膀胱は尿を貯めておく袋状の臓器で、尿意を感じると尿道を通じて尿を排出します。この膀胱にがんができるのが膀胱がんです。比較的早期発見されやすいといわれており、他のがんに比べて死亡率は高くありません。しかし、気になる症状を放置していると、がんが進行して治療に伴う負担が大きくなるので注意が必要です。ここでは膀胱がんの特徴について見てみましょう。

目次

高齢の男性に多い膀胱がん

膀胱がんの発生率は人口10万人あたり約10とされています。男女比は3対1で男性の方が多く、とりわけ60歳以上の高齢者に多く見られます(がんに関する情報より)。膀胱がんは初期から症状が出ることが多く、また、悪性度も高くないことから、他のがんに比べて死亡率の低いがんとなっています。

膀胱がんを引き起こす要因には、ゴム、皮革、織物などに用いられる染料(アニリン色素、ナフチラミンやベンチジンなど)に繰り返し接することなどが挙げられます。また、身近な例では喫煙が膀胱がん発生の最大の原因となります。以前はお酒やコーヒーの影響が懸念されたこともありましたが、まだはっきりとしたことは分かっていません。

膀胱がんの主な症状

男 腰痛い

膀胱がんを発症すると比較的初期の段階から次のような症状が現れます。

肉眼的血尿

血の色を目で見て確認できる尿のことを肉眼的血尿といいます。血尿には様々な原因があり、必ずしも膀胱がんや他の泌尿器系のがんがあるとは限りません。また、時間が経つと血尿が止まることがあります。しかし、血尿は重大な病気のサインである可能性もあるため早めに医療機関を受診することをおすすめします。

膀胱刺激症状

膀胱刺激症状とは、膀胱炎にも見られるような頻尿や尿意切迫感、排尿時痛、下腹部の痛みなどを指します。抗生剤によって膀胱炎の治療を行ってもなかなか治らない場合は膀胱がんが疑われます。

背部痛

割合としては高くありませんが、膀胱がんの影響で尿管口が塞がり、尿の流れが妨げられると水腎症という合併症を発症することがあります。背中の鈍痛が水腎症を原因としていることがあり、膀胱がんの可能性が疑われます。

この内、痛みなどを伴わない肉眼的血尿が最も多く、膀胱がん患者の約80%に認められるといいます。一方、膀胱炎症状については20~30%にとどまっています(がんに関する情報より)。

まとめ

膀胱がんは比較的経過の良いがんと言われています。早期発見・早期治療によって膀胱を温存した治療も可能になります。特に痛みを伴わない血尿は膀胱がんの初期症状として頻繁に見られるものです。血尿に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。

膀胱がんの検査と治療については、「膀胱がんと診断されたら…検査と治療の流れ」でまとめておりますのでこちらをご参照ください。