皆さん毎年の会社や学校の健康診断などで、年に一度は尿検査を受けているのではないでしょうか?

尿検査では、尿中の糖分やたんぱく質、血液成分の量の有無をチェックします。その中でも、血液成分の有無を示す検査項目を「尿潜血」といいます。

尿潜血が陽性となった場合は、腎臓や尿管、膀胱などに何らかの異常が起きている可能性があります。ここでは、尿潜血検査の結果の捉え方と、陽性の結果を受け取ってしまった場合の対処法について説明します。

目次

尿潜血検査とは?

一般的に会社や学校の健康診断で実施されている尿潜血検査では、試験紙と呼ばれる専用の紙を使います。

試験紙は血液の主成分であるヘモグロビンに反応するため、尿を浸すことで潜血の有無を調べることができます。「尿を紙に浸ける」という簡単な手法で潜血の有無を調べることができるため、多くの被検者のなかから病気の可能性がある人を見つけ出すための検査として非常に有効であるとされています。

ただし、正しい手法で検査しなければ誤った検査結果が出てしまう恐れもあるため注意が必要です。

理想的なのは、起床後すぐに採取した早朝尿を利用することであるとされています。早朝尿は濃縮が進んでいるため、尿中の成分を調べやすくなります。また、起床後最初の尿は腎臓が安静な状態で作られた尿であり、有意義な検査結果を得られます。

検査によっては採取するタイミングが指定されていない場合もありますが、検査用の尿を提出する際に「起床後すぐに採取した尿を提出する」と指定されている場合、きちんとその指示に従うようにしましょう。

尿潜血検査の結果の捉え方

健康診断の結果などで見たことがある方もいると思いますが、尿潜血検査の結果は「マイナス(-)」「プラスマイナス(±)」「プラス(+)」などという形式になっています。それぞれの検査結果の基本的な捉え方としては、以下のようになります。

マイナス(-)

「正常」であることを意味します。潜血はほぼ存在していません。

プラスマイナス(±)

プラスマイナス(±)は、「少量の潜血は認められるが、ただちに病的であるとは言い切れない量である」ということを意味します。

基本的には、尿中に血液成分は漏れ出さないことになっていますが、疲労時などには少量の漏出がみられることがあります。

プラス(+、2+、3+)

潜血があることを意味します。→2+→3の順番に潜血の量が多くなります。

使用している試験紙によって、それぞれの検査結果が示す潜血の量には違いがありますが、日本で用いられている試験紙は、ヘモグロビン濃度06 mg/dl、赤血球数 20 /μl以上のときに+になるように作られています。

尿潜血検査で陽性(+以上)が出てしまったら…

尿検査で潜血陽性であるという結果が出てしまったらどうすれば良いのでしょうか?

尿潜血検査の結果が陽性になる病気としては、腎疾患泌尿器系の腫瘍膀胱炎などが挙げられ、再検査をする必要があります。再検査の場合、多くは試験紙を使った検査だけではなく、さらに詳しく調べることになります。

それだけ聞いてしまうと恐ろしくなってしまうかもしれませんが、必ずしも「尿潜血陽性=病気」という訳ではありません。健康であっても、尿の採取状況や保管状況によって陽性と出てしまうこともあります。

病気の早期発見、あるいは自分が健康であることを確認するためにも、尿潜血検査で陽性となった場合はきちんと再検査を受け、必要に応じて泌尿器科や腎臓内科などの医師を受診するようにしましょう。

まとめ

尿検査は日本中の健康診断で実施されている検査です。それにもかかわらず、尿潜血や尿蛋白などの検査項目がどのような病気の可能性を示しているのかはあまり知られていません。

これをきっかけにご自身が受けている健康診断が、どの様な病気の発見を助けるものなのかを調べてみるのも良いかもしれません。

陽性だった場合には、極端に落ち込む必要はありませんが、病気を早期発見できるチャンスと思い、しっかり再検査を受けることが大切です。