだと医師に判断された方が対象となっています。

まとめ

がん治療には、副作用など体の負担だけでなく精神的な負担も伴うかと思います。自宅で趣味や仕事をすることで心が安らぐのであれば、外来化学療法は良い選択ですし、病院に居ないことで不安が増してしまうのであれば無理に変える必要があるものでもありません。

もしも抗がん治療にあたって入院か外来かの選択をするようなことがあれば、今回ご紹介したメリットとデメリットを参考にしてみてください。