小児喘息と診断されたら…子供の発作がいつ起こるかとご家族の方は常に心配でストレスも溜まってしまうでしょう。

喘息発作を上手にコントロールして子供が元気に生活するために、今回は小児喘息の発作を予防する方法をご紹介します。特に夜間に多い、急な発作時の対処法も併せてご覧ください。

目次

小児喘息の発作の引き金は?

ダニ、ホコリや花粉などのアレルゲンや風邪のウイルス、気候の変化(寒冷や気圧が低下するとき)、運動やストレスなどが引き金となり、気道の炎症が悪化して気管支喘息の発作が起きます。

発作が起こる時間帯は、個人差がありますが、夕方以降(寝入りばな、明け方や起きがけなど)に多く起きることが多いです。

発作が起きたときの応急処置は?

主治医から指示されている対応方法を行いましょう。改善しない場合は急いで医療機関を受診してください。

自宅に吸入器がないときの基本的対応

 

1.発作の原因を取り除く

ホコリや煙があれば部屋の空気を入れ替えましょう。

2.水分をしっかりとる

発作のときには、気管支の中の痰が粘度を増して切れにくくなり、呼吸が荒くなるので身体が水分不足になります。

湯冷まし、果汁、麦茶など飲みやすいものをしっかりとりましょう。

3.座った姿勢をとる

身体を横にするよりも座った姿勢の方が、呼吸が楽にできます。

乳児の場合は、抱っこをしてあげてもよいでしょう。

4.腹式呼吸をする

お腹の筋肉を使って呼吸をすることで、気管支が楽になります。

5.発作時の薬の吸入や服用

予め処方されている薬を服用したり吸入したりします。

それでも治まらない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

いつ発作が起こるか分からないので、いざというときに慌てないためにも、発作の時に使う薬の種類と残っている薬の量を常に把握しておきましょう。

急な発作のために、準備しておくことは?

薬4
  • 発作の程度を把握できるようにしておく
  • いつも飲んでいる薬の名前と量をメモに残しておく
  • 主治医と急な発作の時の対応を相談して、薬が処方されれば、薬の名前と量と使用するタイミングをメモに残しておく
  • 休日や夜間でも受診できる医療機関を予め探しておく

 

病院に行く緊急事態は?

  • 話が十分にできない
  • 鼻の穴が大きくなったり小さくなったりして呼吸をする
  • 鎖骨の上、喉元、肋間がぺこぺこ引っ込んで呼吸をする
  • 横になれない、眠れない
  • ぐったりしたり暴れる
  • 咳込みで吐く
  • 顔色が悪くなる、チアノーゼ(紫色)が現れる
  • 汗をかく
  • ぜいめい(喉がゼイゼイ、ヒューヒューなる)が強い
  • 呼吸の回数が多い(40回/分以上)
  • 薬が効かない

このような兆候があれば、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

呼吸困難や意識低下がある時は、救急車を呼びましょう。

予防方法は?

小児喘息の発作を出来るだけ抑えるために、自宅でも出来る努力を続けましょう。

完璧にこなすのはストレスになるので、できる範囲で継続していくことが大切です。

環境の整備

小児喘息の原因として、アレルゲンの元となるもの、ウィルス、大気汚染、タバコの煙などが考えられています。

これらをなるべく家の中から減らして喘息が起こらないようにしましょう

1.布団カバーの洗濯

深夜から明け方が発作が起こりやすいので、寝具からダニを遠ざけましょう。

まめに天日干しをして、週に一回は掃除機をかけましょう。

2.部屋の掃除

絨毯、ラグなどはできるだけ取り除き、可能であればフローリングにしましょう。できるだけ毎日床に掃除機をかけましょう。窓を大きく開けて換気をするのも忘れずに。

また、タンスやベッドなども月1~2回移動して掃除してください。

3.ぬいぐるみを清潔にする

ダニがつきやすいので、丸洗いできるものはときどき洗うようにしましょう。防ダニ性のぬいぐるみもあります。

 

4.ペットを飼うときの注意

ネコやイヌがアレルゲンになることがあります。家の中で飼うことが多いので、新たに飼うことは避けた方が良いでしょう。現在飼っているペットについては家の外で飼ったり、症状がひどい場合は近くの知り合いに預かってもらうなど対策を立てましょう。

喘息に影響がないペットは、水槽で飼えるカメ、金魚や熱帯魚です。アレルギーに悪影響を与えません。

喘息の原因になるものを遠ざけるようにしましょう。無理のない程度に続けていきましょう。

ピークフローメーター

ピークフローメーターとは、息を吹いたときの最大瞬間風速で気管支の症状が把握できる器具のことです。

喘息の経過を追えたり、急性発作への適切な対応や治療効果の評価に役立ちます。

喘息日記

喘息日記には、毎日の喘息の症状、アレルギー症状や風邪の症状などを記録していきます。

医療機関を受診するときに、医師に見せて喘息の経過や薬が効いているかなどの情報を伝えて、適切な対策を取るのに役立ちます。主にこれが用いられることが多いです。

腹式呼吸の練習

胸式呼吸だと肺に空気が溜まるので、発作時に呼吸がひどくなります。発作時に腹式呼吸ができると呼吸が少し楽になることもあります

子供は、2、3歳頃までは腹式呼吸をしていますが、それ以降は次第に胸式呼吸が多くなります。

腹式呼吸の練習法

  1.  おうちの人が子供の胸とお腹に手をおく
  2. 「吐いて、吐いて、吐いて、吸って」と言ってお腹で息をする

最初は息を吐かすようにしましょう。

空気を吐くときは、お腹の筋肉に力を入れて、空気を吸うときは、お腹の筋肉を緩めてお腹を膨らませて自然に空気が肺に入ってくることを覚えましょう。

災害時や旅行時の準備

もしものときに備えて、必要なものを予めまとめておくようにしましょう。

①吸入器

ネプライザーで吸入をしている場合は、吸入器を用意しておきましょう。停電でも使えるように、バッテリー式や電池式、車のバッテリーでも使えるタイプがあります。

②薬

普段使っている喘息の薬をある程度準備しておきましょう。

③マスク、枕、毛布など

清潔なものを用意しておくと安心です。

まとめ

小児喘息は治療に時間がかかり、いつ起こるか分からない発作に対してストレスも溜まりますが、薬の治療と環境整備で症状を抑えていきましょう。

環境整備は毎日の努力が必要であり、忙しいとつい後手にもなりがちですが、できる範囲で頑張ってください。子供も親もストレスを溜めることなく小児喘息の治療に向かえると良いですね。