ペースメーカーの手術をした場合、日常生活にどのような影響が出るかご存知ですか。今回はペースメーカーを付けても日常生活でできること、注意したいことなどについて、詳しく紹介していきます。ペースメーカーの仕組みやどういった病態に対して有効かは「心臓の働きを助けるペースメーカーとは?心臓の仕組みと合わせて紹介!」をご覧ください。

目次

日常生活を大きく制限はされない

ペースメーカーを埋め込んだ後は日常生活に大変な制限がかかると思っている人もいるかもしれません。しかしペースメーカーを埋め込んだからといって運動全てを禁止されたり、旅行に行けなかったりすることはほとんどありません。ただ気を付けなければいけない点があるのも事実です。

それぞれの生活場面で注意すべきこと

運動

手術後1~3ヶ月ほど順当に経てば、周囲の人と同じレベルの運動が可能になります。ただペースメーカー本体やリードの部分を圧迫するような運動は、リードが断線したり、本体が破損したりする恐れがあります。

このため、埋め込んだ場所の近くを大きく動かす運動や、身体に強い衝撃が加わる運動は控えた方が良いでしょう。重たい物を持つのも避けます。

入浴

シャワーはもちろん、湯船に浸かることもできます。しかし長い時間湯船に浸かったり熱い湯に入ったりすると、脈拍や心臓の収縮力が上がってしまい心臓に負担がかかります。長時間、高温の入浴は避けるましょう。長時間サウナに入ることも、同じ理由で控えます。

食事

食事や飲酒などに制限はかかりません。心臓や腎臓、肝臓などに持病がある場合は、持病の治療で制限がかかることはあります。

旅行

車、バイク、電車、飛行機などどの乗り物を利用しても大丈夫です。

飛行機に乗るときは、所持品をチェックする金属探知機にペースメーカーが反応したり、影響を受けてしまったりする可能性があります。係員にペースメーカーをつけていることをしっかり伝えましょう。

またシートベルト重い荷物による強い圧迫にも注意し、必要であればタオルなどクッションになるものを挟むなどの工夫もしましょう。

ペースメーカーに影響を与える・与えない機器は?

IH調理器-写真

強い電磁波を発したり体内に流したりする機器はペースメーカーに影響を及ぼしてしまいます。何に注意すべきかしっかり把握してください。

影響を与える可能性がある機器

  • 電磁調理器(IH調理器)
  • 高出力トランシーバー
  • 金属探知機
  • 体脂肪計
  • 全自動麻雀卓

ペースメーカーに影響を与える恐れがあるため、埋め込んだ場所に近づけないよう避ける必要があります。

また携帯電話や車の遠隔操作キー(鍵を差し込まずにボタンでロックを開閉できるシステム)は、ある一定の距離を保てば安全とされています。携帯電話は15cm以上、遠隔操作キーは22cm以上、ペースメーカーの植え込み部位から離しましょう。

影響が出ない機器

  • 電子レンジ
  • コタツ
  • 掃除機
  • 洗濯機
  • 冷蔵庫
  • マッサージ器
  • ドライヤー
  • テレビ
  • ラジオ
  • パソコン
  • 補聴器
    など

ただし、むやみやたらと電源を入れたり切ったりすることは避けます。万が一異常を感じた場合はすぐに電源を切り、その機器から離れるようにしてください。

ペースメーカーを埋め込んだ後に注意したい症状

ペースメーカーを埋め込んだ後に以下のような症状が出た場合は、早めに主治医に連絡しましょう。挙げる症状以外にもこれまでにない症状を感じても同様です。

  • 脈が異常に速い、遅い
  • 胸に痛みや息苦しさを覚える
  • 気が遠のいていくようなめまいを感じる
  • 手足がむくむ
  • ペースメーカーを植め込んだ場所が腫れたり痛んだりする
  • しゃっくりを繰り返す

普段の生活で心掛けること

心拍数を確認する

ペースメーカーは、心臓に異常がみられて脈が遅くなっている人に埋め込むものです。正常に機能しているかどうか判断するには、毎日同じ時間に脈拍を確認することが必要です。少なくとも5分程度はゆっくり休み、落ち着いた体勢で測定しましょう

定期的に検査を受ける

ペースメーカーは入れてしまえば後は特になにもしなくていいものではありません。異常が起きてしまう可能性機器の寿命があります。正常に動くか確認し、適切なタイミングで交換するためには定期検査を受けてください。

検査の間隔は3ヶ月~6ヶ月に1回のペースで行われることが多いです。

ペースメーカー手帳を持ち運ぶ

心臓の病気や使っているペースメーカーの情報、治療を行っている病院や主治医などの情報を記載したペースメーカー手帳というものがあります。

この手帳は医療機関を受診するときだけでなく、自分がペースメーカーを埋め込んでいることを知らせる重要なものです。万が一のときにすぐ対応してもらえるよう、外出するときに必ず携帯しておきましょう。

最新のペースメーカーを除き、MRI検査は受けることができません。また、電気メスを使用する際には特別な配慮が必要ですが、医療従事者に手帳などで伝えれば大丈夫です。

まとめ

ペースメーカーをつけていても、これまでと大きく変わる生活を送ることはありません。強い電磁波が生じているような機器や環境は避けたり、脈の異常など普段は出ないような症状がみられた場合はすぐに主治医へ連絡したりするよう心掛けてください。