妊娠中のマイナートラブルとして、腰痛や肩こり、足のむくみなどの症状を経験されている方は少なくありません。そんな辛い時に、温泉に行きたいなとふと思った方もいらっしゃるかと思います。

温泉は血行促進やリフレッシュ効果があり、妊娠中のマイナートラブルに効果的と言えます。ですが、妊婦さんに温泉入浴は禁忌という話を耳にされた方もいると思います。

ここでは、妊娠中の温泉は問題ないのか、安全性などについてお話したいと思います。

目次

妊娠中の温泉は禁忌?

環境省が定めた「温泉法」という法律があるのですが、昭和42年(1967)に温泉の一般的禁忌症(浴用)の中の1つに「妊娠中(特に初期と末期)」という項目が追加されて以降、妊娠中の温泉は禁忌とされていました。

ですが、この禁忌の項目に医療的根拠はありませんでした。
妊娠初期と後期では、流産や出血や破水、脳貧血などを起こしやすかったりするため、もしもそうなった時のことを考えて、禁忌としたのではないかという見解もあります。

温泉法は、平成26年7月1日付けで内容が見直され、現在では、妊娠中の温泉は禁忌ではなくなりました。
温泉の浴場には、禁忌症を掲示することが義務づけられていますが、昔からある温泉では改訂された内容が反映されておらず、いまだに妊娠は禁忌として書かれているところもあります
各旅館や温泉施設への周知に時間がかかっている現状がありますが、法律的にも医学的にも、温泉に妊婦さんが入ることについて問題はありません。

妊娠中の温泉の効果

妊娠中に温泉に入ることで、母体と胎児双方に悪影響を与えることはないことがわかっています。
ある研究では、「温泉浴後は身体症状や睡眠障害、不安と気分変調など全体的に得点が減少し、ストレスの減少傾向が認められた。」という結果が出ており、温泉浴が妊娠中に良い効果をもたらすことがわかっています(妊婦に対する温泉浴の効果の検証より)。
妊娠中の温泉浴が禁忌でなくなった現在、温泉浴による効果を考えると、妊娠中の温泉浴はむしろ推奨されるべきかもしれません。

妊娠中の温泉の注意点

妊娠中の温泉浴は、禁忌ではなくなりましたが、入る際には下記の点を注意しましょう。

  • 温泉浴は、できれば体調が安定している安定期に入ってからにしましょう
  • 温泉の泉質によっては滑りやすいものもありますので、転倒に注意しましょう
  • 妊娠中は心肺機能にすでに負担がかかっている状態ですので、長湯は禁物です。
  • 共同浴場ですので、風呂イスや浴槽のフチ、タオルなどを介しての感染症のリスクがないとは言い切れません。座る前には必ず湯をかけて洗い流し、タオルの共有は避けましょう
  • 妊娠中は血栓症リスクが高くなるためこまめに水分補給をし、サウナは入らないようにしましょう

まとめ

妊娠中の温泉浴は、妊娠中のマイナートラブルの症状を緩和するだけでなく、精神的にリラックスしストレスが軽減できることがわかっています。
上記の注意事項を守り、安全に入浴することで、母体・胎児共に良い効果が得られることが期待できます。

近くに温泉があればいいですが、もし温泉旅行をする場合には、必ずかかりつけの医師に前もって診察を受け、旅行の計画について相談しておきましょう。
状態によっては、旅行は危険な場合もありますので、自己判断で旅行へ行くことのないようにしましょう。
特に、秘湯など山奥や人里離れた温泉には絶対に行かないで下さい。また、しないとは思いますが、一人での旅行もNGです。

妊娠中はいつ、正常な経過から異常な状態に変化するかわかりませんので、すぐに病院受診できないようなところへは行かないのが鉄則です。温泉が近くにない場合、湯の花など入浴剤を使うのも、手軽に温泉浴が楽しめておすすめです。ぜひ、妊娠中の温泉浴を楽しんで下さい。