生理前はなんだかずっと眠い、出産後にうまく眠れなくなってしまった、更年期のせいか眠りが浅い…このような症状に心当たりはないでしょうか?

生理や妊娠・出産、閉経などによる大きなホルモンの変化は睡眠障害を招くと言われており、睡眠に関わる悩みを抱える女性は少なくありません。

この記事では女性のライフステージと、睡眠との関係を詳しく見ていきたいと思います。

目次

女性は睡眠障害になりやすい?

ある調査で、日本人の不眠症の有病率は男性で17.3%、女性で21.5%と、女性のほうが不眠症の割合が高いという結果が出ました(女性の睡眠とホルモンより)。

女性は男性に比べると性ホルモンの分泌の変動が激しく、それによって不眠症などの睡眠に関わる問題が起きやすくなっていると考えられています。

女性のライフステージ別、良く見られる睡眠の悩み

まず、女性は思春期に性ホルモンの分泌が盛んになった後、月経や妊娠・出産の度にホルモンの分泌量が変動します。
さらに、40歳を過ぎたあたりから卵巣の機能が低下してホルモン量も減少、40歳代後半から50歳代前半に閉経した後はさらにホルモン量が低下するのです。

こういったホルモンの大きな変動とともに、女性は過眠や不眠などの問題を抱えやすくなります。
以下では、ライフステージ別にどのような睡眠の問題が起きやすいのかについて見ていきます。

生理周期にともなう変動

生理前は黄体ホルモンの増加によって基礎体温が上がり、睡眠と覚醒のメリハリがなくなってしまうことがわかっています。よって、夜間の睡眠が浅くなり、日中に眠気がひどくなることがあるのです。

朝は光を浴びるようにし、眠る前にはスマートホンを見ないようにするなど、光による体内時計の調節で生活にメリハリをつけると良いでしょう。

妊娠中

妊娠中にも、睡眠に関わる症状を訴える方が多いです。

妊娠初期にはホルモンの急激な上昇による催眠作用、基礎体温の上昇などによってずっと眠い状況が続きます
一方で、妊娠後期にはお腹が大きくなり、子宮収縮や胎動、夜間頻尿といった要因で夜に目が覚めやすく、不眠の症状が出やすくなります

また、妊娠が睡眠時無呼吸症候群むずむず脚症候群(安静にしていると足がむずむずして、落ち着かず眠れない)のきっかけとなることもあります。

妊娠中は無理をせず、体調の気になることはかかりつけの産科に相談し、睡眠に関わる症状がひどい場合には睡眠外来を受診することも考えましょう

産後

出産後は、女性の生涯の中で最も急激な身体の変化が起こり、身体的にも精神的にも大きなストレスがかかりやすい時期です。

さらにその状態で子育てが始まり、授乳や夜泣きなど、小刻みな睡眠と覚醒が繰り返されるため、夜間熟睡しにくくなり、日中の過度な眠気や疲労感の蓄積が起こりやすくなっています

マタニティブルーや産後うつなどの発症が心配される時期でもあります。一人で抱え込まず、家族の助けを借りつつ休息をとれるようにしましょう

更年期

女性はおよそ50歳で閉経を迎え、その前後数年の間を更年期といいます。
更年期にはホルモンの急激な減少によってさまざまな身体の不調が現れますが、その中でも不眠は更年期の女性のうち、約半数の方が症状を訴えると言われています。

さらに更年期は子供の独立や夫の定年、自身の体力低下など、ストレスや喪失感体験の多い時期と重なることが多く、精神面の不調も出やすい状態です。

眠れないことによって「寝なくては」という緊張が生まれてさらに寝つきが悪くなるようなことがあります。しかし年齢が高くなるにつれて、睡眠時間が少なくなることは自然なことでもあります。睡眠時間にこだわりすぎず、更年期障害の治療をしていくと良いでしょう

こんな症状が1か月以上続いたら睡眠外来へ!

睡眠による悩みは、毎日続くとつらいものです。
下記のような状態が1か月以上続く場合、睡眠障害が疑われますので睡眠外来のある病院で相談してみましょう。

不眠

入眠障害(寝付きの悪さ)や中途覚醒(入眠後何回も目が覚める)、早朝覚醒(いつもの起床時間より2時間以上早く目が覚め、二度寝できない)、熟眠障害(睡眠時間は十分でも、深く眠った感覚が得られない)など。

過眠

夜によく眠れているにも関わらず、日中の過度な眠気、居眠りが起こる状態です。

就寝時の異常

むずむず脚症候群など。

睡眠・覚醒リズムの問題

適切な時間に入眠できず、希望する時間に起床できない状態。

まとめ

生理中、妊娠中など、女性には睡眠に関わる問題が起きやすい時期があります。

睡眠障害がひどく、日常生活に支障をきたす場合には、我慢せずに睡眠外来を受診するようにしましょう。
薬物療法やカウンセリングなどによって改善する場合もありますので、一人で悩んで抱え込まないようにすることが大切です。