花粉症患者数は年々増えています。その割合は定かではありませんが、2008年のデータでは日本人のうち29.8%が花粉症であるという報告もあります(厚生労働省より)。そんな花粉症に悩まされているのは大人だけではありません。しかし子供は症状をうまく伝えられないので、親の観察が重要となります。今回は、子供の花粉症についてご紹介します。

目次

そもそも花粉症ってなんだっけ?

花粉症とは、花粉に対するアレルギー反応によって起こる症状です。主に、目や鼻に症状が現れます。花粉症は年齢を重ねるごとにその割合が増えます。また、アトピー性皮膚炎や気管支喘息があると罹患する可能性も高まるなど、アレルギー疾患全般に影響を与えます。

日本ではスギ花粉による花粉症が多いのですが、他にもヒノキ・カモガヤ、ブタクサ、チモシーなど約60種類にのぼる植物が花粉症の原因となります。植物によって、花粉症の症状が起こる季節も変わってきます。

子供の花粉症を判別するには?

ここからは、子供の花粉症について解説します。

子供の花粉症は、患者数が増えているだけでなく、発症年齢もどんどん下がってきていますアトピー性皮膚炎気管支喘息など、他の病気を伴う場合も少なくありません。成長とともに症状が軽減する場合もありますが、基本的には長期間にわたる治療が必要となります。

子供の場合は症状を具体的に伝えることが難しいうえ、スギ花粉症の時期は風邪やインフルエンザの時期と重なります。ですから、周りの大人にとっても子供本人にとっても、その症状が花粉症なのかどうかの判断は難しいかもしれません。

子供が花粉症かどうかを判断するポイントの一つは、熱があるかどうかです。花粉が飛散する時期に熱がないのにくしゃみ・鼻水が止まらない場合は、花粉症の可能性があります。また、目のかゆみや充血の有無も、花粉症かどうか判別する指標のひとつです。

鼻づまりは花粉症だけでなく、慢性副鼻腔炎咽頭扁桃肥大が原因であることもあります。心配な場合は、医療機関で診察してもらうと良いでしょう。

子供の花粉症の症状とは?

鼻をかむ子供

主な症状は鼻づまり

花粉症の主な症状といえばイメージされるのはくしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどですよね。しかし、子供の場合はくしゃみがあまり出ず、鼻づまりが多い傾向があります。子供の鼻は小さいため、つまりやすくなっています。鼻がつまると花粉が入り込まないため、くしゃみが出ないのです。

見た目では分かりづらい鼻づまりですが、見分けるポイントは子供が口を開いているかどうかです。鼻づまりを起こすと鼻で息ができないために口呼吸が多くなり、口を開けていることが多くなるのです。

少し粘りのある鼻水

花粉症による鼻水は、大人の場合はサラサラとして水のようですが、子供の場合は少し粘り気があります。これも、鼻づまりが主な症状となる一因です。

目の症状も高確率で出現

子供の場合は目の症状が起こることも多いです。目の充血目の周りのむくみなどがよく見られます。子供が頻繁に目のあたりをこすっていたら、目の症状が起こっていると考えられます。

鼻をピクピク、口をモグモグする

花粉症では鼻がムズムズするので、鼻をこすったりかいたり、鼻をピクピク・口をモグモグと動かして鼻や口の周りをしかめたりすることがあります。

鼻をいじりすぎると、鼻血が出ることもあります。

ぼーっとしていたら要注意

前述のように、子供の花粉症では鼻づまりが多く見られます。すると夜間の睡眠の質が低下するので、日中での集中力も低下し、ぼーっとすることが多くなるのです。場合によっては、睡眠不足を起こすこともあります。

集中力の低下は、なかなか気付きにくい症状の一つです。しかし、放っておくと子供のQOL(生活の質)を下げてしまうことに繋がりますので、注意して見てあげてください。

花粉症対策のコツは?

ここからは、お子さんのための花粉症対策方法を紹介します。ちょっとしたことが症状の悪化を防ぐことになりますので、周りの方が気を配ってあげてください。

1.なるべく花粉が体内に入ってこないようにする

子供の場合、徹底的に花粉を避けるだけでも症状が改善に向かうことがあります。

  • 外出は控えめにし、出かける時はマスクやメガネを着用する
  • 表面が毛羽立った服は避ける
  • 絨毯は敷かない
  • 室内の掃除はこまめに行う
  • 風の強い晴天の日は窓を開けっ放しにしない
  • 外出した後は洗顔やうがいをし、鼻をかむ

花粉症に限らず、アレルギー対策の基本は原因物質が体内に入るのを避けることです。この他、花粉への対策方法については「花粉症、これ以上悪化させたくない!生活習慣におけるポイント7つ」でもご紹介していますので、そちらもご参照ください。

保護者の方がこまめに花粉情報をチェックし、対応策を練ってあげるとよいでしょう。

2.早めに治療する

目や鼻がかゆい・くしゃみが止まらないなどの本格的な症状が出てしまう前に、アレルギーを抑える薬を使用し始めましょう。治療薬は、大人の場合と基本的には変わりません。早めの治療が、症状の改善に直結するのです。

いろいろな薬があるので、症状に合うように組み合わせて使用すると良いでしょう。
大人だけでなく子供にも増えている花粉症。子供の場合、症状を自分では伝えられないことも多いので、周囲の大人が気を配ってあげることが何より大切です。

子供の症状を注意深く観察し、早めに受診させるなどの対策をしてあげましょう。