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統合失調症についてどんな印象がありますか?かつては精神分裂病と呼ばれ、マイナスのイメージがあるかもしれません。しかし、統合失調症は早期に発見することで早期回復が見込まれ、長い目で見ると治療によって過半数が改善するといわれています。ここでは、早期発見の大切さと、周囲が気づく早期発見のポイントについて紹介します。

目次

なぜ早期発見が大切なの?

統合失調症は、脳の様々なはたらきをまとめることが難しくなる病気です。幻覚や妄想などの症状が特徴で、気分や行動が影響され、日常生活に支障をきたします。発病の早期の段階から、脳にある種の異常が生じると考えられています。その時期に適切な治療を受けずにいると、症状が長期化し、その後の社会適応も難しくなることが報告されています。

現在では、治療効果の高い様々な薬剤が開発されており、早期に薬による治療をスタートして適切に継続すれば、それだけ回復も早くなります。また、早期から治療を開始することで、再発するリスクを抑えることができます。

しかし、諸外国に比べ日本では、受診にいたるまでの期間が長いことが指摘されています。

周囲が気づける、4つの症状

発症のピークは10歳代後半から20歳代とされ、多くは思春期から青年期に気づかれます。とくに思春期は、子どもから大人へと変わる時期で、こころが不安定になりがちです。病気のサインなのか、成長に伴う悩みなのか、見分けるのが難しい場合も多いのです。

また、統合失調症を発症する前後の時期では、幻覚や妄想に基づく体験と現実の体験との区別がつきにくいため、ご本人は病気を発症したという自覚を持ちにくいという特徴があります。したがって、周りの人が気づいてあげることが早期発見につながります

以下のようなサインがいくつもあった場合には、統合失調症の疑いがありますので、専門医を受診するようにしましょう。
統合失調症_頭を抱える男性-写真

症状1:幻覚・妄想

  • 電波で攻撃されている、命令する声が聞こえると言う
  • 監視されている、盗聴されていると言う(実際には受けていない)
  • 悪口を言われた、いじめを受けたと訴える(現実には何も起きていない)
  • ぶつぶつと独り言を言ったり、にやにや一人で笑うことが多い
  • いつも不安そうで、緊張している

症状2:会話や行動の障害

  • 話にまとまりがなく、相手の話の内容も理解できない
  • 作業のミスが多く、勉強や仕事の能率が悪い

症状3:意欲の障害

  • これまでの趣味や楽しみに興味がなくなった
  • 人とのつきあいを避け、引きこもるようになった
  • 何もせずにゴロゴロしている
  • 身なりにかまわなくなり、入浴もしない

症状4:感情の障害

  • 感情の動きが少なくなる
  • 他人の感情や表情についての理解が苦手になる

受診をうながす家族のかかわり

統合失調症では、病気の自覚がなかったり、病気を認めたがらない場合が多く見受けられます。そのため、本人が受診に抵抗を示す場合には、家族が受診をうながすことが必要になります。本人が頑なに受診を拒むような場合、説得は簡単なものではありません。
しかし、本人の意思を尊重しすぎたり、対応に手を焼いて受診が遅れると、病状が進んで深刻な事態を招きかねません。だからといって、嘘をついて病院に連れて行ったり、脅すようなやり方をすると、お互いの信頼関係にひびが入ったり、本人を孤立化させ、さらに治療が遅れてしまうこともあります。

具体的には、次の点に留意してみてください。

  • 言動がおかしいと否定することはせず、悩みを共有し一緒に解決をしようと働きかける。
  • 心の病気であるかもしれないことを伝え、家族だけでなく、専門の医師のアドバイスを受けてみてはどうかと勧める。
  • 不安や緊張などの症状は、医療機関を受診し、治療すれば楽になることを伝える。
  • 皆があなたの味方であり、苦しみが良くなるために協力することを伝える。
  • 家族や友人、親戚の人たちが集まって受診を説得するのも効果がある。

まとめ

統合失調症はその症状ゆえに、家族の負担も重くなりがちです。しかし、早期に治療を開始することで、回復が可能な病気です。「もしかしたら統合失調症かも」と思ったらそのままにせず、できるだけ早く専門医による意見を仰ぎましょう。それが本人のためにも家族のためにも、最良の一歩となるのです。