閉経が近づけばだれもが迎える更年期は、血圧を上げるリスクであることを知っていますか?更年期はホルモンの量が変化するため、血圧にも影響を及ぼす場合があります。「昔から低血圧だから高血圧の心配はない」と安心はできません。今回は、更年期でみられる高血圧について紹介していきます。

目次

更年期でなぜ血圧が上がるのか?

更年期とは40代半ばから50代半ばの閉経前後10年間を指し、エストロゲンと呼ばれる性ホルモンが急激に減少する時期と重なります。エストロゲンの急激な変化は体に様々な不調を及ぼし、更年期障害を引き起こします。例えば顔がほてったり、汗をかきやすくなったり、動悸がしたりします。こういった更年期障害で表れる症状の一つに血圧の上昇があります。

更年期で血圧が上がる仕組みを説明すると、エストロゲンは脳の視床下部-下垂体と呼ばれる部分で分泌量の調整がされています。更年期に入りエストロゲンの量が低下していくと、それを補うために視床下部の働きが盛んになります。

視床下部は自律神経の働きも調整しているため、エストロゲンの分泌を促そうと視床下部が空回りをするとそれにつられて自律神経の働きは乱れていきます。その結果、自律神経の働きによって調整されている血圧は不安定な状態に陥ってしまい、高血圧になることがあるのです。

このほか肥満運動不足といった生活習慣の乱れも合わさると、高血圧を引き起こすリスクとなります。

更年期高血圧はだれでもなるの?

クエスチョンマーク

更年期だからと言って、誰にでも高血圧がみられるわけではありません。厚生労働省の調査(2015年)によると、性別、年代別で高血圧(最高血圧が140mmHg以上)の人が占める割合は、女性では10代、20代で2%に満たないのに対し、40代は8.7%、50代は23.4%と高くなります

高血圧の人が占める割合は年々男女、各年代とも減少傾向ですが、若いころ血圧が正常もしくは低血圧であっても、更年期を境に血圧が上昇する恐れはあります。更年期以降の高血圧を放置してしまうと、慢性的な高血圧に移行する場合があります。悪化を避けるためにも、早めの治療が必要になります。

更年期高血圧に特徴的な症状は?

更年期にみられる高血圧は特徴的な症状を示します。しっかりと特徴を知って自分に当てはまるかどうか確認していきましょう。

血圧の変動が激しい

更年期高血圧は普通の高血圧に比べ、変動が激しくなるのが特徴です。普段は正常なのに、ストレスや不眠、イライラなど更年期障害でみられる様々な症状をきっかけに一気に血圧が高くなってしまいます。頭痛やめまいが原因となって血圧の上昇を招くこともあります。

更年期高血圧によって別の症状が併発

高血圧の引き金として、更年期障害による症状やストレスを紹介しましたが、逆に高血圧が不安や頭痛・頭重感、さらにはめまいや動悸といった身体的な症状を引き起こすことがあります。そのような症状が併発してしまうことにより、ますます血圧が高くなってしまうといった悪循環を生じさせてしまうのです。

まとめ

これまで血圧の数値が正常だったり低かったりする女性が、年齢を重ねてから高い数値の場合は更年期が原因となっているかもしれません。

更年期高血圧は他の症状と併発してみられ、また変動しやすいので気づきにくい面もあります。しかし放っておくと慢性的な高血圧に移行する恐れもあるため、今まで血圧は正常だったからと自己判断をせず、気になる場合はお近くの内科を受診してみましょう。