子供は大人に比べて免疫力が低いため、保育所や幼稚園など集団生活に入れば、いろいろな感染症をもらって帰ってきます。育休明けや仕事に復帰したばかりのお母さんにとって、子供の感染症は、子供の体調が心配なだけでなく、仕事や家事に大きく影響するため、どんな感染症があって、どのような経過を辿って、どれくらいで治るのかを知っておけば、もしもの時に見通しが立ちやすくなります。

ここでは、子供がかかりやすい感染症の症状や経過、登校・登園の基準と、予防法についてお話ししたいと思います。

目次

麻疹(はしか)

  • 感染方法:空気感染・飛沫感染・接触感染
  • 潜伏期間:9~12日
  • 治るまでの期間の目安:10日間
  • 登校・登園禁止期間:発疹に伴う発熱が解熱した後 3 日を経過するまで

麻疹ウイルスは強い感染力を持つウイルスです。また、出席停止期間は病状によって引き延ばされることもあります。

症状としては、発熱、眼の充血、涙や目やにの増加、鼻水、咳のほか、口の中にコプリック斑という白い斑点が見られます。一旦、熱が下がりかけ、再び高熱が出た際に顔から全身に赤い発疹が出ます。

肺炎や脳炎など重篤な合併症を起こす危険性があり、特に怖いのが亜急性硬化性全脳炎という病気です。麻疹に罹った後、4~8年の潜伏期間を経て、進行性の知的障害や運動障害を起こし、寝たきりの状態へと進行します。

風疹

  • 感染方法:飛沫感染、接触感染
  • 潜伏期間:14~21日
  • 治るまでの期間の目安:5日間
  • 登校・登園禁止期間:発疹が消失するまで

風疹の症状としては、発熱、全身性の発疹、リンパ節の腫れ(耳の後ろ、後頭部、首)があります。

基本的にはそのまま治りますが、血小板減少性紫斑病や急性脳炎などの合併症を起こすことがあります。

水痘(みずぼうそう)

  • 感染方法:空気感染、接触感染
  • 潜伏期間:13~21日
  • 治るまでの期間の目安:10日間
  • 登校・登園禁止期間:すべての発疹が痂皮(かさぶた)化するまで

水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。

症状としては、発熱の後、全身性の痒みのある発疹があります。発疹は紅斑から水疱になり、かさぶたになって治りますが、次々に新しい発疹ができるため、全身にそれぞれの段階の発疹が混在する状態になります。

頻度は少ないですが、合併症として皮膚の細菌感染症や肺炎、脳炎などがあります。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

  • 感染方法:飛沫感染、接触感染
  • 潜伏期間:11~27日
  • 治るまでの期間の目安:7日間
  • 登校・登園禁止期間:耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫張が発現した後 5 日を経過し、かつ全身状態が良好となるまで

ムンプスウイルスによって起こる病気です。

症状としては、発熱と両側もしくは片側の耳下腺の腫れと痛みで、腫れは1週間程度続きます。

合併症としては、髄膜炎や難聴、膵炎、思春期以降では男性の場合は睾丸炎、女性の場合は卵巣炎などがあります。

インフルエンザ

  • 感染方法:飛沫感染、接触感染
  • 潜伏期間:1~5日
  • 治るまでの期間の目安:7日間
  • 登校・登園禁止期間:登校禁止は発熱した後 5 日、かつ解熱した後 2 日を経過するまで。登園禁止は発症した後 5 日、かつ解熱した後3日を経過するまで

インフルエンザウイルスは、世界各地で毎年流行が起こっています。

症状としては、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛・関節痛、咳、鼻水などがあり、通常の風邪に比べて症状が重いのが特徴です。

子供の場合、中耳炎や熱性けいれん、気管支喘息の誘発などを起こすことがあり、特に乳幼児では急激に悪化する急性脳症や肺炎を起こす危険性があります。

感染性胃腸炎

ロタウイルス

  • 感染方法:経口感染(糞口感染)、接触感染、飛沫感染
  • 潜伏期間:2~4日
  • 治るまでの期間の目安:

ロタウイルスは、感染力が非常に高いウイルスです。症状としては、下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛がみられます。脱水がひどいとショック状態となり命を落とすこともあります。また、急性腎不全・心筋炎・脳炎などの重症感染症を起こすこともあります。

ノロウイルス

  • 感染方法:食中毒、感染者の糞便・嘔吐物やその飛沫からの経口感染
  • 潜伏期間:1~3日
  • 治るまでの期間の目安:3日間

ノロウイルスの症状としては、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などがあります。

ロタウイルス・ノロウイルス共に、下痢、嘔吐症状がなくなった後、全身状態がよければ登校(園)可能とされています。ただし、治った後もしばらくの間は手洗いを積極的に行いましょう。

ヘルパンギーナ

  • 感染方法:経口感染(糞口感染)、飛沫感染、接触感染
  • 潜伏期間:2~4日
  • 治るまでの期間の目安:7日間
  • 登校・登園禁止期間:全身状態が安定している場合は登校(園)可能

コクサッキーウイルスによっておこる病気です。

登校・登園については上述の通り、全身の状態が安定すれば可能です。ただし便からウイルスが排泄されるため、トイレに行った後には手洗いを忘れないようにしましょう。

症状としては、発熱、のどの痛み、口腔内に水疱性の発疹ができ、破れると潰瘍になって痛みが出るため、摂食・哺乳障害が起き、脱水を招くことがあります。

手足口病

  • 感染方法:経口感染(糞口感染)、飛沫感染、接触感染
  • 潜伏期間:3~5日
  • 治るまでの期間の目安:5日間
  • 登校・登園禁止期間:全身状態が安定している場合は登校(園)可能

コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによって起こる病気です。

本人の全身状態が安定すれば登校(園)可能ですが、しばらくは手洗いを積極的に行いましょう。

症状としては、発熱のほか、口腔内や手の平・足底や足背などに2~3mmの水疱性の発疹が出ます。稀ですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症を起こすことがあります。

プール熱(咽頭結膜熱)

  • 感染方法:接触感染や飛沫感染、プールでの目の結膜からの感染
  • 潜伏期間:5~7日
  • 治るまでの期間の目安:5日間
  • 登校・登園禁止期間:発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状が消失した後 2 日を経過するまで

アデノウイルスによって起こる病気です。

症状としては、発熱、頭痛、食欲不振、だるさの他、咽頭炎によるのどの痛み、結膜炎による目の充血、目の痛み、目やになどがあります。

溶連菌感染症

  • 感染方法:飛沫感染、接触感染
  • 潜伏期間:2~5日
  • 治るまでの期間の目安:21日間
  • 登校・登園禁止期間:適切な抗菌薬による治療開始後 24 時間以内に感染力は失せるため、それ以降の登校(園)は可能

A群溶血性レンサ球菌によって起こる病気です。

症状としては、発熱、のどの痛み、嘔吐などがあります。猩紅熱に発展する場合があり、その場合は舌がイチゴ状に赤く腫れます。

合併症として、肺炎、髄膜炎、敗血症、リウマチ熱、急性糸球体腎炎などが起きる場合があります。

突発性発疹

  • 感染方法:大人の唾液中にいるウイルスが子供に感染すること
  • 潜伏期間:10日
  • 治るまでの期間の目安:6日間
  • 登校・登園禁止期間:熱が下がった後1日以上経過し、全身状態がよければ登校(園)可能

ヒトヘルペスウイルスによって起こる病気です。症状としては、発熱、解熱後にみられる赤い発疹(体を中心に顔や手足に出現)が特徴です。

まとめ

上記の症状や経過には個人差があり、必ずしも同じ症状や経過を辿るわけではないので注意してください。

感染症を予防するためにはまず、日ごろの手洗い・うがいをしっかり行い、食事や睡眠を十分とり規則正しい生活を送るようにしましょう。

加えて、最も効果的なのは予防接種を受けることです。
上記の感染症のうち、ワクチンがあるのは、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜ、インフルエンザ、ロタウイルスです。感染症の発症や重症化、合併症を防ぐことにも繋がりますので、予防接種を受けることをおすすめします。