誰でも風邪をひくことはありますが、特に高齢者が風邪をひくと、抵抗力が低下しているため肺炎などを合併しやすく、注意が必要になります。ただの風邪だと思って重篤な状態になりつつあるのに見過ごされてしまう場合もあるのです。

ここでは、高齢者が風邪をひいてしまった時に注意すべきことを紹介していきます。もしもの時に、お役立てください。

目次

効く薬がないため、抵抗力がないと重篤になりやすい

くしゃみをしたとか、鼻水が出るなどの症状があった場合「風邪かな?」と思いますよね。風邪の原因はウイルス細菌で、その種類によって起きる症状も違ってきます。

一般的に風邪と呼ばれる症状になった時は普通感冒を指します。風邪については、「「風邪」のこと、知ってますか?風邪を知って、今年は風邪に強くなろう! 」をご覧ください。

風邪とインフルエンザの違いはよく言われるところですが、普通感冒と違うというだけで、高熱が出て関節が痛むなど、症状が重くなったり感染力が強かったりするというだけで、インフルエンザ(流行性感冒)もまた風邪の一種といえます。それに子供が罹りやすいRSウイルスや、2002年に初めて発見されたSARSも風邪です。

風邪の原因が細菌なら抗生剤を使うことができますが、ウイルスには残念ながら効く薬はありません。インフルエンザに対して使われるタミフルなども、直接インフルエンザウイルスを殺すことはできず、これ以上ウイルスが増えないようにできるだけです。市販の薬などになると、熱が出たら熱を下げる成分、には咳を鎮める成分などと、症状を落ち着かせるだけで、原因が細菌であってもやっつけることはできないのです。

そのため、抵抗力が落ちている高齢者が風邪をひいてしまった場合、重篤になってしまう場合があるのです。

高齢者に多い風邪による合併症

高齢者が風邪をひくと、合併症を起こしやすくなってしまいます。ただ風邪をひいただけでも、合併症を起こすことによって入院が必要になる場合や、重症になると命の危険が出てきてしまう場合もあります。

肺炎

鼻から喉までの間を上気道と言いますが、上気道はほこりや病原菌を排除する役目を持っています。でも風邪をひくと上気道に炎症が起こり、この機能が低下してしまうのです。すると、病原菌は簡単に肺に入れる事になり、肺の中の肺胞という場所で増えてしまい、肺炎となるのです。

元々高齢者は肺の機能が低下している場合が多く、免疫機能も低下しているので、若い世代の人と比べると、肺炎になりやいのです。また重症になって命を落としてしまう場合もある危険なものでもあります。

気管支炎

鼻から喉までを上気道と言いましたが、気管支はその下にある下気道になります。ここが病原菌に感染して炎症を起こすのが気管支炎です。

急性気管支炎は、風邪をひいてから比較的早い段階で合併し起こるものですが、気管支炎もまた肺炎を起こす原因になります。呼吸困難を伴う場合があり、急性呼吸不全になると命に危険が起きてきます。

高齢者が風邪をひいたら注意すべき点

マスクで予防

高齢者は抵抗力が落ちているばかりではなく、症状が現れにくいため注意が必要です。

はっきりと高熱が出たり、酷い咳が出たりという症状が見られれば、これは大変!と病院に行って診察を受けるのでしょう。しかし高齢者の場合そうではないため、見過ごされてしまう場合があるのです。見過ごされて重症になってからだと、高齢者は体力も落ちているため、回復も難しくなるのです。

平熱や微熱で咳や痰が出ていなくても、見過ごしてはいけない高齢者の状態

  • 食欲がない
  • 身体がだるそう
  • 起きているに返事が中々返って来ない
  • うつらうつらしている
  • 機嫌が悪い

「いつもと違う」というところを見てください。いつもは食欲があるのに食べないとか、いつもはまっすぐ座れているのに椅子や車椅子に座っても身体が傾く時は、体調が悪い場合が多いです。

また、良く喋る人なのに、静かで話しかけてもなかなか返事か返って来なかったりうつらうつらしていたりするのは、意識障害が起きているかもしれません。機嫌が悪いのも、体調が悪いことを伝える元気もなく、怒ったように見えるだけかもしれません。

まとめ

高齢者、特に認知症を患っておられる場合は、自分で状態を伝えることが難しくなってしまいます。家族がいつもの様子をしっかり見ておき、いつもとは違うと思うことがあれば、まず病院に行った方が無難です。

若い人なら熱が高くなく咳や痰も少なければ、病院には行かずに市販薬を飲んで様子を見ても良いでしょう。しかし、高齢者は熱が出ないだけで重症になっているかもしれないと理解し、適切に対応しましょう。