命に関わる子供の感染症、細菌性髄膜炎。その原因菌の一つとなるのがインフルエンザ菌b型「Hib(ヒブ)」です。このHib感染症を防ぐために最も有効な方法・Hibワクチンについて、副作用や接種時期などをみていきましょう。
Hibワクチンの重要性
Hib感染症は細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎・化膿性関節炎・敗血症など重症の感染症を引き起こすことがあります。これらの重症感染症は時には命に関わることもあるとても怖い病気です。
しかし、Hib感染症に感染しても初期では発熱や嘔吐・頭痛など普通の風邪と同じような症状があらわれるため風邪との区別をつけるのは難しいです。けいれんや意識障害などが起こり、症状が重くなってからHib感染症と診断されることも少なくありません(詳しくは「Hib(ヒブ)感染症の症状や危険性って?インフルエンザとは関係ないの?」をご参照ください)。
このHib感染症から身を守るために有効な方法が、生後2か月からの早い段階でのHibワクチンの接種です。ワクチンをたくさんの人が接種することで免疫を持つ人が増え、感染機会も減る集団免疫効果を得ることができ、Hib感染症の発生を抑えることも期待できるのです。
実際にアメリカでは1990年代からHibワクチンを定期化したことにより、5歳未満におけるHib感染症は99%も減少しました。現在では、10万人に1人よりもさらに少ない発生率になったとされています(厚生労働省より)。
気になる副反応
Hibワクチンの予防接種の副反応としては次のようなことがあります。
副反応の頻度 |
症状 |
5%以上 |
接種部分の腫れ・赤み・しこり・痛み・ 食欲不振・不機嫌・不眠・下痢・嘔吐 |
0.1~5%未満 |
発熱・発疹・ウトウトする(傾眠) 異常号泣 ・鼻血・じんましんなど |
頻度不明 | 接種部分のピリピリ感・ムズムズ感・ かゆみ・むくみなど |
特に、接種部分の腫れ・赤みは44.2%と半数近くのお子さんにみられます(厚生労働省より)。接種箇所に起こる症状は軽いことが大半ですが、長く続いたり、他に気になる症状があったりする場合は医療機関で相談してください。
Hibワクチンの接種対象と接種時期

Hib感染症は早期発見が難しく、また赤ちゃんでも細菌性髄膜炎になることから、生後2か月からの早い段階でのワクチン接種が推奨されています。早いうちにワクチンにより免疫をつけておけば、万が一の時に備えることができるのです。
接種対象
2か月から5才の誕生日前日まで
接種時期(推奨年齢:2か月以上~7か月未満)
4~8週間隔で初回接種として3回、その後7か月~13か月あけて4回目の追加接種をおこなう
何らかの理由により上記の推奨年齢で接種できなかった場合は、接種開始の月齢によって接種回数・接種間隔が次のように異なります。
接種開始月齢:7か月以上~12か月未満
→4~8週間隔で初回接種として2回接種し、2回目接種から7か月~13か月あけて3回目の追加接種を行います。
初回・2回目の接種は12か月までに行います(それを超えた場合は行いません)。追加接種は可能ですが、最終接種からは27日以上の間隔をあけて1回接種することになります。
接種開始月齢:1才以上~5才未満
→1回接種
細菌性髄膜炎は低月齢の赤ちゃんでもかかる可能性があるため、小児科などでも早目のワクチン接種がすすめられています。
まとめ
細菌性髄膜炎は合併症などとても怖い感染症ですが、適切なワクチン接種によってHibによる感染症から大切な我が子を守ることができます。生後2か月を過ぎると他の予防接種スケジュールなども入ってきますが、しっかりとスケジュールを守り確実に免疫をつけてあげることが、赤ちゃんの健康に繋がるのです。