インフルエンザが流行する季節を迎えました。特に妊婦さんは、万が一インフルエンザにかかって重症化してしまった場合、赤ちゃんへの影響を心配されることでしょう。一方で、インフルエンザの予防接種を受けるかどうかについても迷ってしまいますよね。予防接種に伴う副作用や、赤ちゃんへの影響が気になるからです。ここではインフルエンザの予防接種に関して、妊婦さんと乳幼児の場合はどうしたらよいのか見てみましょう。

目次

有益性と危険性の両方を考慮

妊婦

妊婦さんはインフルエンザにかかった場合に重症化する危険が高いとされています。そのため、WHO(世界保健機構)では、妊婦さんをワクチン接種の優先対象としています。

気になるのは副作用ですが、妊娠初期にインフルエンザワクチンを摂取したことで流産や先天異常の発生リスクを高めるという報告はないそうです。また、インフルエンザワクチンを接種したからといって、母乳を通じて赤ちゃんに影響がでることもありません。

ただし、ワクチン接種にはいくつかの副反応が伴うことがあります。発熱、悪寒頭痛倦怠感、嘔吐等は代表的な副反応です。また、アナフィラキシー様症状、急性散在性脳脊髄炎、ギランバレー症候群といった重大な副反応も報告されています。

妊娠中は、どんなに危険が小さいように見える場合でも、万が一に備えて慎重に行動することが大切です。海外での報告では、妊婦さんはインフルエンザ にかかった場合に重症化しやすいとされています。ただ、現在のところ日本ではそうした重症化の例は報告されていないといいます。自分自身の基礎疾患を把握し、ワクチン接種による有益性と危険性のどちらが上回るのかを主治医とよく相談して決めることが大切です。

乳幼児に対するワクチン接種

すやすや眠る赤ちゃん

乳幼児に対するインフルエンザのワクチン接種は生後6か月目から可能です。注意すべきは、その他の予防接種とどのように組み合わせるかという点です。

まず、インフルエンザのワクチン接種の特徴を把握しておきましょう。

  1. 乳幼児の場合(13歳未満)、2回の接種が必要
  2. 1回目の接種の後、2から4週間程度空けて2回目を接種すると効果が高い
  3. インフルエンザワクチンは、死んだ病原体を無毒化させた「不活化ワクチン」のため、1週間後から他のワクチンの接種が可能

なお、「生ワクチン」を用いるMRワクチン(麻疹(はしか)風疹(ふうしん))、水痘の予防接種の場合、接種後4週間経たなければ他の予防接種を受けることはできません。インフルエンザの流行が予想されるときは、先にインフルエンザのワクチン接種を2回済ませる、あるいは同時に他の予防接種を受けるとよいでしょう。

いずれにしても、どのタイミングでどの予防接種を行ったらよいかについて は、医師とよく相談して決めてください。

まとめ

インフルエンザのワクチン接種については、基本的に妊婦さんの場合も乳幼児の場合も積極的に受けてかまいません。ただし、妊婦さんの場合は万が一を想定し、予防を徹底することを条件にワクチン接種は控えるという選択肢もあります。乳幼児に関しては、外出が増える1歳以降に、他の予防接種との組み合わせを考慮した上で接種するとよいでしょう。インフルエンザにかかってしまったときの検査方法等については、「インフルエンザの検査方法って?どんな症状が出たら受診すべき?」の記事でまとめています。気になる症状がある方は、ご参照ください。