毎年花粉の時期になると憂鬱になる、年中鼻炎でつらい、など鼻の症状で悩まれている方は多いのではないでしょうか。
西洋の市販薬を服用すると鼻水は止まるものの眠気や口の渇きがひどくて仕事にならないといった方もいらっしゃいます。最近では眠気などの副作用が少ないタイプのものも市販で販売されるようになってきましたが、それでも副作用が生じる方もいるでしょう。
そこで今回は眠気などの副作用がほとんどない鼻炎に使われる漢方のお薬についてみていきたいと思います。

目次

毎年花粉の時期になると憂鬱になる、年中鼻炎でつらい、など鼻の症状で悩まれている方は多いのではないでしょうか。
西洋の市販薬を服用すると鼻水は止まるものの眠気や口の渇きがひどくて仕事にならないといった方もいらっしゃいます。最近では眠気などの副作用が少ないタイプのものも市販で販売されるようになってきましたが、それでも副作用が生じる方もいるでしょう。
そこで今回は眠気などの副作用がほとんどない、鼻炎に使われる漢方のお薬についてみていきたいと思います。

漢方と鼻炎

漢方では鼻炎は体内に余分な「水(血液以外の体液、体を潤すもの)」がたまっている状態であると考えられています。

「水」にはいろいろな排泄経路があり、正常であればこの排泄経路を通って外に出されますが、この排泄がうまくいかない場合、体内に余分な「水」がたまってしまいます。

この余分な「水」が鼻からあふれ出たものが「鼻水」であり、たまったものが「鼻づまり」です。また余分な「水」は体を冷やしてしまい、免疫力を低下させ体内にアレルゲンが入りやすくなってしまいます。

さらに悪化すると、余分な「水」が鼻のあたりの「気(人の体を支えるもの、エネルギー)」や「血(全身に栄養を運ぶもの、血液)」の流れを妨げて「気」がたまり、熱にかわります。

この熱が水分を奪うことで鼻水が粘り気をもち、鼻づまりがひどくなったりするのです。

それでは具体的にどのような漢方が鼻炎に使われているのでしょうか?いくつかの漢方を詳しく見ていきましょう。

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

どのような症状に効く?

  • 鼻詰まりがひどくて呼吸しづらく、夜も眠れなくなるといった症状
  • 鼻水やくしゃみがおさまっても鼻づまりだけ残っているといった症状
  • 蓄膿症(副鼻腔炎)

どのような方に向いている?

  • 比較的体力がある方

どのように効く?

「葛根湯(かっこんとう)」と似た処方であるため、体を温める作用があります。体を温めることで体内の余分な「水」を発散させて鼻づまりなどの症状を緩和させます。また「血」のめぐりをよくすることでうっ血を取り除き、鼻炎や蓄膿症を改善させます。

注意すべき点

小青竜湯と同じように麻黄や甘草が含有されているため、持病がある方は注意が必要です。

夜寝る間際に服用すると麻黄の影響で眠れなくなることがありますので、なるべく寝る前より早めに服用してください。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

どのような症状に効く?

どのような方に向いている?

  • 体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く手足の裏に脂汗をかきやすい方

どのように効く?

余分な「水」によって流れを邪魔され溜まった「気」が熱に変わったところの熱を冷やして、鼻の通りを良くします。また顔の炎症にも効くため鼻づまり、鼻水以外にも扁桃炎やニキビにも効果的です。

注意すべき点

甘草が含有されているため、血圧上昇などの「偽アルドステロン症」に注意が必要です。

また重大な副作用として間質性肺炎(肺の「間質」と呼ばれる部分の炎症)も報告されているため、苦しいといった症状が現れたら病院で診てもらってください。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

鼻炎と漢方

どのような症状に効く?

  • 透明さらさらとした水のような鼻水でよくくしゃみがでる
  • アレルギー性鼻炎に良く用いられる

どのような方に向いている?

  • 体力が中等度やや虚弱でうすい水のような鼻水が出る方

どのように効く?

「水」によって冷やされた部分を温めながら余分な「水」を排出し、「気」を動かすことで鼻水・くしゃみを抑えます。

注意すべき点

麻黄甘草が含有されているため、高血圧や心臓病など持病をお持ちの方は慎重に服用する必要があるため医師に相談してから服用してください。血圧が上がったり、心臓に負担をかける可能性があります。

まとめ

鼻炎に使う漢方といってもいろいろな種類が存在することがわかっていただけたかと思います。使用するときの鼻水の状態などをチェックして選んでみてください。

また、上記の漢方には眠気の副作用がないため、運転を毎日する方などは西洋薬よりもおすすめです。しかし眠気以外の副作用などは生じる可能性があるため、上記の注意する点をチェックし、お薬の説明書もしっかりと読んだうえで服用してください。

花粉症やアレルギー性鼻炎の症状が酷い場合は、上記以外の漢方薬を使用したり、併用したりする必要があります。鼻づまり対策も含めますと20種類以上の対応が可能となりますので、ご自身で使用するのが不安な場合や効果があまり見られない場合などはお近くの漢方医にご相談ください。