皆さん「便潜血検査」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

いわゆる検便によって、大腸がん等を早期発見するのに非常に有効な検査法です。
ここでは、便潜血検査の概要について説明します。

目次

便潜血検査とは?何がわかる?

便潜血検査とは文字通り、便に潜む血液の有無を確認する検査法です。
大便から検査のためのサンプルを採取し、そのなかに血液由来の成分が含まれているかどうかをチェックします。

便潜血検査は主に、大腸がんの検査のために行われるものです。
大腸にがんやポリープが発生すると、便が移動する際に擦れて出血を起こすため、大便に血液が含まれていることが示されれば、がんの可能性があるいということになるのです。

血液が含まれていた場合は「陽性」、含まれていない場合は「陰性」となります。
陽性だとしても100%がんというわけではありません。精密検査の結果、ほかの疾患の可能性や異常なしとされる可能性もあります。

しかし、大腸がんを早期に見つけることができればその90%以上は完治するといわれており、さらに、便潜血検査による大腸がん検診を受けた人では死亡率が60~80%低下し、進行がんが約50%減ると報告されています(厚生労働省がん研究助成金より)。ぜひ受けておきたい検査といえるでしょう。

検査方法は?

トイレで排便後、便の表面を専用の棒でまんべんなくこすり、容器に入れて提出します
便の採取は自宅で行う事が出来ます。
一般的には食事制限の必要もなく、2日分の便の提出を指示されることが多いようです。

市町村・職場によって様々ですが、検査費用も1,000円以下のことが多く、比較的安価に、かつ簡単にできる検査です。
自分の便を取り扱うことになるため、抵抗感を感じる方も少なくありませんが、40歳を過ぎた方は年に一度、毎年検査することをおすすめします

検査時に注意すべきことは?

便潜血検査では基本的に、ご自身で便からサンプルを採取することになります。
場合によっては検査の精度にも関わってくるため、正しいサンプルの採取方法を知っておきましょう。検査前に医師から具体的な説明があると思いますが、注意点として以下のようなことが挙げられます。

便はまんべんなくこする

潜血は必ずしも便のなかに均一に分布しているわけではありません。確実に潜血の有無を確認するためにも、まんべんなく便をこすってサンプルをとるように心がけましょう。

洗浄液などの影響に注意する

化学物質などによって赤血球の成分に変性が起こると、潜血をきちんと検出できなくなる可能性があります。水洗トイレの洗剤洗浄液によって便が変質しないように注意しなければなりません。できれば、洗浄液などを利用していない便器で検査するようにしましょう

採取後はできるだけ涼しい場所で管理し、早めに提出する

暑い場所で放置すると、検査の精度が落ちてしまうことがあります。
便を採取したあとは涼しい場所で保管し、できるだけ早めに医療機関に提出するようにしましょう

生理中は検査を控える

生理中は、便に付着した経血を誤って潜血だと評価する可能性があります。生理中の便潜血検査は推奨されておらず、自治体によっては生理中の検査はできないと決めてあるところもあります

できれば検査の予定をずらし、生理中に検査をしたい場合には念のため自治体に確認すると良いでしょう。

まとめ

便潜血検査は、時間・経済的負担も少なく大腸がんを発見することのできる検査法です。
便を採取するという点を面倒だと思われる患者さんもいらっしゃるかと思いますが、この検査によって死亡率が各段に下がることがわかっています。

ご自身の健康のためにも是非受診を検討していただければと思います。