動悸や息切れを感じたり、めまいが多くなったりするなど年齢を重ねて心配なことが増えてきていませんか。そのときに脈が遅かったり不規則だったりした場合は心臓の異常が考えられます。また脈がとれないときは血管が炎症を起こす難病の可能性があります。

今回は脈拍が速い以外におかしいとき注意する病気について紹介していきます。

目次

脈が遅くなる病気とは?

洞(機能)不全症候群

心臓を動かすために必要な電気刺激を生み出す洞結節(どうけっせつ)が、うまく機能しない病気です。電気が作られないため脈が遅くなり(徐脈)、失神めまい(アダムス・ストークス発作)、ふらつき、意識消失、疲れやすくなるなどの症状が出ます。徐脈が続くと心臓の機能が衰えて心不全を招く危険もあります。

原因ははっきりしませんが、洞結節は歳をとると機能が低下するため加齢が関係するとされています。降圧剤や強心剤を服用して起こることもあります。

失神や心不全といった症状が出ている場合はペースメーカーを植込む対象となります。薬が原因の場合は服用を止めます。症状が出ない場合もありますが、そのときは様子を見て対応していきます。

房室ブロック

心臓は4つの部屋に分かれていて、心房は心室、心室は全身に血液を送ります。

正常な心臓は心房から弱い電気を流して心室まで伝えて心臓を動かしていますが、房室ブロックになると、心房から心室への電気の流れを止めてしまいます。

そうなった場合に体の防御機構が働き、心室は自力で動こうとします。ただ非常にゆっくり動くため必要な血液量を全身に送れなくなってしまいます。重症だと失神心不全、そして心停止になる場合があるので、注意が必要です。

重症の房室ブロックと診断された場合は、ペースメーカーの植え込みを提案されることがあります。

脈が不規則な病気とは?

不規則に積まれた石-写真

期外収縮

期外収縮とは、洞結節とは違う場所で電気的興奮が起き、通常のタイミングよりも早く脈を打ってしまう状態を表します。いつもより早く、そして圧力が弱く心臓が収縮してしまうため、脈が1回足りないように感じます。

期外収縮は喉や胸の不快感、動悸めまいなどを覚えることがありますが、特に何も感じないことが多いです。また多くは年齢(30歳以上)や体質的な理由で起きますが、精神的ストレスや睡眠不足、疲れは期外収縮を悪化させてしまいます。

注意したいのは心筋梗塞などの疾患が原因で起きる可能性を持つことです。運動や飲酒している時、または何もしていない時に、動悸や意識が遠くなるような症状が出た場合には、医療機関を受診してみるといいでしょう。

ブルガダ症候群

ブルガダ症候群とは、若年から中年の男性が夜間睡眠中に突然死する、長年原因不明の「ぽっくり病」といわれてきた疾患です。睡眠中もしくは安静時に床に就いているときに発作が起こることが特徴です。

このブルガダ症候群は日本人にも多く、心電図検査を行うと50人に1人程度の人が、ブルガダ症候群の波形に極めて近いということも分かっています(国立循環器病研究センター)。

また本当に危険な不整脈を起こすのは「これまでに意識を失ったことがある」「家系に突然死がいる」場合の人に限られています。

徐脈や頻脈が起こったり、失神や心停止したことがあったりする場合は注意が必要です。ただ危険を予測するのは困難で、調査が進んでいる新しい病気です。必要に応じて、埋め込み型除細動器を埋め込む場合があります。

脈がとれない病気とは?

高安動脈炎(大動脈炎症候群)

高安動脈炎とは、大動脈および肺動脈、冠動脈に閉塞もしくは拡張性病変をきたす原因不明の血管炎であり、全身性疾患です。肩から手(上肢)の血管消失がよくあり、「脈なし病」とも呼ばれています。

微熱だるさなど風邪のような症状から始まり、手の痺れや痛みなどが出てきます。

患者さんの3分の1程度に大動脈弁閉鎖不全症の出現もみられ、狭心症や心筋梗塞の発症の危険性もあります。治療は基本的に副腎皮質ステロイドを使っていきます。場合によっては外科手術もあります。

難病に指定されていますが、早期発見、早期治療が可能になって長く生きていられる時代になっています。

まとめ

脈拍は速いとき以外にも命に危険がある場合があります。めまいや意識を失うことがあった場合は脈拍を計測しましょう。そして遅いなど普段と異なる状態だった場合は病院を受診してみてください。