今や2人に1人ががんを患い、3人に1人ががんで亡くなる時代です。テレビでも著名人のがん闘病や亡くなられたというニュースが後を絶ちません。インターネットをみれば、広告なのか信頼できる情報源なのかも一見すると判断できない膨大な情報で溢れています。何を信じ、どのように行動すればよいのか専門家でない限り判断は難しいと思います。情報に振り回されずにこの時代を生き抜く方法を分かりやすくお伝えしていきます。

目次

がんの症状

胃が痛ければ胃がん、呼吸が辛ければ肺がんを疑うということは想像しやすいでしょう。しかし、ありとあらゆるがんの可能性すべてを日々自己チェックするのは困難だと思います。

そこで、概ね共通する症状というものがありますので忘れずにチェックすることをお勧めします。それは体重減少です。がん細胞が体の中にあると高炎症状態となり、大事な栄養を取ることが出来なくなり、壊されていきます。そうなると筋肉が痩せていき体重が減少していきます。症状があればもちろんですが、明らかな症状がなくても体重が低下し続けているときは受診を強くお勧めします。

がん家系

近親者にがんを患った方がいる場合にはより症状に敏感になる必要があります。次々と遺伝子レベルの解析が進み、家族性(遺伝性)のがんが分かってきていますが、まだまだ発見されていないこともあります。

またがんは環境要因も重要で、近親者は住む地域や生活環境が近い可能性もあり、やはりがんにかかりやすい身体になっている可能性もあります。たとえば胃がんは東北に多いと言われており、その原因の一つとして塩辛いものを東北では好んで食べることが言われています。

近親者にがんがいない方も要注意です。症状に敏感になりにくいからです。やはり症状が続く場合には時間を作って受診することをお勧めします。

生活習慣

がんにかかりやすい生活習慣や病気が知られています。喫煙は誰もが知るところでしょう。ほかにも食事の欧米化(肉類中心)によって大腸がんなどが増加していることもよくテレビなどで言われていると思います。

糖尿病やその境界領域の方はたくさんいらっしゃいますが、実は糖尿病の患者さんはがんにかかりやすいことが分かっています。糖尿病をしっかりと治療することは心臓などの血管系への影響だけではなく、がんにかかってしまうことへのリスク回避にもつながります。治療の意義はとても大きいものですのでかかりつけ医と相談してしっかりと治療を行うことをお勧めします。

検診や人間ドック

症状がでる前にがんを見つけられると、それだけ根治手術に持ち込める可能性が高まります。そのためには検診や人間ドックをお勧めします(人間ドックのここカラダのページが開きます)。現在認められている検診は、国内や諸外国の中で効果や費用が慎重に検討されたものです。受けられるものは受けましょう。

ただし、検診をしっかりと行っていても発見が難しいこともあります。また検診がそもそもないがんもあり、検診だけに頼ることはよくありません。機会があれば人間ドックのような全身検査もお勧めです。

いつかのためにできること

日頃規則正しい生活を心掛け、検診や人間ドックを受けていてもがんを発症する可能性はどうしてもゼロにはできません。仕事などが忙しければますます、初期段階を見逃してしまう可能性は高まるでしょう。根治できない病状で発見された方をたくさん診てきました。どんな方にもいつかがんを患ってしまい、呆然としてしまう日が来てしまうかもしれません。

 

ところで死因第一位のがん以外は、脳血管・心臓・肺炎など、比較的短期間で命に影響を及ぼす疾患が並びます。このような病気の場合、じっくりと自分の余生を考えることは難しいと思います。これは考え方ではありますが、がんという病気は何かを行う時間がもてる病ともいえます。もちろん、自らがんを患いたいなんて思う方はいませんが、短期間で亡くなってしまうほかの病気との違いがそこにあります。

「いつか自分もがんになってしまうかも」、そして「それが治らない病状であったらどうしよう」と日頃から考えたことがありますでしょうか。そうなったら自分はどう生きていきたいか、仕事や家族はどうするか、など今のうちから考えておくことは決して悪いことではありません。

 

さらに考えることができるのであれば、自分は最期のときをどのように・どこで・だれと過ごしたいか、まで考えることができるとよいでしょう。なぜならば、大切な家族に辛い決断をさせなくてすむからです。あなたが命に係わる事態に陥ったときには、あらゆる決定を家族がしなくてはなりません。動揺するなかで大事な決断を迫られることになるでしょう。自分にとって納得するためにも、大事な家族のためにも、今のうちから「自分の最期」に向き合っていくことをお勧めします。