便潜血検査は大便のなかに血液由来の成分が含まれているかどうかを確認する検査法です。

大腸がんの有無を確認するのに有効であるとされており、その簡便さから近年非常に多くの患者さんがこの検査を受けています。ここでは、便潜血検査で陽性という結果が出てしまった場合に、どのような対応を取れば良いのかについて説明します。

目次

便潜血検査で陽性になる原因は?

陽性になる原因としては、下記のようなものがあります。

  • 大腸がん
  • 大腸憩室
  • ポリープ
    など

大腸がんの検査として行われることが多い便潜血検査ですが、「便潜血検査陽性=がん」というわけではありません
一般的に、便潜血検査を受けた患者さんのおよそ5が「陽性」という検査結果を受け取ります。
ですが、実際に内視鏡検査などによってがんが発見されるのは、陽性の患者さんのうちのおよそ2~3であるとされています。

便潜血検査で陽性の結果を受け取ったことでショックを受けてしまう患者さんも少なくありませんが、まず一旦落ち着いて、次の行動をしっかり考えることが重要です。

ただし、自分は痔だから、と言って陽性が出たまま放っておくこともいけません。

陽性が出たらどうする?何科に行けばよい?

では、陽性となった場合はどうすればよいのでしょうか?
一番いけないことは、「がんの可能性は低いのだから放っておく」ということです。陽性判定を受け取ったら、必ずがんの有無を確認するためにも精密検査を受けるようにしましょう

基本的に、医師と相談のうえでその後の対応は決まっていきます。
一般的には消化器内科消化器外科で診察を受け、精密検査を行うケースが多いです。精密検査の結果、異常があれば大学病院などを紹介されることになります。

再検査はどんなことをする?

便潜血検査が陽性である際に実施される精密検査には、以下のようなものがあります。

内視鏡検査

よく行われているのが下部消化管内視鏡検査大腸鏡といった内視鏡による検査です。先端にカメラのついたチューブを肛門から挿入して、腸の内側を観察してがんの有無を確認します。

注腸造影検査

バリウムを用いる検査法です。肛門から腸にバリウムと空気を注入し、その後X線で腹部を撮影します。バリウムは腸の壁に付着する性質があるため、X線写真で腸管の形状を知ることができます。なお、がんが存在する場合は、その部分のみ腸管が写らない(陰影欠損とよばれる)など何らかの異常を認められます。

他にも、精密検査ではありませんが、血液検査にて腫瘍マーカー(がんがある場合血液中で特別に増加する物質)をチェックすることもあります。

まとめ

便潜血検査が陽性であるということは、必ずしもがんの存在を示す訳ではありません。しかし、便潜血検査は簡単な手順(便の採取)でがんの存在を確認することができるという意味で、とても重要な検査です。

陽性が出ても目をそむけたり慌てたりせず、早期にがんを見つけるチャンスと思って再検査を受けてください。
何事もなければ、ひとまず安心することができるという意味でも放置はしないようにしましょう。