山の中を散策していると、自生しているキノコなどを見かけることも多いと思います。ただ安易に摘んできて食べると、実は毒を持っていて食中毒になってしまう可能性もあります。また毒を持った観賞用の植物を、食用植物と勘違いして摂取してしまうケースもみられます。ひどい場合は死亡するケースもある有毒植物について、食べたときに出る症状と合わせて紹介していきます。

目次

有毒植物はお腹の症状だけでなく死亡例も

毒を保有している植物としてよく知られているものに、キノコジャガイモがあります。ほかにも自宅の庭や野山で採取できる有毒植物もあります。基本的に食用のものと見た目が似ている特徴があります。その一部を紹介していきます。

毒キノコ

ツキヨタケ

食用のヒラタケ、シイタケ、ムキタケと似ていて、食中毒の発生例が一番多いキノコです。食べると30分から1時間程度で嘔吐、腹痛、下痢、幻覚などの症状がみられます。

クサウラベニタケ

ウラベニホテイシメジ、ホンシメジ、ハタケシメジなど、シメジの仲間と似ており、地方ではササシメジ、アブライッポンなどの名前で呼ばれることもあります。毒を持っているので食べると、嘔吐、腹痛、下痢、発汗などの症状がみられます。

ニガクリダケ

クリタケやナメコ、ナラタケなどと似ており、食べると、3時間程度で激しい腹痛、嘔吐、下痢などの症状がみられます。重症例では、脱水、痙攣、アシドーシス(身体が酸性に傾いている状態)、ショックなどがみられ、死亡する例もあります。

ドクツルタケ

白っぽいキノコで、シロマツタケモドキに似ていますが、猛毒で、激しい腹痛、嘔吐、下痢症状のあとに、肝臓や腎臓の機能障害がみられ、死亡することもあります。

スギヒラタケ

スギや松などの倒れた木や切り株に生える白い平たいキノコで、以前は食用とされていましたが、食べることで急性脳症の発症例があり、食べないように厚生労働省、農林水産省で呼びかけています。

カエンタケ

赤やオレンジ色をした、細長く指のような形をしています。食べると嘔吐、下痢、腹痛のほか発熱、手足のしびれといった全身症状も出ます。時間が経過しても脳神経などに障害を与え、過去には死亡したケースもあります。

触っただけで皮膚に炎症を起こすのも特徴です。

ジャガイモ

芽が生えたジャガイモ-写真

スーパーなどで流通しているものではなく、家庭学校などで育てたジャガイモで特に注意します。以下の特徴があるものだとソラニン、チャコニンという有毒物質が含まれている恐れがあります。食べると腹痛、嘔吐、下痢、頭痛、めまいなどの症状がみられます。

  • 未熟なまま収穫したもの
  • 日に当たって緑色に変色したもの
  • 芽の出たじゃがいも
  • 親芋で発芽しなかったもの

スイセン

食べると嘔吐、腹痛、下痢、よだれ、発汗などの中毒症状を起こすことがあります。

家庭でニラとともに育ててしまうと、姿形が似ているため間違えてスイセンを食べてしまう例があります。

イヌサフラン

観賞用の植物です。葉は食用のギョウジャニンニクギボウシ、球根はジャガイモやタマネギと似ています。間違えて食べると、嘔吐、腹痛、下痢などの中毒症状がみられます。死亡者も出ています。

トリカブト

野草のニリンソウと間違えて食べられることが多くみられています。食べてから10~20分で嘔吐、腹痛、下痢、手足のしびれ、不整脈、血圧低下、痙攣などの症状がみられます。強い毒性があり、呼吸困難死亡する例もあります。

その他

ほかにもサトイモと似たクワズイモ、つぼみがオクラに、根がゴボウに似たチョウセンアサガオなど多くの有毒植物があります。身近なところではアジサイの葉っぱにも毒があり、料理の飾りに使われたものを食べて中毒症状が起こった例もあります。

中毒に合わないために

基本的に食用かどうか分からないものは採らず、また食べないようにしましょう。キノコに関しては「縦に裂けるキノコは食べられる」、「色が派手なキノコは毒キノコ」「虫が寄っているキノコは安全」などの情報は正しくありません。ほかの人にあげるのも止めましょう。

またスイセンなど日ごろ食べる野菜と似ているものは、育てる段階でしっかり区別することも必要です。ジャガイモは怪しいものは避け、芽は付け根の部分もしっかり取り除きます。ソラニン、チャコニンは水に溶ける性質があるので、しっかり茹でると有毒物質が残りにくくなります。

もし食べてしまった場合、ひどく苦かった場合はすぐに吐き出します。体調がおかしくなったり不安を感じたりしたときは医師の診察を受けましょう。

まとめ

野草を採み取ることは一つの楽しみですが、しっかり知識がないと危険です。厚生労働省などには有毒植物がどんな植物と似ているか写真付きで詳しい説明があります。野草を持ち帰ったり、人から譲り受けたときは一度確認することが身の安全を守ることにつながります。