更年期に現れる様々な体調の変化のうち、日常生活に支障をきたすものを「更年期障害」といいます。更年期障害は症状が軽度な場合には特別な治療は必要ありませんが、ひどい場合には病院を受診し検査をした方が安心です。そこで今回は、更年期障害の診断方法とその治療法、セルフケアについて紹介していきます。

更年期障害の症状に関しては、「50歳前後の女性の悩みの種!更年期障害ってどんな病気?」をご覧ください。

目次

更年期障害の診断方法は?

更年期障害と診断されるにはまず、他に症状の要因となる病気がないことを確認しなければなりません。そのため、まずは体の不調が脳腫瘍による頭痛椎間板ヘルニアによる腰痛、関節リウマチによる手指のこわばり、メニエール病によるめまい、貧血による動悸などによるものではないかということを調べます。

これを踏まえて、更年期障害が疑われるのは

  • 更年期である(45歳~55歳くらい)
  • 月経不順あるいは閉経している(卵巣を摘出している場合も含む)
  • 訴えが多岐に渡り、その症状が固定せず、時折変化する
  • のぼせ・ほてり(ホットフラッシュ)などの血管運動神経系症状がある
  • 憂鬱、無気力、不眠、不安、イライラするなどの精神神経系症状がみられる

などの場合です。

更年期障害であることが確定すれば、どの症状がメインで出ているのかを主に問診で確認します。また、更年期には神経症やうつ病、ヒステリーなどの疾患が混じっていることも多いので、複数の心理テストを行う場合もあります。

更年期障害の治療法は?

サプリメント-写真
更年期障害の治療は大きく薬物療法と精神療法に分けることができます。

薬物療法

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)とは減少した女性ホルモン(とくにエストロゲン)を外から補うことで、ホルモンバランスを整える治療法です。その種類としては、飲み薬、貼り薬、塗り薬などがあり、いずれも医師の処方が必要です。

一般的にホルモン補充療法(HRT)はのぼせ、発汗、動悸などの症状に効果があります。骨粗しょう症の予防にも有効です。
しかし、一方で乳がんや肝機能障害のある人は受けられない場合があり、また、乳がんや脳卒中の発症率が上昇したという報告もあるため、使用の可否について医師と相談することが大切です。

漢方療法

漢方治療は身体のバランスを整え、しかも女性ホルモンに直接影響しないので、ホルモン補充療法が受けられない人やホルモン治療の副作用が心配な人にはおすすめです。

ですが、漢方薬も胃腸障害やアレルギーなどの副作用が現れることがあるので、体質や症状にあった漢方薬を選択することが大切です。

そのほかの薬物療法

生活習慣の改善、またはホルモン補充療法(HRT)や漢方薬でも症状が改善されない場合は、その症状に合った薬が処方されます。

たとえば、不眠を訴える人には睡眠薬、不安や緊張が強い人には精神安定剤、うつ状態の強い人には抗うつ剤などが処方されます。

これらの薬剤を使うことに「なんだか怖い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、適切に使用すれば症状の悪化を防げるため、まずは医師に相談してみましょう。

精神療法

薬に頼るだけでなく、カウンセリングを受けたり心理精神的ケアをしたりして、心身をリラックスさせるのも効果が見込めます。看護師や医師に相談するだけでも、症状がかなり改善されることも多いのです。最近では、更年期外来や女性専門の外来を設けている病院も多いので、医師や看護師に苦痛を聞いてもらうのもいいでしょう。

自分でできる、更年期障害のセルフケア

ウォーキングする女性の足-写真

更年期障害の治療は、日常生活の見直しからはじめることが大切です。

まずは心の持ち方を変え、身体を動かす、趣味を楽しむ、睡眠をしっかりとるなどして気分をリフレッシュします。とくに運動は代謝をよくするためにも重要で、中でも

  • ウォーキング
  • エアロビクス
  • 水泳
  • 太極拳

といった有酸素運動がおすすめです。有酸素運動は呼吸器や循環器系に刺激を与え、自律神経の安定に役立ちます。

その上で、

  • リラックスする時間を作る
  • やるべきことではなくやりたいことを優先する
  • 自分のための時間をつくる

といったことに気を配り、ゆったりとした生活を送るようにしましょう。

また、更年期障害の症状を緩和させるために、薬局・ドラッグストアなどで市販されている医薬品の使用も一つの方法です。

まとめ

更年期は身体だけでなく日常生活が老年期に向けて変化し始める時期として非常に重要です。「更年期かも?」と感じたら早めに婦人科や心療内科に相談し、食事・睡眠・運動といった生活習慣も見直して充実したライフスタイルにしていきましょう。