冬の季節、注意していても流行するノロウイルス。感染力が強いため集団感染も毎年話題になる感染症です。ここでは、ノロウイルスに感染してしまった場合の完治までの流れと、学校や仕事への影響についてみていきましょう。

目次

ノロウイルス治癒までの流れ

ノロウイルスは特に冬に流行し、急性胃腸炎や感染性胃腸炎・嘔吐下痢症と呼ばれることもあるいわゆる「おなかの風邪」です。このノロウイルスの治癒までの経過は、以下のようになります。

嘔吐

元気だったのに突然の嘔吐というパターンで症状があらわれる場合が多く、1回で終わらず数回~10回程度の嘔吐が短時間でおこります。半日~1日ぐらいで少しずつおさまっていきます。吐き気のある時は無理に食べさせようとすると全部吐いてしまう可能性があるため、本人にとってはとてもつらくなります。

また、何度も吐いてしまうと脱水が気になりつい水分をとらせたくなりますが、嘔吐が続いている間は飲んでも全部吐いてしまい、その結果体力を奪ってしまうということにもなりかねません。嘔吐と下痢の両方を伴っている場合は脱水症状に注意が必要ですが、嘔吐だけの場合は無理に飲ませることはせず、症状が少しおさまるまでは絶飲食とした方がよいでしょう。

最後の嘔吐から1~2時間たっても吐く様子がなければ、スプーン1杯の水分補給から始めてみてください。ただし、乳幼児の場合は体の機能が未熟で体の水分調整がうまく行えないため、大人よりも脱水をおこしやすいということを覚えておきましょう。

下痢

嘔吐が少しおさまった頃に腹痛や下痢が始まることが多く、下痢は嘔吐と同じくノロウイルスの代表的な症状です。腸管で増殖するウイルスなので、発熱などよりも嘔吐や下痢などの胃腸炎症状が強く出るのもノロウイルスの特徴です。

下痢も2~3日程度で回復することがほとんどで、比較的短期間で症状はおさまります。ただし回復後も1~2週間は体内にウイルスが残っているため、ふん便にウイルスが排出されます。時には1カ月近く経ってもウイルスが残っていることもあります。ウイルスが排出されている間は感染の危険性があるので、注意が必要です。

発熱

嘔吐・下痢とともに発熱もよくみられますが高熱になることは少なく、微熱から38℃程度と比較的軽い場合が多いです。

 

基本的に、嘔吐だけで脱水症状に陥る心配はほとんどありません。しかし、嘔吐に伴い下痢の症状も頻回におこると、免疫力の低い乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすいため注意が必要です。

1~2日の潜伏期間を経て嘔吐・下痢・発熱といった症状があらわれ、3日ほどで症状は回復する場合が多いため、ノロウイルスは、脱水さえおこさなければ決して怖い病気ではありません。ただし、二次感染を考えると1週間程度は細心の注意を払うにこしたことはないでしょう。

ノロウイルスは出席停止になるの?

◯と×の札を持つ子供-写真

ノロウイルスと同じく感染力の強いインフルエンザはご存知の通り学校などは出席停止となります。これは学校保健安全法学校感染症に指定されているからです。しかし、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎は学校保健安全法での学校感染症に指定されていません。つまり法律的には、インフルエンザのように出席停止などは定められてはいないのです。

しかし、その感染力の強さから「学校で流行が起こった場合、感染拡大を防ぐため必要がある時に限り校長が学校医の意見を聞き第三種感染症の中の『その他の感染症』として出席停止などの緊急措置をとることができる」と定められているので、学校によっては出席停止措置をとる場合もあるようです。

学校保険安全法では何日というように明確に出席停止期間が定められているわけではなく、「下痢・嘔吐症状が軽快し、全身症状が改善されれば登校可能」と記載されています。改善までの日数には症状の重さによってや個人差があるので、症状をみながらの登校となります。心配な場合は、医師に相談してみるとよいでしょう。

このように、どのような対応になるかは学校や企業によって異なります。ノロウイルスに感染してしまった場合は、必ず確認するようにしましょう。

まとめ

ノロウイルスは感染力が高いものの、ある程度は手洗いなどで予防できる病気です。つまり、1人1人が気をつけることで感染拡大を防ぐことができます。そのためにもノロウイルスについて正しい知識をもつということはとても重要なことで、それはノロウイルス感染予防にも繋がっていくのです。