普段規則正しく打っている脈が不規則なリズムになったり、ゆっくりもしくは速くなったりすることを不整脈といいます。その不整脈のひとつに期外収縮があります。期外収縮は心配のないケースが大半ですが、なかには命に関わる危険な場合もあります。
期外収縮はどのようなメカニズムで起こるのか、発生することでみられる症状や基礎疾患について紹介していきます。
期外収縮とは
脈が不規則に打たれる場合を期外収縮と呼びます。また1分間に50回以下のゆっくりとした脈は徐脈、1分間に100回以上の脈を頻脈といいます。不整脈には運動したときや緊張したときなどに頻脈がみられるように、健康な人にでも起こる生理的なものと疾患が原因で起こるものとがあります。
期外収縮は健康な人でもみられる不整脈で、歳をとっていくにつれてみられる頻度も高くなっていきます。リズム正しく打っている脈の中にときどき「トン、トン、トトン」と早く打つ脈が現れたり、「トン、トン、（脈が触れない）、トン」と脈が一拍飛んだりします。
期外収縮は起きても無症状であることが多いのですが、胸の違和感や痛み、喉の詰まった感じなどの症状が出ることもあります。連続して起こると、血圧の低下や動悸、めまいなどが生じることもあります。
期外収縮が起こるメカニズム
心臓は全身に血液を送り出すために、規則正しいリズムで収縮と拡張を繰り返しています。心臓の右心房にある洞結節という場所で電気が発生し、電気は房室結節を通って心室へと伝えられます。期外収縮は洞結節以外の場所で電気が発生し、心臓に伝えられるものです。心房で電気が発生すると心房性期外収縮、心室で起きた場合を心室性期外収縮と呼びます。
通常の洞結節から発生する電気よりも早いタイミングで伝えられるため、脈をとったときに「リズムが不規則になる」、「早いタイミングで打つ」、「脈拍として触れることができず、脈が一拍飛ぶ」ように感じます。
注意の必要な期外収縮とは
期外収縮がみられた場合、無症状で数も少なければ特に治療は必要ありません。症状が出たときには抗不整脈薬や安定剤などの薬物治療を行うこともあります。薬物治療を行う場合には副作用のリスクを考慮して、十分に検討した上で慎重に行われます。
不整脈の原因が心室性期外収縮であれば、命の危険に関わる心臓の疾患から起きている可能性もあります。突然死の原因にもなる心筋梗塞や心機能の低下を来すこともある心筋症、心臓に負担がかかる弁膜症などです。
心房性期外収縮は数も少なく、無症状であれば、ひとまず心配はありません。ただし連発する場合には心房細動へと移行することがあるので注意が必要です。通常は規則正しく1分間に60～100回、洞結節から電気の発生がみられます。それが心房細動では1分間に400～600回も心房が不規則に動きます。心房内の血液の流れは悪くなり、意識の消失や心機能の低下、血栓を生じて脳梗塞を招くこともあります。
期外収縮がみられたら
健診や検査で期外収縮を指摘されたり、自分で脈をとったときに期外収縮だと感じたりした場合（脈が飛ぶなど）は、1日に起こる回数や頻度などを確認してみるといいでしょう。また病院で心電図を記録する24時間ホルターを装着しての検査、運動負荷時の心電図検査などでも疾患が隠れていないかチェックすることができます。
まとめ
期外収縮は特に心配する必要がないケースが多いです。ただ心臓の病気から起こるものや、心房細動などの危険な不整脈へ移行する可能性もあります。一度医療機関で検査を受けて確認してみるといいでしょう。必要であれば治療を開始し、今すぐ治療が必要でない場合も期外収縮が危険なものへと移行するリスクがないか、医師に相談してみてください。
期外収縮は寝不足やストレス、疲労などで増えやすいといわれています。規則正しい生活を送るとともに、睡眠を十分にとりましょう。ストレスや疲れは溜めこまず、運動や趣味などで日頃から発散してみてください。