おりものの悩みや疑問を持っていても、なかなか周りの人に気軽に相談しにくい内容かと思います。おりものは、女性の約85%が不快感を感じると答えるほど、女性にとって身近な悩みの種です小林製薬より)。ですが、おりものがあることで女性のからだは守られており、妊娠しやすい状態を作るという大事な役割も持っています。ここでは、おりものの働きと悩みについてお話ししたいと思います。

目次

おりものとは?

おりものは、帯下(たいげ)とも呼ばれ、外陰部の皮脂腺や汗腺、バルトリン腺などの分泌腺、膣、子宮、卵管などからの分泌液や粘液などで構成されていて、これらの量や性状は生理周期によって変化するほか、細菌などの感染症によっても変化します。おりものには下記の重要な2つの働きがあります。

1.膣の自浄作用

膣は、からだの外と子宮を繋ぐ器官で、細菌が入りやすいところです。細菌が増殖すれば炎症を起こし、子宮や卵巣など女性の大事な器官に重篤なダメージを与えることになりますが、おりものが分泌され、膣内の細菌のバランスが保たれることで、感染を起こしにくい環境が作られています。

2.受精の手助け

排卵が近くなると、おりものの性状が変化し、精子がスムーズに卵子と出会えるようにサポートします。

おりものの生理的変化

おりものの量や性状は生理周期によって変化します。おりものの量が最も増える時期は、卵胞期(生理開始日から2週間程度)後半と排卵日あたりです。透明でサラッとした性状で、この時期のおりものは精子が子宮内に入りやすい状態を作ってくれます。排卵後、黄体期(排卵後から2週間程度)には、おりものは白濁したドロッとした性状になり、量は減少していきます。生理前には量が増え始め、においが強く、性状は引き続きドロッとした白濁した粘液状の状態が続き、生理が来ます。

おりものの変化と感染症

おりものは感染症によってもその性状が変化します。いつもとなにか違う感じのおりものが出るなという場合には、下記のような感染症や病気の可能性があるため、婦人科を受診してみましょう。おりものに血が混じっている場合には、不正出血の可能性があるため、早めに婦人科を受診しましょう。不正出血の原因の中には、子宮頸がんや子宮体がんなどの重篤な病気の可能性もあります。

カンジダ膣炎

カンジダという真菌が異常増殖して起こる炎症で、多くの女性が経験する頻度の高い病気です。

おりもの:量が増え、白色で、酒粕や粥・ヨーグルトのような性状

かゆみ:非常に強くひりひりする場合もある

細菌性膣炎

膣内の善玉菌のバランスが崩れ、大腸菌など本来はいないはずの細菌が過剰増殖して炎症を起こした状態で、膣の感染症で頻度が高い病気です。

おりもの:量が増え、灰色がかった色味や濁った黄色で、水っぽい性状

かゆみ:出ないことが多い

におい:魚の腐ったようなにおい

トリコモナス膣炎

膣トリコモナス原虫による感染症で、性行為やトイレ・浴槽・タオルを介して感染します。

おりもの:量が増え、黄緑がかった色味で、泡状や膿のような性状

かゆみ:強く出る場合もあり灼熱感を伴う

におい:あまり出ないことも多い

淋菌感染症

淋菌という細菌による感染症で、性行為によって感染します。症状がほとんどでないことが多く感染に気付かないケースが増えています。

おりもの:量が増え、黄緑がかった色味で、膿のような性状

かゆみ:なし

におい:悪臭を伴う場合もある

クラミジア感染症

クラミジアという細菌による感染症で、症状があまり出ないため気づかれないうちに進行し、不妊症や不育症、産道感染など多くの合併症や後遺症を起こす危険性のある病気です。

おりもの:無症状もしくは、量が増えて水っぽい性状・不正出血によりピンク色や出血交じりになることもある

かゆみ:なし

萎縮性膣炎

エストロゲンの減少によって膣の機能が低下するために起きる炎症で、更年期や閉経後の女性に多い病気です。性交時の痛みや出血の原因となります。

おりもの:血が混じったような、赤やピンク、茶褐色の色味

かゆみ:なし

まとめ

おりものを気にすることは、女性がからだを管理する上で大切なことです。ストレスや働きすぎなど、からだに負担をかけ過ぎた状態になると、膣内の細菌のバランスが崩れ、様々な感染症を起こしやすくなります。特に細菌性膣炎やカンジダ膣炎になった場合、なんらかの原因によってからだに負担がかかっている可能性が高いので、自分のライフスタイルやワークバランスの見直しをするいい機会かもしれません。

また、クラミジアや淋菌などの性感染症が原因の場合、パートナーの治療も必要になってきますし、自分が原因でない場合、パートナーがどこかからもらってきたという可能性が出てきますので、パートナーとの関係の見直しの必要もあるかもしれません。おりものの変化に気付けることは、自分のからだと人生を守ることに繋がりますので、関心を持ってチェックするようにしましょう。また、日頃からコンドームを毎回正しく使用することで、必要ない感染を防ぐようにすることが重要です。