出張先で見ず知らずの人と性的に接触してしまった、新しいパートナーとの性行為の後から症状が現れたなど、性感染症を疑いたくなる時がありますよね。でも、人には相談できないし、病院に行くのも不安。性感染症になるとどのような症状が出て、病院ではどんな検査を受けることになるのでしょうか。
もしかして性感染症?
性感染症は、その原因・種類によって様々な症状がみられます。誰かと性的な接触(セックス、アナルセックス、オーラルセックス)をもった後に以下の様な症状があったら、性感染症を疑ってみましょう。
- 性器周辺の痛みやかゆみ
- 性器周辺の腫れや皮膚の潰瘍、水泡、コブ状のできもの
- 尿道のかゆみや排尿痛、尿道からの膿
- のどや口周辺の痛みや腫れ、できもの
- 陰毛部の激しいかゆみ
- 分泌物の変化(尿道から膿がでる、おりものの増加・チーズ状・悪臭がする、下着に黒色点状のシミ)
- 性器周辺・太もものリンパ・肛門周辺・手指・口唇などのしこりや腫れ
- 発熱、咽頭炎、倦怠感、筋肉痛、嘔気、黄疸などの全身症状
ほかにも、代表的な性病の種類別の症状について知りたい方は「海外に行くときは特に注意!6つの性感染症(性病)の症状と予防法」の記事をご覧ください。
何科に行けばいいの?

現代はセックスが多様化したことにより、性感染症の症状の現れ方も様々です。そのため、性病科・泌尿器科・産婦人科・耳鼻咽喉科・皮膚科・内科・感染症科など、様々な科で症状に関する治療を受けることができます。
例えば、オーラルセックスによって感染した場合、性器クラミジアや淋病感染症で咽頭炎を引き起こすことがあります。この場合、性病科だけでなく耳鼻咽喉科でも対応可能な医院があります。ただし、全ての病院が対応可能なわけではありませんので、事前に確認した方が良いでしょう。
診察科の選び方は、以下を参考にしてください。
- 性器に症状がある:性病科・泌尿器科・産婦人科
- のどに症状がある:性病科・耳鼻咽喉科
- 皮膚に症状がある:性病科・皮膚科
- 妊娠中・妊娠の可能性がある、妊娠を希望している:出産を希望する産婦人科
- その他全身症状や相談:性病科・泌尿器科・産婦人科・内科・感染症科
どんな検査をするのか

何の性感染症であれ、性的な接触がいつあったのか、どんな症状がいつからあるのかといった問診と、病変を確認する視診が行われます。その他に、血液中の抗体価等で感染の様子を調べる血液検査、尿道感染を引き起こす性感染症について調べる尿検査、性器周辺を綿棒で拭って分泌物や菌の有無を調べる検査などがあります。
綿棒で拭う検査の際、男性では亀頭から膿を拭ったり、女性は診察台の上でクスコ(膣鏡)という器具を使用して患部を視診・検査したりすることがあります。
上記すべての検査を行うわけではなく、問診・視診で可能性のある感染症に合わせた検査が行われます。
各検査や診察によってわかる性感染症には、以下のようなものがあります。
視診 | 性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、カンジダ、疥癬、ケジラミ、軟性下疳、梅毒 |
血液検査 (抗体検査) |
HIV、B型肝炎・C型肝炎ウイルス、梅毒 |
尿検査 (男性) |
淋病、性器クラミジア、トリコモナス、マイコプラズマ、ウレアプラズマ |
分泌物の検査 (女性) |
淋病、性器クラミジア、膣トリコモナス、カンジダ、マイコプラズマ、ウレアプラズマ |
陰部擦過 | カンジダ、性器ヘルペス |
咽頭検査 | 咽頭クラミジア、咽頭淋病、マイコプラズマ(咽頭)、ウレアプラズマ(咽頭) |
感染症の中には潜伏期間が長く、ある程度感染から期間を置かないと検査ができないものや再検査が必要なものもありますが、性感染症は早期発見・早期治療がポイントです。感染の不安がある場合には症状がなくても早めに医療機関を受診し、適切な検査時期やパートナーの受診の必要性、現在できる治療などについて相談してみましょう。

まとめ
性感染症は、今や同性愛者や風俗業従事者との関わりのみで感染する病気ではありません。日本で一番多い性感染症であるクラミジアをとってみれば、15~19歳女子の10人に1人はクラミジア感染が見られるとのデータがあり(厚生労働省より)、特定のパートナーとしか関係を持っていない場合でも、以前の交際相手から感染している可能性は十分にあります。
性感染症は、放っておいても自然と治る可能性はありません。心当たりがある場合には、適切な検査と治療を受けましょう。